君たちはどう生きるのかを観てきた感想(ネタばれあり)

話題の映画をようやく見てきた。

宮崎駿監督作品はアニメを含んで色々見てきた。年齢的にも長編作品は見納めだろうと思い公開して落ち着いたので観に行ってみた。
前情報が一切ない状態での映画鑑賞となったのは生まれて初めてのことだった。
わくわく感は特になく、とりあえずどんな内容なのかということを考えながら映画を鑑賞していった。

なお、感想なのでネタバレやこうなのか?という考えがばらばらと書かれることになるだろうから、未鑑賞の場合は記事を読むのはすすめない。
とりあえず書きたいことつらつらと書いていく。

冒頭

早速のネタバレ。
冒頭は火災から始まる。主人公の眞人の母親ヒサコは火災のあった病院に入院(病名は不明)しておりその火災で亡くなる。

ジブリというよりも宮崎駿のアニメだと印象付けるのが、階段を下りていくシーン。やたらと強調されて躍動感をつける。これから主人公は急転直下で何かありますよ!と知らせているかのようだ。

野次馬や火を消す消防員を眞人の視線ではゆっくりと動いて表現して、消防員が火に巻き込まれる=火事で死亡者がでている。というとらえ方でいいのかとにかく火事があり、母親が亡くなる。
時間は三年後に変わる。

疎開

眞人は十一歳になった。母親の死からはまだ立ち直っていない。戦争は激化し、東京から母方の田舎へ疎開する。
そのとき、母の妹である夏子が新しい母親になっていた。しかも夏子の腹の中には弟か妹がいる。

どうも父親は工場を経営して母親の家は資産家のようだ。眞人は裕福な生まれであるようだ。
おばであり、継母の夏子と他人行儀に接しながら疎開先では村社会を経験する。
都会から田舎へきてしかも校庭に車で乗り付けてきた転校生。もめないわけがない。
そもそも傲慢すぎる父親でくそ親父だなと思った。ここが重要になるとは思わなかった。

幻想、自傷と拒絶

眞人にとって火は母親を奪ったものでトラウマになっている。夢をみるたび、母親が助けを求めるが、常に火がついてまわる。
疎開した日に幻をみたり、転校初日に喧嘩を売られるなど。眞人は自分ではどうにもならない理不尽さを受ける。
そこで思いついたのか、喧嘩したあと、石で自分を殴って血だらけにして帰る。

このときの血の表現が少し大げさなようで、なんとなくオーバーに感じた。

帰宅後、自分で転んだ。という。自分で石をぶつけたとはいえず、転んだという。
この石もまた重要だ。

あとばあやたちと飯を食うが、口に合わないのかまずいという。それでもしっかり食べきっている。
戦時下なので食べれるだけましだ。
タバコの代わりに虎杖(自分のところだとがしがしとか、がじがじという酸味のある雑草)を吸っている。

そして青サギである。

追い払うときに、夏子が鏑矢を使う。ばあやたちは箒をたてている。
どちらも魔除けのものである。ばあやたちが箒をたてているのはこのときだけで、ラストで持っているものは箒ではない。
意図的に青サギは魔のものとして表現しているのだろうか。

青サギは現実なのか

映画の中でアオサギは案内人であり、どのような存在であるのかを明言されることはない。
青サギ対策で弓矢を使うようにするが、刃物を研ぐときにじいやに賄賂でタバコを渡す。

妊婦の部屋から盗んだタバコ。夏子が吸っていたのか、父親のものかはわからないが、盗んで賄賂に使う。現実的であるし、精神世界でタバコもまた現実を意味している。

残念ながら喫煙者でありながら、タバコを吸えなかったばあやの一人キリコは、眞人を利用しようとしたりするなど、他のばあやと違う。

ヒロイン?

夏子が消え、それを探す。眞人とキリコが向かった先は地下世界へ続く塔だった。

「私はいきたくないよ!」

行きたくないのか、逝きたくないのか。
しかし、ジブリ作品のBBAは強い。
例えそこが地獄でもなんとかなるのがBBAだ。

が、BBAが消えておばさんが出てくる。正体は消えたBBAでありBBA(NEW!)キリコである。

石の舞台のような場所は、墓所であるそうだ。
また火が出てくる。日本神話のイザナミノミコトの話なのかもしれない。
出産は命がけであり、夏子も悪阻で苦しんだり、情緒不安定でもあった。

殺生のできないものたち

殺すことができない存在が大きな木の船の中で住んでいる。
ノアの箱舟なのかな?そう思うような不思議な船だ。
そこにはワラワラという存在もいる。わらわら出てくる。見た目はかわいい。

魚の腹

眞人が魚をさばく、というよりも腹を切る表現がある。
すでにキリコが腹を裂いているのに、その横をさけと指示する。
なんとなく、赤ん坊への恐怖が表れているのかもしれないなと思った。膨らんだ腹の中には何があるのか。臓物があふれている。血でべとべとになる。
頭を石でぶつけたときのように。

生まれなおしなのかな?とも思った。
その後の眞人は色々強い。

映画を駆け抜けてまとめる

その後、人食いインコとか、火を使う女の子とかこれでもかと宮崎駿の表現を詰めに詰めてごちゃごちゃにしていく。

印象的なのは今回のジブリ飯。
バターたっぷり、イチゴジャムたっぷりのパン。
食い方が汚い。というか幼い。小6の食い方かと思うと少し違うようにも思う。
眞人が母さんの作ってくれたパンに似ているという。つまり、幼いころの眞人に戻っているのだろうか。
キリコが作ったシチューのようなものは食べる描写がない。
本編で美味しそうに食べたのはこのパンだけだ。

駿的に母の料理に勝るものはない。が、二度と口にできない。思い出の味でしかもうないのだということだろうか。

つみき

罪のない石で石を積む。
十三個あり、三日に一つ積む。

キリスト教かな?十三使徒に、三日後の復活。

眞人にとって石は罪の象徴になっている。石で自分を傷つけたのに、眞人は嘘をついて転んだといった。その結果、父親が小学校に怒鳴り込むのもわかっていたしmそれで学校に行かないで済むと思ったからだろう。父親の勘違いを訂正せず、止もしない。利己的で嘘つき。
そんな自分が罪のない石を触れない。

石は意思なのか?
石を積むのは賽の河原を思い出す。

そういえば墓所や産屋では石が積まれていた。白くない石だったが、罪のある石だったのか。

現実はくそ

実は今回の映画は鳥のフンが多い。
フンまみれになるシーンもあるくらいだ。
青サギが窓から飛び立つときもフンがある。だが、ばあやがいるときにはフンがない。

唯一現実でフンまみれになるのが父親だ。本当に糞親父になる。

さて、面白いなと思ったのはジブリ映画でトイレ描写はなかったが、今回はしっかりある。
排泄は現実的すぎて描かない方が多い。他作品でも食事はしても排泄の描写は避けている。

非現実の世界で現実的な描写をしているのかなと思って観ていたら、地下世界から出たばかりのインコのフンにまみれていたと思ったら、消えている。
それなのに父親はフンまみれ。

でも、この父親、パニックになりながらも発見したとき用に懐にチョコを忍ばせている。サイパン島の件を考えたらそんなに手に入らないように思うが、軍関係の工場だろうし、手に入るのか。

嘘つきな青サギと眞人

青サギの見た目がなかなかにインパクトがあった。でかい鼻は天狗のようで手塚作品の猿田彦を思い出す。
また猿田彦は案内神でもある。

それとは別に青サギの姿を見ていると前掛けをつけた幼児に見えた。
賽の河原で幼児がいるのは違和感がない。
あと二人のやりとりが兄弟のように思え、なんとなくだが、夏子の腹の中にいるのは弟かな?と思った。
ラストで似たような姿で弟がいたので納得した。

色々まとめな感想

どういうことなん?なんで夏子はそこで出産する気だった?
とか色々疑問が浮かぶが、とりあえず思ったのはこの作品は宮崎駿版のゲド戦記だということだ。

なんというか冒険の仕方がゲド戦記思い出すような感じ。
あと明確な悪役がいない作品だった。爽快感はない。
ただ、作り込みや物語のスピードは宮崎駿だなと感じれる。

とにかく、田舎の子供たちが丸坊主の中で髪の毛ふさふさな都会の少年(金持ち)とかそりゃ異質だし、いじめられる。芋作ってる勤労学生の中とか浮きまくるの確定じゃないか。
そもそも母親の実家とはいえ、行ったことのない家に疎開し、おばが継母になるとかお腹いっぱいだ。

終わりと流れなかったのは、俺の創作は続いていくし、死んでも地獄で続けるからな!って意味かと勘繰ってしまった。引退撤回してから元気だな。

面白いかどうかでいうと、まぁ、わかるし、二時間があっという間だった自分からすれば集中して観れた映画だった。
パンフも買って読んだが、なるほど、わからん。

人におすすめ!といえる作品ではない。本当に丸ごと駿。
米津の曲が凄い。エンドロールで流れていて思うけど、あの人作品の伝えたいことをまとめるの天才的に上手すぎだろ。どの映画でも自然に作れるとか本人はチャットGPTなのかもしれないな。

題名も「君たちはどう生きるのか」というより「君たちはどう(思うかは知らんが俺が)生き(てきた間に培ってきた技術や思想をまとめ)る(この作品が理解でき)るのか」と思う程度にはパヤオだった。

自伝風アニメなので隠れ駿かもしれない。監督がかかわってきたアニメのオマージュが多いような気もした。

とにかく宮崎駿フルコースだよと出された品だった。
映画館に行くかは別として、たぶんもう一度みるだろうとは思う。

とりとめもなく書きました。感想というか気になったところとかざっと書きました。
今回の記事は以上になります。

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