超動くマンカラ(12)~2次元マンカラは、いつ生まれた?(その2)
前回の記事はこちら。
2次元マンカラのルーツ探しですが、まさか1つのゲーム『Intermedium』で3回分費やすとは、想定を途方もなく間違えてしまいました。
今回は、『Intermedium』と同時期にあらわれた、これまた2次元マンカラっぽいゲーム『Tower of Power(タワー・オブ・パワー)』を紹介します。
『Tower of Power』
いきなり話を脱線します。
「Tower of Power」と聞いて、ボードゲームではなくジャズ・ファンク・R&Bバンドを連想する方は、かなりの通です。
結成が1968年で、現在も活動中。
ボードゲームよりも数年先輩です。
はい、脱線終わり。
『タワー・オブ・パワー』は、1976年にMichael Baldwin(マイケル・ボールドウィン)さんがイギリスの雑誌「Games and Puzzles」で発表しました。
上のリンクは「Mancala World」。
Boardgamegeekにも登録されていますが、ほとんど情報がありません。
このゲームは別名、フランス語で『Tours(トゥールス:意味は「塔」)』、オランダ語で『Rupsenoorlog(ルプスヌオログ:意味は「イモムシ戦争」)』と呼ばれます。
ルールと遊んだ感覚だと「イモムシ戦争」が結構的を得ています。
『Tower of Power』の遊び方
【プレイ人数】
お約束通りの2人専用です。
【用意するもの】
・通常のチェス・チェッカー盤(8×8の正方形マス)
・2種類のコマ 各15個
【ゲームの準備】
下の図のように、コマを配置します。
プレイヤーは、白(左下側)と赤(右上側)になります。
【ゲームの目的・勝利の方法】
交互に手番を行い、プレイヤーの手番で動かせるコマがないと負けになります。
【ゲームのすすめ方】
青→赤→青→赤→、と交互に手番がまわります。
◆コマの動かし方
手番のプレイヤーは、以下のルールに従って2段階でコマを動かします。
1)コマを集める
タテ・ヨコ・ナナメの8方向で、自分のコマが1個以上ある(細かい説明は後述)連続したマスから、コマを1個ずつ取り、自分のコマのあるマスに重ねて置きます。
例1−1:左上のナナメに3個コマを、
例1−2:その先の自分の駒のあるマスに重ねておきます。
注意:途中に自分のコマがないマスがある場合は、この移動はできません。
2)コマを播く
引き続き、1)でコマを集めたマスから、1)で集めた同じコマの数だけ、タテ・ヨコ・ナナメの8方向(ただし、1)で集めたときの真逆の方向を除く)に、自分のコマを1個ずつ連続しておきます。
例2−1:上の方向にコマを
例2−2:播きます。
すでに、自分のコマがあるマスは、重ねて置いてスタックとなります。
以上で手番は終わり、相手の手番に移ります。
◆敵のコマの捕獲とスタック
もう1つ、スタックを含むマスがある場合と、敵のコマの捕獲の例をかきます。
例3−1:白の連続した4個のコマを動かします。
例3−2:マスからコマを1個ずつ取るので、積み重ねたスタックは残ります。
例3ー3:右方向にコマを播きます。
播いたマスに、敵のコマがあると、敵のコマを1枚捕獲し、ゲームから除外します。
スタックのあるマスで、1番上に敵のコマがあると、そのコマを1枚捕獲し、ゲームから除外します。
捕獲した後は通常通り、自分のコマを(スタックの場合は1番上に)1個播きます。
注意:
スタックで動かせるコマは1番上のコマだけになります。
1番上のコマを動かすと、その下のコマが動けるようになります。
【その他、引き分けの条件】
両者のコマが少なく(目安は双方3個以下)なって膠着状態となり、どちらかの勝ちもみえない場合は、合意の上で引き分けとなります。
逆マンカラ?
以上が『タワー・オブ・パワー』の遊び方となります。
自分のコマの動かし方の後半部分、1方向にコマを連続してマスに置くアクションが、マンカラっぽいゆえんです。
ですが。
前半部分のコマを集める動かし方……これ、どこかで見たことありませんか?
これ、「マンカラ一人勝ち問題」こと「Tchoukaillon(チュカイロン)」を考えるときに使った、石の動かし方です。
マンカラは「石のある穴1個を選び、そこから隣の穴へまた隣の穴へ、石を1個ずつ播く」アクションです。
この逆の動きはどうなるかというと「石のある穴から石を1個収穫し、その隣の穴の石、また隣の穴と収穫し続けて、石のない穴に到達したら、収穫した石を全部播く」ことになります。
例えば、
223140 ……と、穴に石が配置されていると、
ーーーーー+
112035 ……ーの穴からは石を1個とり、+の穴には取った石5個を播きます。
このアクションを「逆播き(Reverse Sowing)」とか「逆マンカラ」と呼んだりします。
逆マンカラですが、2人以上のマンカラよりも1人で遊ぶお手玉ンカラでよく見かけます。
締め
ということで、次回はまたもや番外編に寄り道します。
予定では2回。
そのあと、本編に戻ります。
では。
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