スマホ故障で大騒動

突然、スマホが壊れた。

充電しながら音声会話アプリを使っていたら、それは熱を帯び、前触れもなく電源が落ちた。

大手キャリアで契約しておらず、appleストアから保証なしで買ったiphoneなので、修理をするのも自分頼りである。この大事故に助けはこない。

最初は軽い気持ちでいた。
どうせ『音量上→音量下→電源長押し』で治るだろうと。
あれ間違えたかな『音量上→音量下→電源長押し』。
繰り返す『音量上→音量下→電源長押し』。

びくともしない。
これはヤバいかもしれない、とここで自覚し始める。

機械に強い夫に助けを求め、itunesと同期させても反応せず。
「だめかも」
と夫から痛恨の一撃をくらう。

このへんで顔面蒼白になる。

電話もラインもTwitterもyoutubeもインスタも一瞬で奪われた。

そうだ。古いiPhone使えるんじゃないか!?
捨てられずにいたiphone5でこの場を乗り切れないかと考えた。

浅はかだった。

「SIMカード入れ替えて使えばいいじゃん」と思ったそこのあなた。旧phone5はauのSIMロックだ。つまりSIMフリーじゃないんだ。LINEMOのnanoSIM持って立ち尽くしたこの悲しみをわかってくれるか?

ええい、仕方がない!

wifi下で使ってやる。
電話はかけられなくとも他は使えるだろう、と思った。
…お察しの通り悲しい結末となった。

問題は二段階認証。
gmailもLINEも、最終的には『別端末からログインするなら、お前の電話に数字を送るからそれ入力してくれる?』と軽々しく言ってくる。こちとらその電話がないのだ。ここで詰んだ。

twitterはOSが古すぎてダウンロードできず、ブラウザで見ようとしたら、対応していないブラウザですの一点張り。

唯一wifi下だけで稼働したのは、

YouTubeとpodcastだけであった。
外出時は、強制完全デジタルデトックス。電話もLineもtwitterもない誰とも共有できない不安、丸裸で放りだされたような羞恥心を感じた。

普通ならここで「誰にも捕まらない自由」とか語るんでしょうけど、もともと友達が少ないので誰にも捕まらないのが通常モードです。なんならずっと捕まってたい。

いつからだろう。

携帯電話というものをかれこれ20年以上使ってきた。
依存というには長すぎる。

携帯電話は、早く着いてしまった待ち合わせの時間を埋めてくれた。
エレベーターで乗り合わせた人との微妙な空気感を救ってくれた。
遠くのほうからやってくる顔見知りほどでもない近隣住民との挨拶の間を持たせてくれた。

もうほとんど手の一部だし、近頃は帰る居場所でもあった。
今、もはや自我を奪われたも同然である。

翌日、

近くの修理屋さんに持ち込んだところ
「バッテリーも故障、基盤もダメ。水没までしちゃってます」
という絶望的な回答だった。

結局、税込110,800円で自我を取り戻すことにした。
iPhone13が届くまで、あと4日。

サポート…?こんな世知辛い世に私をサポートする人なんていな…いた!ここにいた!あなたに幸あれ!!