つばめ

写真を撮っています。

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最近の記事

最近、絵にどきどきする(阿部展也の絵画についての所感)

阿部展也(あべのぶや)という画家がいた。半世紀も前のことだ。 1913年から1971年の間、彼はその生涯において海外を渡り歩き、作風を固定することなく、変化させながら生きた。 作風の変化。それは思想の変化だけでなく、手段の変容まで含む。 つまり彼は画家であり、写真家であり、批評家であり、中世墓石彫刻の研究家でもあった。この掴みどころのなさ! フィリピンの戦い(1941‐1942)では陸軍に報道写真班員として徴用されたり、ワルシャワ、ニューヨークでは国際造形美術連盟の総会

    • タイポグラフィは現世の古典となりうるか?

      人類史において文字が誕生したのはごく最近の出来事で、約5000年ほど前に過ぎない。文字は活版印刷、写真植字、デジタルという具合でその姿を変え、生き物みたいに人々の生活を記録してきた。 19世紀以降、産業の機械化や世界大戦の勃発、変わりゆく政治体制と大量生産・大量消費社会への突入で人々の生活様式は従来のそれとは大きくかけ離れたものとなっていく。 そんな激動の時代において最も影響力のあるメディアの1つがポスターであった。 戦時下のプロパガンダにも象徴されるように、政治家は挙

      • 人の海/都会の珊瑚礁

        東京の写真10枚。 モノクロフィルムで撮ると、当たり前なのだけれど、白と黒の濃淡で映し出された人のシルエットとかゆらめくビルの光が形となって現れる。 その流線みたいなものが、人の歩き方も速く、街もどんどん変わる、生き急ぐ東京を撮るのにすごくあってるのではないかなと思った。

        • マイ・ベストオブ・喫茶スナップ(1)

          私が無類の喫茶店好きであることは周知の事実であるに違いない。 何処へ行くにも必ず喫茶店を探し、時間を作って訪れることは自分の中で習慣化しており“当たり喫茶”を見つけるのは私の得意分野となりつつある。 そして一つ断っておきたいのは、近年のレトロ趣味とは全く別物であるのでネオン系の喫茶店は一切紹介せず、骨太な店舗だけを厳選したいということ。 そんな喫茶店探訪の記録からお気に入りのスナップを逐一紹介させていただくのがマイ・ベストオブ・喫茶スナップである。 第1回は以下4店舗。

        最近、絵にどきどきする(阿部展也の絵画についての所感)

          なんでもない写真に見る、シュルレアリスム的性質

          無意識で、何か特定の行動を行ったり言葉を話したりしてしまった経験が皆誰しもあると思う。 そんな無意識という概念を初めて提唱したのは19世紀、オーストリアの神経病学者であるフロイトだった。 彼は意識よりも無意識のほうが、優れて様々な記憶や感情を持つにもかかわらず、普段は意識のもとで抑圧されていると考えた。 時たま、眠っているときに夢を見たり不意に何かをしてしまうのは(幾分屈折した複雑な関係ではあるが)その人の純粋な思いの表れであるというわけだ。 この思想がシュルレアリスム

          なんでもない写真に見る、シュルレアリスム的性質

          タトゥーについての個人的見解

          小学校高学年頃から自己肯定感の低さを覚えた、それは自分の外見に対しての自信の無さから生じる感情であることは認めざるを得ない。 特に自分の鼻筋の低さや荒れやすい肌に対してのコンプレックスはちょうど20歳になった現在も心に深く根を張り、不特定多数の人間が往来する街を歩く時でさえ「見られている」と一度意識してしまうと顔を覆って逃げ出したくなる思いになる。 写真を撮ることには心血注ぐことができるのに自分が撮られる側に回ると逃げだしたくなるとは何事か。 撃っていいのは撃たれる覚悟が

          タトゥーについての個人的見解