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アブストラクトゲーム『Interplay』とアブストラクトゲーム『Interplay』を紹介してみる。

この記事はボードゲームに関わるエトセトラ Advent Calendar 2022の13日目、およびアブストラクトゲーム Advent Calendar 2022の13日目の記事として書かれました。

はい、どうも。
珍ぬと申します。
3年半近く、noteでボードゲームやパズル関連の記事をかれこれ250本ちょっと書いています。

ついこの間、複数のAdvent Calendarをハシゴする記事を書いてみようかと思い、双方のカレンダーの空いている日(13日目)がちょうどありましたので、乗っかってみました。

よろしくお願いします。

来年を見据えて鬼に笑われます

珍ぬはボードゲームやパズルを話題にした記事を書いているのですが、
毎年あるテーマでのシリーズ記事を書いて見るようにしています。

◆2020年:ドミノ

◆2021年:トリテと連句

◆2022年:マンカラ

来年もシリーズ記事のテーマを探しておりました。
その候補の1つとして、「Impartial Game(インパーシャルゲーム)」に注目しました。
インパーシャルゲームは、日本語にすると「公平ゲーム」「不偏ゲーム」です。

【引用】
不偏(impartial)ゲームとは、二人零和有限確定完全情報ゲーム(※)のうち、各状態でどちらのプレーヤが手を打つにしても、動かす選択肢の集合が常に等しいゲームのことを指す。

不偏ゲームには、ニム(Nim)、スプラウト(Sprouts)、クアルト (Quarto)、クラム(Cram)、チョンプ(Chomp)、ノタクト(Notakto)などがある。チェスや囲碁は、黒と白でお互いが動かす色が異なるので、不偏ゲームではない。また、ポーカーなどはお互いの手札が分からないので、不偏ゲームではない。

補注:
※ ざっくり言えば、アブストラクトゲームや組合せゲーム(コンビナトリアルゲーム)

引用をもうちょっと言い換えると、2人交互にプレイしていて、仮に一方のプレイヤーが手番をパスしたあと、もう一方のプレイヤーの手番でできることが、パスしたプレイヤーの選択肢といっしょ、ということです。
さらにもう少し見方を変えて、
・先手の手番で終了する=奇数手で終了する
・後手の手番で終了する=偶数手で終了する
とすると、1人で遊ぶのとさほど変わらないゲームです。

不偏ゲームが気になった

不偏ゲームをいろいろ探しまわりまして、とあるBoardgamegeekのギークリストをみつけました。
「"Impartial" 2-player Combinatorial games(公平な2人組合せゲーム)」です。

およそ30近くの不偏ゲームをまとめています。
さらに、リストから外した不偏ゲームっぽい不偏ゲームじゃないゲームも、記録が残っていました。
その1つが『Interplay(インタープレイ)』です。
で、『インタープレイ』の情報をかき集めてみると、面白いことがわかりました。
全くルールが異なる、同じタイトルのゲーム『インタープレイ』がありました。

ギークリストにあるのは1970年に発表された『インタープレイ』で、別ゲームとして見つけたのは1980年に発表された『インタープレイ』。
考案者は別人です。

『Interplay』(1980年)

まず、別のゲーム『Interplay(インタープレイ)』から紹介します。
このゲームの存在は、ブログ「ふうかのボードゲーム日記」で知りました。

それぞれのプレイヤーは、受け持つ色の
・細い柱コマ(10本)
・太い柱コマ(4本)
・太い筒コマ(4本)
を持ちます。

プレイヤーは交互に、盤面にコマを置いて(あるいは動かして)、敵自分関係なく、タテ・ヨコ・ナナメに
・細細太細細
・細太細太細
・細太太太細
のいずれかのパターンで並べると、勝ちとなります。

このゲームの考案者はPhilip Shoptaugh(フィリップ・ショップトー)さん。
彼のプロフィールは、サイトJawbonesのコンテンツ「About Shoptaugh(ショップトーについて)」に書かれています。

【引用】
Shoptaugh Games was founded in 1979 and incorporated in 1983. Its founder, Philip Shoptaugh, is a professional musician, inventor and toy and game designer with more than a dozen patents to his credit.

Many of the products now offered as part of the "Shoptaugh Collection" were originally created as "pit games" and were initially played and tested by his musician associates in the orchestra pits of San Francisco theaters.

【翻訳】
Shoptaugh Games は 1979 年に設立され、1983 年に法人化されました。その創設者である Philip Shoptaugh は、プロのミュージシャン、発明家、おもちゃおよびゲームのデザイナーであり、12 以上の特許を所有しています。

現在「ショプトー コレクション」の一部として提供されている製品の多くは、もともと「ピット ゲーム」として作成されたものであり、当初はサンフランシスコの劇場のオーケストラピットで彼のミュージシャン仲間によって試遊やプレイをされていました。

オーケストラの出番待ちの暇つぶしにうまれたゲームだったのかあ。

『インタープレイ』は、1986年に携帯版のTravel Editionがつくられました。

引用元:
https://boardgamegeek.com/image/871392/calypso

左上が『インタープレイ』、右下が「チェス」です。
残りの2つもShoptaughさんが考案したゲームです。
右上が『Calypso(カリプソ)』、左下が『Shuttles(シャトル)』です。


『Interplay』(1970年)

こちらが、ギークリストから外された『Interplay(インタープレイ)』です。

盤面は、7×7の方形に、中心から外れた位置に2×2の方形分マスがない、変則的な形状をしています。

最初に、先手プレイヤーが盤面の1箇所にコマを置きます。
次の後手の手番から交互に手番を行います。
手番にすることは、コマを動かしてもとにいた場所に別のコマを置きます。
すでにコマのあるマスには、移動できません。
コマの移動は、タテに3マスか、ヨコに3マスか、ナイトと同じ動きのいずれかです。

図にすると、タテ・ヨコに3マスはなれた場所です。
チェス盤のようにマスを市松に塗り分けましたが、コマは白→黒→白→黒→……と移動するので、うまくすれば盤面全てのマスを移動できる、と思われます。

コマの移動後、タテヨコに接したマスに別のコマがあれば、その数だけ得点になります。

コマが移動できなくなった、あるいは36回移動(各プレイヤー18手番)したら、ゲーム終了で、合計得点の多いプレイヤーの勝利です。


考案者は、代表作『Acquire(アクワイア)』などでおなじみの、Sid Sackson(シド・サクソン)さん。
『インタープレイ』は1970年にStancraft Productsから出版していますが、盤面やコマなどコンポーネントが似ているゲーム『Odd or Even(オッド・オア・イーブン)』『TEMPO(テンポ)』を出版しています。


なんで不偏ゲームでないの?

さて、Sacksonさんの『Interplay(インタープレイ)』が、なぜ不偏ゲームではないとしたのか?
ギークリストを立てたHerbさんの、外した理由のコメントです。

【引用】
I think you could have a position where a player who is ahead on points jumps to a "closed space" from which there was no subsequent move to end the game. That would not be the move that a player who was behind in points would make.
【翻訳】
ポイントで先行しているプレーヤーが、ゲームを終了するためのその後の移動がない「閉鎖されたスペース」にジャンプする位置を設定できると思います。それは、ポイントで遅れをとっているプレーヤーが行う動きではありません。

引用元:
https://boardgamegeek.com/geeklist/173292/impartial-2-player-combinatorial-games

いわゆる、負けが決定するような動きをつくることができるから、公平ではない、つまり不偏ゲームではない、ということです。

さて、あなただったら、どう考えます?

締め

ということで、アブストラクトゲーム『Interplay』とアブストラクトゲーム『インタープレイ』の紹介でした。
同名のゲームは結構ありますが、同じジャンルのケースもあるのか、と珍しく思ったのでした。

不偏ゲームはまだまだあるようなので、今後も追ってみます。

次回、
ボードゲームに関わるエトセトラ Advent Calendar 2022の14日目は、わにのこさん。
アブストラクトゲーム Advent Calendar 2022の14日目は、アニマルウィップさん。

お楽しみに。

では。


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