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きおくの昇華

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過去を基に構成した文章です。 私小説。 私が、書ける!と思った順に綴ります。
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記事一覧

転がる林檎・2

転がる林檎・2

葬儀で起こった出来事の話(連作・短文)

興味のある方はどうぞ!

※連作の公開順序は文章の経過を追わない場合があります。
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※個人名は仮名です。
※無断転載等はお断りします。

ー 転がる林檎・2 ― 太く芯の通った声が脳に響く。
 和尚様の唱えるお経は周辺の雑音を押しのけて、美しい唄のように聞こえる。
 伯父達の騒動は和尚様が止めてくれた。
 大の男が髪や衣

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きおくの昇華・番外編

きおくの昇華・番外編

ー 先日の話 ー
 ※登場人物は仮名です。

 諸事情や仕事の関係で何度も住処を変えましたが、十年程前から現在住んでいる地域に落ち着きました。
 母親や兄姉達とは遠く離れた土地にいます。
 人生を振り返れば苦労もありましたが、今はそれなりに幸せです。
 平穏な日々がこの先も続けばいいと願っています。 
 
 生まれ育った故郷は、父の葬儀以来一度も帰省していないので、全ての親戚と連絡を取っていません

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ー 疑いの確認 ー

ー 疑いの確認 ー

身内の話。
興味のある方はどうぞ。

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 ー疑いの確認ー

 出勤時間の朝8時頃、携帯電話の呼出音が鳴った。
 会社に向かう途中の私は、着信相手を確認することなく携帯電話を耳に当てた。
「理恵ちゃん、母ちゃんだけど。父ちゃんが亡くなったよ」
 父の死去の

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ー 悪い夢 ー

ー 悪い夢 ー

しんどい夢の話。
短文です。

note内を整理している最中に削除してしまったので改めて書きました。
興味のある方はどうぞ。

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 ー 悪い夢 ー

 月に一、二度見る夢があった。

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ー 転がる林檎 ー

ー 転がる林檎 ー

葬儀で起こった出来事の話

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  ー転がる林檎ー

 父の葬儀場は町内の公民館だった。
 私は実家で喪服に着替えると腹を括って公民館に向かった。
 「高田家葬儀」の張り紙を確認し、慰問受付の前を通り、葬儀が行われる広間に入ると数人の中年男女が立ち話を

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ー 鬼の声 ー

ー 鬼の声 ー

幻聴の話。

興味のある方はどうぞ。

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 ー 鬼の声 ー

 子供の頃、幻聴を聞くことがあった。
 幻聴は不定期に聞こえだし、3日間ほど続く。
 最も古い幻聴の記憶は3歳の時だ。
「鬼がいる」

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