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ミミズ大博打

ミミズと小枝の違いを教えてください。

雨の夜、犬の散歩をする。
「家では絶対におしっこもウンチもしない」と決めた愛犬がいると、天気に関係なく散歩に駆り出される。

ここは田舎道。雑に放置されボコボコのコンクリート道には両端の土手から次々と這い出してくるミミズに溢れている。

それと同じ数だけ、イチョウ並木から落ちてきた細い小枝群が雨に打たれてぬらぬらと光っている。

パッと見、違いが分からない。街頭のない暗がりでは。

ミミズか、小枝か。
散歩の足取りは大博打だ。

100歩譲って、晴天の日に干からびた状態のミミズは良しとしよう。

しかし、だ。
生命力に溢れ、全身をくねらせ前進せんとする(上手く言った)その姿勢は我々が生きる上で確かに見習うところはあるだろう。

が、臓物が透け、脈動が伝わってぬるぬると這いずる生き物。まるで小指のような太さで、時折、べちんと反り返る動きにヒッと声が出る。

それを踏みつけたら、どうなるか。

絶対に避けなくてはいけない。
慎重に慎重に1歩づつ、時にはツイスターゲームのように変なポジションで歩みを進めていく。

そして突然、犬が走り出す。
努力虚しく、今踏んだのが小枝であってくれ、と強く願いながら犬を追いかけた。

サポート…?こんな世知辛い世に私をサポートする人なんていな…いた!ここにいた!あなたに幸あれ!!