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めんどくさい感情のトリセツ、脳の怠慢を管理する3つの手法

「これ、めんどくさいな」
と思う瞬間は、暑さで溶けかけたアイスクリームのように、ふとした時にやってくる。そんな僕たちの感覚は、実は脳の瞬時の判断から来るものらしい。最新の研究で、なぜ僕たちの脳は「めんどくさい」と感じるのか、その理由がわかってきた。

僕はマーケティングに関心が強い。それを仕事にしてもいる。マーケティングの世界では、顧客の行動を促す「心理」が鍵だ。答えは顧客心理の中にしかないと考えてきた。その心理を司るのは、他でもない「脳」。だから僕は、その脳について学ぶことを定期的に続けてきた。今回はそうした学習の中から得た一つの回答を示したい。日常の「めんどくささ」を管理することが、ビジネスも人生も変化させることは明白だからだ。

脳が「めんどくさい」と感じる瞬間は、マーケターとして知っておくべきである。あなたが自分の裁量で活動するフリーランスや、個人起業家の方ならなおさらだ。脳は効率的に働こうとする中で、「知ってること」「親しみがあること」など、既知のパターンや簡単なタスクを選好する。未知の挑戦や新しい取り組みには、欧米人が納豆を拒絶するように「めんどくさい」というレッテルを貼る。

しかし、こうした感情を超えて新たな挑戦や取り組みに立ち向かうことで、僕たちは成長し、学習し、そして何より、自分自身の世界を広げていく。

「めんどくさい」という感情の背後には、脳が効率よく動き、生命を維持しようとする時の、繊細で、かつ単純なプロセスがある。脳が「めんどくさい」と感じるのは、本質的に省エネモードを好むからだ。ベストセラーになった『運動脳』にもあるように、僕たちの身体や脳は、原始人の時代からほとんど変わっていない。エネルギーを無駄に使うことは、生存に関わる大きな問題なのだ。

最新研究は、脳の構造と「めんどくさい」感情の関係を明らかにしている。前頭前皮質や報酬系など、脳の特定の部位が、この感情の背後にある。1万2千年前から変わらない脳の働きが、今日の僕たちの行動にも影響を与えている。

睡眠不足やストレスも「めんどくさい」感情を助長する要因だ。完璧主義も「めんどくさい」と感じる心理に影響を与える。完璧を求めるあまり、未知の挑戦が、まるで夜の森を歩くような恐怖を生み出す。意思決定も同様である。僕たちが日常的に行う数え切れないほどの選択は、脳にとっては労力を要するタスク。アップルの創業者スティーブ・ジョブスも、その事実を知り、毎日同じ服を着ることで、脳のエネルギーを節約していた。僕も、それにならい、ジョブスほどではないが、白のロンTを愛用している。そうすることで、重要な意思決定ができるよう脳のエネルギーをストックしておくのだ。

しかし、不思議なことがひとつある。楽しいことは「めんどくさい」と感じさせない。それにはもちろん、理由がある。脳の報酬系が大きく関わっているからだ。報酬系とは、僕たちが何か楽しい活動をするとき、脳内でドーパミンという神経伝達物質を放出するシステムのこと。ドーパミンは、まるで冬の朝に日光が差し込む部屋のように、僕たちの心に暖かさと快感をもたらす。

このドーパミンは、「快楽」や「満足感」、「達成感」を感じさせる役割を持っている。たとえば、好きな音楽を聴いたり、美味しい料理を食べたり、ゲームで高得点を出したりするとき、僕たちの脳は「これはいいぞ」と感じ、ドーパミンを放出する。それが「楽しい」という感覚につながるのだ。

楽しいことをしている時の報酬系の働きは、僕たちを文字どおり、虜にする。このドーパミンの放出は、新しいことにチャレンジする際の不安や恐れを上回る。つまり、楽しいと感じる活動は、脳にとっての「エネルギー消費」を正当化し、それどころか喜びさえ感じさせるのだ。だから、楽しいことに取り組む時、僕たちは「めんどくさい」という感情をほとんど感じない。

このメカニズムを怠けものの脳を管理するために、活用しない手はないだろう。僕の活用方法は、シンプルだ。3つ紹介する。一つ目は、仕事の区切りにおいて、僕は小さなご褒美を設定すること。ドーパミンが脳内で盛大なパーティーを繰り広げてもらえるよう「これが終わったらうまいピザを食べに行くぞ!」と駆り立てるのだ。それだけで、モチベーションを維持するだけでなく、パフォーマンスを上げることができる。

二つ目は、習慣化を目指すこと。筋トレや運動、トイレ掃除、瞑想など、歯磨きと同じレベルで考えなくても日々の生活に取り入れられるよう自動化する。これはこれで、うまくいく自分なりのポイントがあるが長くなるので割愛する。

三つめは、休息と睡眠、ストレス管理をちゃんとやることだ。フリーランスや個人起業家の人で真面目な人ほど、頑張りすぎてこれが出来ていないのではないか。僕がホームページ制作やマーケティングを教えている人の中にはこうした方が多い。時間を犠牲にして頑張るのは素晴らしいことである反面、生産性を下げている可能性もある。良質な睡眠をとるだけでも、パフォーマンスは上がるものだ。かつての僕自身がそうだったので、よく理解できる。

新しい挑戦には膨大なエネルギーが必要だ。脳は合理的で、生存本能の観点からそれを避けがちになる。しかし、「めんどくさい」を感じる瞬間を理解し、管理することは、仕事の生産性を上げ、日常生活を充実させる鍵となる。小さなご褒美を設けること、習慣化、休息と睡眠、ストレス管理など、心と体の健康を保つことが、脳の健康にも直結している。

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