転校してきた美人から執拗に追いかけられたら…
まただ。
今、僕は狙われている。
あの人に…
陽子:・・・・
〇〇:・・・・!
陽子:あっ。
〇〇:あっ。
気配を感じて振り返った瞬間、草木に隠れていたあの人と目があった。
〇〇:さよならああああ!!!!!
陽子:待ってよおおお、逃げないでよ〜〜!!!!
始まった、あの人との命がけの鬼ごっこが…
全力で走ったつもりだが、あの人も中々の俊足の持ち主だった。
〇〇:陸上選手かよ…
なんとか走って振り切り、建物の陰に隠れた。
何故、こんなことになったのかというと…
〜一昨日のこと〜
先生:皆さん、今日からこのクラスに転校生が新しく入ります。
?:誰だろう…
?:すっごいイケメンかな?
?:めちゃくちゃ可愛い子だったり?
クラス中がざわつき始めた。そして…
(教室の引き戸が開けられる音)
?:えっ…す、っごく綺麗な子…
?:あんなに顔整った子、いるんだ。
入ってきた転校生は確かに美人だった。昭和のお淑やかさとそれでいて現代の可愛いさといったのが融合されたかのような感じだった。
陽子:はじめまして、正源司陽子と言います。
よろしくお願いします。
自己紹介を終えた彼女は、僕の列の1番前の席に座った。
座っている後ろ姿も綺麗だなと授業中にも見つめてしまった。
1限目の授業が終わると早速、彼女が気になる男子や友だちになろうとする女子が彼女の席に集まっていた。
自己紹介したり、趣味なんかの話しているんだろう。
まぁ、どうでも良いや。
僕なんかが関わることなんてないだろうし…
こんな地味な僕なんかが…
一瞬、その転校生がこっちの方に振り向いたが、僕は目を逸らした。
転校生がやってきたその日。
一日の授業が終わり、帰る支度を整えて僕は教室を出た。
〇〇:(ふ〜、今日も無事に乗り越えられた…)
いつも僕に絡んでくる男子たちも、今日は新しく入ってきた転校生に夢中で僕のことなんかすっかり忘れているようだった。
そういった意味では、転校生に感謝していた。
校門を通って歩いてしばらくした時、
ササッ
誰かが隠れる音がして僕は振り返った。
〇〇:(誰かがつけてる?僕のこと。)
クラスのチャラい男子たちが後をつけてる可能性も考えられて、僕は急いで走った。
いつものように家にまっすぐ帰らず周り道をした。
けど、振り返っても誰もいなかった。
〇〇:って、考えすぎだよね。バカだな…
(枝が折れる音)
〇〇:!
確かに聞こえた。僕はその音がした草木に近づいた。
〇〇:え…?
その草木から出てきたのは、クラスに転校してきた女の子だった。
陽子:・・・
〇〇:(な、なんかこっちをじっと見つめてる…)
陽子:・・・ニヤッ
〇〇:(きゅ、急に笑ったんだけど!?)
やばい!と思った。
ダダッ
〇〇:うおおおおおお!!!!!!
陽子:あっ、待ってええええ!!!!!
僕が走り出したのと同時に、彼女も目の色変えて追っかけてきた。
〇〇:(何あの子、想像してたのと違う!!!)
転校生とその転校生に追いかけられる僕の構図は、まるで肉食動物が草食動物を狩るかのようだった。
〇〇:はあ…はあ…はあ…
追いかけてくるチーターから全力で逃げ続け、僕はいつの間にか混雑していた駅のロータリーについた。
〇〇:よし、ここなら撒ける。
転校生の方を見ると、どうやら少し離れたところで僕を見失ったようだった。
〇〇:チャンス!!
その隙に僕は駅の地下通路を通って抜け道を使い、ロータリーから離れて家に続く道に戻っていった。
〇〇:はぁ〜、ハァ〜…
とりあえず家には帰ることが出来た。
〇〇:ったく、なんて日だ。
学校で何事もなく平穏に過ごせたかと思いきや、まさか帰り道で命の危険にさらされるとは…
次の日、僕はギリギリまで教室に入らないでトイレに隠れた。
HR開始まであと1分を切ったタイミングで教室に入った。
すでに転校生は席について、クラスメイトとお喋りしていた。
〇〇:よし、狙い通りだ。
そして、僕は授業が終わる度にその転校生に捕まらないように教室から毎回出て適当な場所に隠れていた。
〇〇:頼む…見つかるなよ…
前に一度だけ、こんな感じに学校に現れた妖怪から隠れながら逃げて脱出するみたいなゲームを従兄弟とやったっけ。
〇〇:なんでこんな目に…
そう思いながら、毎度の授業間の休憩をやり過ごした。
そして、ついに最後の授業が終わった。
〇〇:(急げ〜、急げ〜)
しかし、カバンを持った瞬間に転校生と目が合った。
陽子:(ニヤリッ)
〇〇:マズい…
急いで、教室から出た。
陽子:待てえええ!!!今度こそ捕まえるよ!!!!
遠くだったが、ついにはっきりと言った。
〇〇:嫌でええええす!!!!
しかし最初の時と違って距離があったのか、早い段階で転校生を撒けた。
陽子:ああ、もう!!見失った!!
〇〇:(よし、よし!!そのまま帰ってくれ!!)
陽子:なんであんな逃げ足速いのよ…
諦めたのか、転校生はそのままいなくなった。
とりあえず転校生との追いかけっこは連勝した。
〇〇:ふ〜、生還したぞ〜
と家に帰り、風呂に入って生の喜びを感じた。
〇〇:はぁ…、今日も大丈夫だよね。
昨日と同じように隠れ、またやり過ごせば良い。
簡単なことだ。
よしよし…
ポンッ
〇〇:!
陽子:みーつけた!
油断した。
足音が消えていたと思ったら、いつの間にか背後にいたのだ。
陽子:ふふ、逃がさないよ〜
両腕をしっかり掴まれ拘束された。
終わった…
ライオンに食べられるシマウマの気持ちになった。
〇〇:お願い、食べないでくださあああい!!!
陽子:いや、そんなことしないから!!
〇〇:じゃあ、何が目的なんですか!!!?
陽子:分かった、分かった。落ち着いて…
転校生が両腕を離し、拘束を解いてくれた。
陽子:聞きたいことがあるの、君に。
〇〇:ぼ、僕に?
一呼吸ついて、転校生が口を開いた。
陽子:君、〇〇くん?
〇〇:な、なんで僕の名前知っているの?
陽子:やっぱり!
〇〇:もしかして、どこかで会ったこと…
陽子:会ったどころじゃないよ、ほら幼稚園一緒だったじゃん!
〇〇:(幼稚園…そういえば…)
確か一緒によく遊んでいた子がいたな…
女の子でよく一緒に鬼ごっこをしていて、確かゲンちゃんって呼んでて…
ん?ゲン…源…正源司…あっ。
〇〇:ゲン、ちゃん?
陽子:あ、思い出してくれた‼️
まさかこの転校生があのゲンちゃんだったとは…
お互い成長していたから分からなかったけど、凄く嬉しそうなその顔だけは幼稚園の時のゲンちゃんそのまんまだった。
陽子:〇〇くんだけだよ、私のことゲンちゃんって呼ぶのは。
〇〇:え、嫌だった?もしかして…
陽子:ううん、なんかその方が安心するよ。前と変わんない〇〇くんって感じがしてさ。
〇〇:そっか、なら良かったよ。
ゲンちゃんには悪いことしたなと、謝罪した方が良い気がしてきた。
〇〇:ごめん、なんか逃げたりして。
陽子:ううん、楽しかったよ。昔みたいに追いかけっこして。
〇〇:そうか。
陽子:なんか変わったね、〇〇くん。
〇〇:そう?まぁ、幼稚園の時から随分時間経ったし。
陽子:前の時より暗いよ。
〇〇:え?
陽子:小さい時に私と遊んでいた時の〇〇くんは明るくて、友だちも沢山いたじゃん。でも、なんか今の〇〇くんずっと一人ぼっちみたい…
やっぱりゲンちゃんにもそう見えるのか…
ゲンちゃんに会えた嬉しさからと、両親以外の人と久しぶりにちゃんと話したいと思ったからか、僕はゲンちゃんに打ち明けた。
〇〇:こっちに引っ越してから、都会の雰囲気に慣れなくてさ。
〇〇:それに、今の流行りとかに僕疎くて…話ついてけないんだよね。
〇〇:だから、友だち全然できなくて…
陽子:そっか…〇〇くん、昔は近所の子たちのリーダーみたいな感じだったよね。
〇〇:そうだね、みんなで川で遊んだりとかしたね。
陽子:覚えてる?昔、私たちがよく遊んでいた場所を、年上の子たちが無理やり占領しようとしたのを、みんなで止めたの。
そういえば、そんなことあったな…
サッカーボールを持った、僕たちより背の高い男の子二人が威張って僕らが遊んでいたところに踏み込んできたことが。
(回想)
?:おいチビたち、ここ譲れよ。
〇〇の友だち:なんで?僕らが遊んでいたのに。
?:なんだ、生意気だな!
〇〇の友だち1:うわ!?
〇〇:何するんだ、僕の友だちに!!!
蹴られた僕の友だちの仇を取ろうと、背の高い男の子に突進した。
?:な、やめろ!!
けど、すぐ投げ飛ばされた。
陽子:〇〇くん!?
?:おい、こいつみたいになりたくなかったら今すぐ…
陽子:ああああ!!!
その時、ゲンちゃんは男の子の足元に近づいて、男の子の足を持ち上げたのだ。
陽子:おりゃああああ!!!
?:なっ!?
ドサッ
思いもしなかった攻撃をもらった背の高い男の子は、尻を強く打ち痛がっていた。
?:痛ええ!!!
?:てめー、女のくせに!!
残っていた男の子がゲンちゃんに殴りかかろうとしていた。
陽子:あっ!
〇〇:うおおお!!!!
〇〇の友だち1:〇〇!!!
〇〇の友だち2:陽子ちゃんを守れ!
二人の友だちも駆けつけ、僕たち3人で男の子の足を持ち上げて尻もちをつかせた。
?:クッソ、覚えてろよ!!!!
4人の小さな子どもに反撃され、背の高い男のたちは逃げていった。
陽子:〇〇くん、ほっぺ怪我してる。
〇〇:え、痛っ。
〇〇の友だち:水で洗った方が良いよ!
ゲンちゃんたちに連れてもらい、川の水で傷口を洗った。
それから、ゲンちゃんが持っていたバンドエイドを頰の傷に貼ってくれた。
陽子:うん、これで大丈夫なはずだよ。
〇〇:ごめん、ありがとうみんな。
〇〇の友だち1:ううん、〇〇のおかげでみんなでやっつけられたんだよ?
〇〇:え?
〇〇の友だち2:まぁ。最初は陽子ちゃんがアイツを倒したけど笑。
陽子:〇〇くん、カッコ良かったよ。真っ先にあの怖い男の子に向かってさ。
(ここまで回想)
〇〇:前なんかと比べたら、ダメになったよね僕は…
一人で呆れていると、
陽子:ねぇ、また追いかけっこしない?昔みたいにさ。
〇〇:なんで?
陽子:ほら、少しは元気でるかもしれないじゃん。
〇〇:じゃあ…
陽子:タッチ!〇〇くんが最初オニね!
ゲンちゃんは笑いながら走っていった。
〇〇;ふ〜、よし。
ここ最近ずっと追いかけられた分を返すつもりで、僕は全力で走り出した。
陽子:あはははッ
〇〇:待てーー!!!絶対に捕まえてやる!!!
陽子:へへ〜ん、追いつけるかなー??
なんか久しぶりに楽しかった。
〇〇:余裕かますなあーー!!!
陽子:うほーー、怖〜い!!笑
ドンッ
陽子:うわあ!?
角を曲がるタイミングでゲンちゃんは人とぶつかってしまった。
?:あっ?どこ見てんだガキ??
陽子:あっ、すいませ…
?:ごめんで済むと思うなよ??
〇〇:ゲンちゃん!?
追いついた僕は、ゲンちゃんがチンピラの男二人に捕まっているのが見えた。
チンピラ1:あ、この女お前の彼女か?
〇〇:え、ああ…その…
陽子:〇〇くん、助けて!!
チンピラ2:喋んな、ガキ!!
チンピラ1:どうなんだ?
〇〇:その…僕の友だちです。
チンピラ1:そうか。お前にケジメつけてもらおうと思うんだよな。
〇〇:ケジメ…
チンピラ1:お前の持っている金、全部出せ。
所謂恐喝だった。でも、このままだとゲンちゃんが…
〇〇:わかりました…
急いで、カバンから財布を出そうとした。
陽子:ダメだよ、〇〇くん!
チンピラ2:っるせえ!!喋んなっつっただろうが!!
〇〇:(え…!?)
学校のカバンを漁って僕は、あることに気づき焦り出した。
〇〇:(無い、財布が無い!!)
チンピラ1:どした小僧、金早く出せよ。
〇〇:いや…その…
チンピラ1:貸せ!
無理矢理カバンを取られ、カバンの口を逆さまにして中身を全部出された。
〇〇:あっ!
落ちたノートやペンケース、教科書などを調べられた。
チンピラ1:おい、無いじゃねーか金が。
ボコッ
頰を殴られ、僕は背中から地面に強打した。
〇〇:ゲホぉ!!
唇から血が出て、背中に激しい痛みを感じた。
陽子:ほがほが(〇〇くん!?)
チンピラ1:舐めたマネしやがって。
〇〇:うぐ……!
その時、あの光景が蘇った。
(回想)
陽子:おりゃああああ!!!
〇〇の友だち1:〇〇!!!
〇〇の友だち2:陽子ちゃんを守れ!
(ここまで回想)
〇〇:・・・
チンピラ1:てめー、覚悟し…
〇〇:うおおおお!!!!!
チンピラ1:何!?
痛みを押し殺して立ち上がり、僕はゲンちゃんを捕まえているチンピラの方に一気にダッシュした。
陽子:!
それを見たゲンちゃんが、チンピラの腕に噛み付いた。
チンピラ2:ぎゃああ!?
チンピラが腕をゲンちゃんから離した瞬間、僕とゲンちゃんで男の足を持ち上げた。
〇〇・陽子:おらああああ!!!!!
ドサッ ゴンっ
チンピラ2:あへ〜〜〜
頭を地面に強打したチンピラが目を回して気絶した。
〇〇:はぁ〜、はぁ〜…
陽子:ありがとう、〇〇くん。
〇〇:あ、うん…!?
殺気を感じて、咄嗟に僕はゲンちゃんを突き飛ばして庇った。
ズガッ!!!
チンピラ1が持っていた木のバットが腹に直撃して、宙に少し浮かされて飛ばされた。
〇〇:うわぁ!!??
またも背中を強打し、呼吸が苦しくなった。
〇〇:オェ…ゲホ…
チンピラ1:調子に乗るなよ??
陽子:やめて!!〇〇くんが死んじゃう!
チンピラ1:騒ぐな、ガキ。
〇〇:ゲン…ちゃん…
視界がぼやけて、うっすらチンピラの足だけが見えた。
チンピラ1:悪く思うなよ。
死を悟り、僕は目を閉じた…
ガシッ
チンピラ1:な、誰だテメー!?
〇〇:(え?)
まさか、ゲンちゃん?
いやでも、だったら「誰だテメー!?」って言わない筈…
目を開けると、
〇〇:!
思いもしない人が立って、チンピラのバットを素手で止めていた。
陽子:桐生くん?
桐生:おい、拳相手に武器使うなんて卑怯だろ?
チンピラ1:なんだ、こいつの仲間か?
桐生:同じクラスメイトだよ。
〇〇:(なんで、君が…)
桐生:おらよっ!!!
桐生くんがバットを無理矢理奪うとバットを投げ捨て、チンピラにストレートを数発食らわす。
チンピラ1:ぐおおお!?
桐生:っつああ!!!
トドめのキックがチンピラに必中し、泡を吹いて地面に仰け反った。
僕によく絡んでくるチャラい男子たちのリーダー格な桐生くんが、まさかの僕たちを助けてくれた。
桐生:大丈夫か、田口。
〇〇:え、ああ。
桐生くんが伸ばした手を取り、立たせてもらった。
陽子:ありがとう。桐生くん。
桐生:気にすんなって。
〇〇:どうして、君がここに…?
桐生:どうしてって、ここ俺の帰り道だから。
〇〇:そう、か。
桐生:やっぱ、俺のこと嫌いだよな。
〇〇:え、それは…
桐生:隠さなくて良いぞ。俺はお前のこと散々馬鹿にしてきたからな。
嫌われて当然だ。
陽子:桐生くん…
桐生:でも、正直お前のこと見くびってた…お前も凄いところあるんだな。
〇〇:え?
桐生:陽子ちゃん守るために、あんな無茶してよ。バットって結構やばいんだぞ?当たりどこ悪けりゃ最悪なことになってた。
〇〇:そうなんだ、知らなかった。
陽子:でもありがとう、〇〇くん。桐生くんも。
桐生:良いって、じゃっ。
そのまま桐生くんは背中を向けて手を振りながら去ろうとした。
〇〇:待って!
桐生:お?
〇〇:ありがとう、助けてくれて。
桐生:おうよ。
しかし、数歩歩くと桐生くんが立ち止まった。
桐生:やっべ忘れてた。
〇〇:何を??
桐生:警察に通報しなきゃ。
陽子:ああ、そうだね!
桐生:それに、俺も一緒にいなきゃだな。お巡りさんに色々聞かれるだろうし。
〇〇:ああ、そうだね…
結局、3人で警察に通報してチンピラたちを道路の脇に寄せて寝かした。
陽子:どうしよう、また起きたら。
桐生:そしたら、俺と田口でまた眠らせるよ。な?
〇〇:え、ああもちろん。
陽子:そっか。
〇〇:って、良いのか?それで?
桐生:さあ〜な、二度目はワンチャン正当防衛にならないかもな。
〇〇:ダメじゃん。
桐生:そしたら一緒に土下座するしかないな、お巡りさんによ。
陽子:そうだね、3人で。
〇〇:いやゲンちゃんは悪くないんじゃ…
桐生:水臭いこと言うなよ〜ってことだろ?陽子ちゃん。
陽子:そうそう。
〇〇:ん…、まっ良いか。
いつの間にか3人で仲良しになり、笑っていた。
それから警察が到着して、チンピラ二人が連行された。
僕たちも別のパトカーで警察署に行き、事情聴取に応じた。
3人とも事情聴取が終わり、ようやく解放された。
桐生:じゃあな、二人とも。
陽子:うん、またね桐生くん。
桐生:おう。〇〇!
〇〇:ん?
桐生:陽子ちゃんと仲良くな。
〇〇:な、何言ってんだよ!?
桐生:はは、冗談だよ。またな。
〇〇:ったく、またね。
ゲンちゃんと一緒に手を振って桐生くんと別れた。
陽子:ねぇ、〇〇くん。
〇〇:何、ゲンちゃん?
陽子:あのさ、さっき怖いお兄さんが〇〇くんに言ってたじゃん。私のこと〇〇くんの彼女って。
〇〇:え、ああ…そうだったね。
陽子:あれ、本当にならないかな?
〇〇:え!?いや、その…💦
陽子:私はもう決めたけどね。
〇〇:へ?
陽子:〇〇くんの彼女になるって。
いきなりで一瞬戸惑った。
でも、ゲンちゃんはもう決めた。
なら、僕も決めなきゃ。
〇〇:ゲンちゃん。
陽子:何?
深呼吸してから、僕は伝えた。
〇〇:僕も決めた。ゲンちゃんの彼氏になるって!
伝えた時、顔が物凄く暑くなった。
ギュッ
陽子:ふふ、嬉しい。
ゲンちゃんが手を握って、微笑んできた。
陽子:ありがとう!!
〇〇:よろしくね、ゲンちゃん。
陽子:うん、よろしくね。〇〇くん。
fin.
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