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雑司が谷散人の街道遊歩 0135

矢倉沢往還 5日目-06 2017.5.16

もう一軒見つけた昔ながらの商家は、善波隧道完成と同じ昭和3年築という宇山商事。

曽屋宿

矢倉沢往還旧道を歩いていると、道の名を刻んだ碑をいくつか目にする。
ひがしみちは上宿から台町交差点への道。
ひがしみちと反対方向に伸びるのが乳牛通り。
古代、牛の乳を発酵させたチーズのような食品を作ったのが帰化人の秦氏で、乳牛(ちゅうし)通りの名もこれに由来する。

ひがしみち

矢倉沢往還旧道は秦野橋(通称は大川橋)で水無川を渡る。
地形の関係で、この川の水は本来は大半が地下に伏流してしまうため、水が無かったという。
その代わり、秦野は湧水の名所となったが、市街化の進んだ現在は工場の処理水などもあり、水が流れている。

水無川

秦野橋を越えると、矢倉沢往還旧道は小田急線に並行して西へ向かう。
単調な風景とはいえ、時にタイル貼りの馬頭観音が現れるというような、驚きもある。

秦野

矢倉沢往還旧道が南中学校前に差し掛かると、右手に立派な矢倉沢往還の碑がある。
中学校前という立地に、往還の歴史を後世に伝えようという強い意志も感じる。
説明文に「江戸赤坂から駿河国吉原を結ぶ」とある。
沼津ではなく、吉原。

矢倉沢往還の碑

小田急線を踏切で渡った矢倉沢往還旧道は、渋沢駅に近い稲荷神社前交差点へ。
ここは矢倉沢往還と小田原道が交差した場所だが、矢倉沢往還も鎌倉期まではここを左折し、渋沢峠を越えて松田惣領宿へ抜けた。
交差点角に私設の道標。

渋沢

稲荷神社前交差点北側の国栄稲荷神社境内手前に、大きな道標が保存されている。
矢倉沢往還と小田原道、大山への道が交差した場所だけに、大小様々な字が刻まれ、情報量が多い。

矢倉沢往還の道標

この後、小田急線渋沢駅にて矢倉沢往還の5日目を終了。

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