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「先 陣」

『鳥獣戯画』・「丙巻」 第二幕

かいのどうぶつえん 園長です。
今回は、鳥獣戯画「丙巻へいかん」より“動物戯画”の第二幕、名付けて「先陣せんじん」です。
シカに乗って彼方の敵を睨むサルの大将。先頭のカエルが手にしているのは、木の葉の烏帽子えぼしでしょうか。従者のサルとおしゃべり中のカエルが担ぐ枝の樹種は何か?
くりかえし原画を凝視ぎょうしし、トゲの生えた丸い実から、”栗”ではないかと推測しました。
とすると季節は秋。一行は、戦闘ではなく、競馬くらべうまか物見遊山に出かけるところのようです。

栗の枝をかつぐカエル
敵をにらむ大将
前方から声援をおくるカエルやウサギたち
流麗な筆さばきの絵巻原画

ちなみに、丙巻の前半は「人物戯画」、後半は「動物戯画」で構成され、内容も作風も異なっています。 「人物戯画」では、僧侶や俗人が囲碁や双六すごろく、首引きや腰引きなどで、戯れ遊ぶ様子が描かれています。後半の「動物戯画」では、擬人化された動物たちが、競馬くらべうま蹴鞠けまり験比べげんくらべを楽しむ様子が描かれています。
京都国立博物館による絵巻物の修復過程(平成21〜25年)で、元は表に人物戯画、裏に動物戯画を描いた1枚の絵巻でした。
その和紙を薄く2枚にはがし、繋ぎ合わせて、連続した絵巻物に仕立て直したと判明しました。
ただ、どちらが表か裏か?など、謎は謎として残されたまま。そもそも、国宝の絵巻物は謎だらけで、作者や制作目的など、基本的な事実も秘密のヴェールに包まれています。だからこそ、約800年も経った今なお、見る人の想像力をかきたてるのですね。


2003年の開園時より、貝たちとは「割らない」「塗らない」「削らない」と固く約束して制作しています。園長

                               <貝の配役>
カエル
:アサリ/ヒメカノコ/ハツユキダカラ/フトコロガイ/ムシボタル他
シカ:チャイロキヌタ/ホシキヌタ/スガイ/ヒメキリガイダマシ/フトコロガイ
サル:アマオブネガイ/スズメガイ/スガイ/ハナマルユキ/タモトガイ/ムシボタル
烏帽子:アワビ 杖 :ムラサキウニ 大地:ホタテガイ
手綱:ガンガゼ 栗枝:アカウニ/フジノハナガイ/ヒメカノコ 


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