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「ライター入門、校正入門、ずっと入門。」vol.3

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「校正・校閲の仕事を専門とするプロフェッショナル集団」聚珍社の中嶋泰と、フリーライターの張江浩司が多種多様なゲストお迎えしつつ、定期的に酒を飲みながらぼんやりと「書くこと、読んでもらうこと」について話していくトークイベントの模様を、ダイジェストでお届けします。

フルの動画アーカイブはこちらからご覧いただけます。
https://twitcasting.tv/loft_heaven/shopcart/66872

面白人間大集合

張江「このイベントもvol.3になりまして、通算4回目ですね。ご覧の皆さまありがとうございます!司会進行の張江浩司です」

中嶋「本イベントを主催しております、校正を専門としている株式会社聚珍社の中嶋です。」

張江「今回は『兼業ライターの可能性』をテーマにゲストをお呼びしています。皆さん、どうぞ!」

(ゲスト登壇)

一色「4ん度目ましてですね、XOXO EXTREMEの一色萌です。今月もよろしくお願いします!」

ケムタ「はい、よろしくお願いします。ライターの大坪ケムタです。vol.3で俺が呼ばれたってことは、もうゲスト候補がいないってことなんじゃないですか?(笑)」

張江「いやいやいやいや!(笑) もうケムタさんがいれば今日は大丈夫ですよ」

中嶋「なにせ年間100本くらいトークイベントを企画してらっしゃいますからね。3日に1本ですよ」

ケムタ「多いときはそれくらいですね」

一色「めちゃくちゃすごいですよ!」

ケムタ「でも自分のイベントで司会するときは、自分からゲストに話を聞くわけじゃないですか。無茶な質問振って隣で笑ってればいいんで、呑気なもんですよ(笑)。今日はゲストの立場なんで、無茶振りされたら困ります!」

張江「お次は関西からリモートでの参加です」

みほたん「地下アイドル兼ライターという肩書きでやっております、オタフクガールズの狸山みほたんです!よろしくお願いします」

ケムタ「みほたんは、ちょうど1年前くらいに『コロナ禍でアイドルはどうしてるのか?』っていう記事で取材させてもらいました。関西在住で、キャリアもあってちゃんと話せる地下アイドルはなかなかいないので、取材対象としてもみほたんはありがたい存在です」

張江「私も以前、某イベントの楽屋でみほたんと一緒になって、話が面白くて爆笑した思い出があるんですよ。今日は図らずも面白人間大集合になりました」

AVの神に導かれてライターに

張江「ケムタさんはライターを始めてどれくらいになりますか?」

ケムタ「フリーライターになる前に広告のコピーライターをやっていたので、それも含めると24,25年くらいですね。1999年に上京して、雑誌を中心に書き始めました」

中嶋「まだギリギリ紙媒体の景気がよかった頃ですね」

張江「なんで上京したんですか?」

ケムタ「大学卒業して、地元の佐賀の小さい広告代理店に就職したんですね。2年間コピーライターやって、その後の2年は営業になったんですけど、やっぱり文章を書く仕事したいし、東京にも行ってみたいなと思っていたんですけど、なかなか踏ん切りがつかず。世の中はちょうどWindows 95とかの時期で、自分でもホームページを作って東京の人と交流したりしてたんですね。このホームページにはAVのことを結構書いてたんです」

張江「テキストサイトの頃ですか」

ケムタ「もっと前ですね。個人サイトとか呼ばれている頃で。まだGoogleがない時代ですね」

一色「え?」

ケムタ「Yahooにもまだ目次みたいなものしかなかったですし」

一色「ええ……??」

張江「一色さんが本当に信じられないっていう顔をしてます(笑)」

ケムタ「もちろんYouTubeもないです」

一色「逆になにがあったんだろう……」

ケムタ「ある日、社用車に乗って営業に出てたらフッと居眠りしてしまって、気づいたら目の前に8tトラックが走ってきたんですよ。そういうときって視界がスローモーションになるって言いますけど、本当にそうなったんです。フロントガラスがビシッと割れて屋根がへこむのがゆっくり見えて、ガリガリと振動が伝わってきて、『あれ?なんかこういうの見たことあるな』って思ったんですね。『あ、こないだ見たAVにこんなシーンがあった』って」

一同「えーー!(笑)」

ケムタ「で、気がついたらトラックと正面衝突で社用車は廃車になったんですけど、自分の身体は擦り傷2箇所くらいで済んだんですよ」

一色「めちゃめちゃ丈夫じゃないですか(笑)」

中嶋「じゃあ、ずっと意識はあったんですね」

ケムタ「全部覚えてます。そこで『俺はAVの神様に愛されてるのかもしれない』って思って(笑)。大学受験でホテルに泊まったときに有料チャンネルでAVを初めて見たんですけど、そのテレビが壊れてて無料でAV見放題だったんですよ。もう受験どころじゃなくて(笑)。朝までAV見てたのに、試験を受けたら合格したんですよ!そのときも『AVの神様がいるな』って思ったんです」

張江「人生の節目に『AVの神』からの啓示が(笑)」

ケムタ「もうこれは意を決してAVのライターになろうと。僕の師匠にあたる安田理央っていうライターに相談したら、事務所の机が空いてるから東京来なよって言ってもらったんで、上京しました。ちょうどその頃のAV業界は、それまでレンタルAVしかなかったところにセルAVっていうものが出てきて、実質、市場が2倍になったんですね。だから関連する雑誌も倍に増えたんで、仕事がめちゃくちゃあったんですよ。一色さんの隣でAVって連呼して申し訳ないんですが……」

一色「あ、大丈夫です」

ケムタ「上京直後から仕事は山のようにあったので、そこからフリーライターになったというのが経緯です」

張江「安田理央さんともインターネットで知り合ったんですか?」

ケムタ「そうですね、サイトを見てくれたみたいで、『面白いね』とメールがきました。ネットがきっかけで知り合った人は多いですね。当時ナードコアユニットLEOPALDONとして活躍していた高野政所くんとかRAM RIDERくんとか、音楽関係者も多いです。それまではミニコミを印刷して作ってた人たちがネットなら全部一人でできるっていうことで、色んなカルチャーの人たちが集まってたんですよ。当時勤めてた広告代理店からパソコンは支給されたしソフトも揃ってたんで、環境が整っていたのは大きかったですね。テレホーダイっていう23時から朝までは電話代が定額になるサービスがあったんで、それで毎日朝までインターネットしてたら居眠り運転で事故を起こしたっていう」

一色「全部が繋がってる!(笑)」

張江「それにしても上京してすぐ仕事があったっていうのは、タイミングよかったですよね」

ケムタ「そうですね。エロ本の仕事をしながら、飲み会とかで違う媒体の編集者とも知り合ってプロレスの記事を書くようになったり。Webでは2001年くらいからAll Aboutで書きはじめて、2006年からはデイリーポータルZでも書くようになるので、比較的早い方ですね。自分でもうまいこと色々やれてるなと思います」

張江「イベントの企画が多くなったのはいつ頃からですか?」

ケムタ「イベント自体は2005年くらいからちょいちょいやってたんですが、多くなったのはここ3,4年ですね。アイドルをインタビューする機会は前からあったんですが、『このアイドルは面白いから取材したい』と思っても全国誌だとある程度知名度がないと企画が通らないんですよね。そういう知名度なくても面白い人たちをなんとか取り上げたいなっていう気持ちはあったので、トークイベントだなと。質問考えてお話を聞くっていう作業は一緒だし、テープ起こしと原稿書かなくていい分むしろ楽ですから(笑)」

張江「確かに!ちゃんとお客さん入れば原稿料よりも稼げますしね」

ケムタ「赤字のリスクもありますけど(笑)。イベントは目の前のお客さんに楽しんでもらわないといけないんで、なるべく笑いだったり盛り上がりが必要なんですよ。インタビューだと、その場では盛り上がらなくても原稿にまとめたときに面白くなってるものもありますから。逆にインタビューであんなに盛り上がったのに、文字にしたら全く内容がないっていうときもあります(笑)」

中嶋「空気を文字にするって難しいですよね」

ケムタ「芸人さんならともかく、エピソードを用意してインタビューを受けるわけじゃないじゃないですか。その点、一色さんはちゃんとしたエピソードが毎回あるんで助かりますよ」

一色「恐縮です!」

中嶋「僕がケムタさんを知ったのは2014年に出た『ゼロからでも始められるアイドル運営 楽曲制作からライブ物販まで素人でもできる!』 (コア新書) で、この頃にはイベントも多くやられてましたよね?」

ケムタ「この本が名刺代わりになって、色んなイベントの企画が通りやすくなった感じですね。これを読んでアイドル運営始めたっていう人もいましたし。アイドル以外にもAV女優さんだったり、漫画家さんだったりで企画することもありますし、今日みたいに自分がゲストになることもあるので、気づいたら年間100本くらいになりました。おそらく、その中で一色さんが僕のイベントの最多出演者だと思いますよ」

一色「私も『ゼロからでも始められる〜』を読んでて、アイドルになる前からケムタさんを知ってたんですよ。だからケムタさんと一緒にお仕事することが一つの目標だったんですよね。キスエクに入って初めての一人仕事がケムタさんのインタビューだったんです。そこで私自身がアイドルオタクだっていうことや、父親にアイドルやってることを隠してることとか、自分では面白いって気づいてなかったポイントをたくさん掘り起こしてもらったので、めちゃくちゃ恩人なんですよね」

ケムタ「一色萌はワシが育てた!」

張江「それ言いだす業界人が一番ヤバいですよ(笑)」

フリーペーパー→芸人→tinder→ライター→アイドル……?

みほたん「私は編集・ライティングの仕事をしたくて、学生時代にフリーペーパーを発行している某S社にお手伝いに行ってたんですよ。その会社がどんどんサブカルイベントの制作をするようになって、そっちが当たって今ではリアル脱出ゲームで大成功してるんです。私もイベントのMCに駆り出されたりすることが多くなって、そっちの方が楽しくなってきたんですよね。『もっと人前に立ちたい!』と思って、お笑い芸人になったんですよ」

張江「えー、そうだったんですか!初めて聞いた……」

みほたん「さっきも一色さんが言ってましたけど、私もこれが面白いエピソードだと思ってなくて、あんまり人に言ってないです(笑)。実は4年くらいやってました」

張江「最初の半年で辞めたとかならともかく、結構しっかりやってますね(笑)。ちなみにどこの事務所だったんですか?」

みほたん「吉本興業です。NSCの同期は蛙亭、さや香、お笑いコースじゃないですけど、ぺこ(ぺこ&りゅうちぇる)とかですね。最初の1,2年ってやることないんですよ。舞台もなくて暇なんで自撮りをSNSにあげると、『女ぶってるなよ』みたいなコメントが付いたんですよね」

張江「最近ヒコロヒーさんがよく話題にあげる『女芸人は女性性を雑にいじられる』問題ですね」

みほたん「10年前は今よりも強くそういうことを言われてて、普通の人がインスタに自撮りをあげるようになる前ですから。なので『アイドルなんで自撮りあげてます』ってことにしようと思って、同じフラストレーションを溜めてた同期の女の子たちとアイドル部みたいな感じでオタフクガールズを始めたんですね。みんなで日本橋(にっぽんばし:大阪府大阪市)に行って写真をブログにあげるみたいな。そういうことをしてたら、構成作家の方が『オタク芸人のニコ生番組に出演しないか?』って誘ってくれて。『ヤバい!曲ないから作らなくちゃ!』って(笑)」

一色「誰かのカバーじゃなくて、ちゃんとオリジナル曲を作るところがめちゃめちゃ推せます!」

中嶋「ももクロの『走れ!』でいいや、みたいなじゃなく(笑)」

みほたん「地下アイドル業界を全く知らなかったんで、カバーって概念がなかったんですよね。歌うなら作らなくっちゃ!っていう。半年くらい番組のワンコーナーに出たりしてたんですけど、3年目にコンビで上京することにしたんでオタフクガールズは休止になりました。そしたら半年でネタを書いてた相方が芸人辞めることになって、コンビ解散になったんですよ!上京したばっかりで知り合いもいないし、これからどうしようと思ってたら、遠距離で付き合ってた彼氏にもフラれちゃって、もうショックすぎてマッチングアプリのtinderやりまくったんです(笑)。正確にはフラれる直前に察知してアプリダウンロードしたんですけど」

張江「精神が崩壊しないようにtinderで予防線を張ったんだ(笑)」

みほたん「病みたくない一心で(笑)。マッチングアプリやりまくってその話をいろんな人にしてたら、S社で一緒だった人がWebメディアを立ち上げてたりしたので、『恋愛系の面白い記事書いてみない?』って誘ってくれて、Webライターという肩書きを得ました。でも、だんだん東京の生活にも疲れてきたんで関西に帰ることにしたんですね。また人前にも立ちたかったんで、昔のメンバーに声をかけたんですけど最初は断られちゃって(笑)。何回か誘ってたら『部活みたいな感じならいいよ』って言ってもらったんで、今に至るという感じです」

ケムタ「紆余曲折がすごい(笑)」

張江「ライターのなり方も変だし、アイドルのなり方も変ですよ!ケムタさんは車に轢かれて、みほたんは彼氏にフラれてライターになるという」

みほたん「私も車にはねられて病院で痛み止めを飲んだ後に官能小説を朗読するイベントに出演したことあります」

中嶋「あ、僕も自転車乗ってたらタクシーに轢かれたことありますよ。無傷でした」

張江「私も横断歩道渡ってたら、徐行で左折してくる車にゆっくり轢かれたことあります。左膝にヒビ入りました」

一色「私まで轢かれなきゃいけないような気がしてきました……」

張江「このままだと今回の結論は『ライターになるには車に轢かれなさい』になってしまう(笑)」

みほたん「もう消えちゃったんですけど、こないだネタがなさすぎて、オタフクガールズの収支を記事にしたんですよ」

張江「あれ面白かったですね!魂を削ってる記事というか」

みほたん「それよく言ってもらえるんですけど、本当にネタがなくて(笑)。いくつも案を出さなくちゃいけなくて、他のと一緒にオマケみたいな感じで編集部に提出したら、こっちが通っちゃったっていう」

ケムタ「どうでもいい企画がピックアップされるのも、あるあるですね(笑)」

みほたん「まあ、でも私にしか書けない記事にはなったと思います」

面白いことを探し続けたら兼業していた

張江「兼業してる校正の方はいるんですか?」

中嶋「けっこういますよ。演劇関係の人が多いですね。時間の融通が効くので、稽古や本番の期間は校正を休んで、終わったら戻ってくるという。休んでいる間に他の校正者で回るようになっちゃうと、戻ってきても仕事がないっていうリスクはありますけどね」

張江「そのリスクはどの仕事でもつきものですね」

中嶋「でも腕さえあれば、やっぱり『あの人にお願いしたい』っていうこともありますよ」

張江「イベント前の打ち合わせで、ケムタさんは『専業でやってるライターの方が少ない』っておっしゃってましたね」

ケムタ「特にWebがメインの時代になってからは、ライターだけで食ってるっていうのは限られた上のランクのライターだけじゃないですかね。雑誌がメインの頃は無記名原稿がいっぱいあったんですよ。エロ本だと1誌10ページくらいを担当して、原稿料も高かったので1ページあたり2万円くらい。それが毎月2,3誌あったんで余裕で生活できたっていう。でもちょっとライターとして有名になって、名前を出してコラムを書くようになると、ページ数が減るんですよね。コラムだと普通は半ページくらいなので。そうすると単価が一気に下がって、名前が売れたのに収入が減るっていうことがあるんですよ」

張江「アイドルも人気が出て大規模なワンマンライブが決まると、そこにお客さんを集めないといけないからライブが増やせなくなって結果、収入が減る。という同じ現象がありますね」

一色「とても理解しやすい(笑)」

ケムタ「どの業界も似た感じですよね。昔は無記名記事と自分の名前を出して書くコラムをバランスよくやるっていうことができたんですけど、Webの無記名記事っていうとランサーズとかで見つけてくるようなものになるから、1文字0.2円みたいなことになってしまう。『こんにちは!ライターの大坪ケムタです!』から始まるような記名記事も、広告案件ならそこそこお金ももらえますけど、そうじゃないとそこまではもらえないので、ライターやりながら編集もやるとか、本業でサラリーマンやってるという人がほとんどでしょうね。本を定期的に出せる人なら、食っていける可能性はあるかもしれません」

中嶋「1文字0.2円なら、校正は大体1文字0.6円ですから。書く人よりもらえてるかもしれない」

張江「出版に携わりたいっていうなら、校正も目指した方が稼げるかもってことですよね」

ケムタ「ライターになること自体のハードルはすごく簡単になりましたけどね。昔は編集プロダクションで働いて、ある程度実績を積んでからフリーになる人が多かったけど、今はすぐなれますし」

中嶋「雑誌の編集者がペンネームで記事を書いて、ライティングの腕を磨いてから独立するっていうパターンもありましたね」

ケムタ「田中圭一さんっていう漫画家の方をインタビューしたことがあって、そのときに『漫画家は3種類の仕事をしていくべきだ』って言ってて、まずは従来の商業の漫画、2つ目が同人誌、3つ目がpixivFANBOXみたいなWebのファンコミュニティー。この3つがあれば、どれかが急になくなってもなんとかなるっていう」

中嶋「僕も現場で校正をやっていたときは、カタログ・チラシ・月刊誌の3種類をやってました。柱が3つあると安心なんですよ。それが全然違う仕事を3つ持っててもいいわけで」

張江「違う仕事を掛け合わせると、競合してる他人がどんどん少なくなるっていうメリットがありますよね。私は書く仕事と話す仕事と音楽の仕事があるので、その3つを掛け合わせたら日本全国でもけっこういい線いく気がしてます(笑)」

中嶋「校正者は表に出る人が少ないので、僕も『話せる校正者』で売り出せないかなと思ってるんですよ」

張江「すごくAMラジオに呼ばれそう(笑)」

中嶋「お仕事お待ちしてます!」

張江「みほたんは地下アイドルと兼業してることがライターに影響することはあります?」

みほたん「それこそ『こんにちは!地下アイドル兼ライターのみほたんです!』で書き出せば、それもヒキになるんですよね。振ってもらうお仕事も、アイドルさんへのインタビューとか、売れないタレントさんの人生相談について行って共感してくるとか、取材の成果をライブで実践するとか、地下アイドルやってるからこそのものが多いですし。収入が2倍になるわけじゃないですけど、肩書きは2つあったほうがいいなと思います」

中嶋「編集者もオファーしやすいですよね」

ケムタ「ライターのキャラクター化、タレント化ってWeb以降すごく一般的になってますよね。僕なんかキャラクターがない方なんですよ。デイリーポータルZで書いてた頃も、最初は色んな面白い情報を引っ張ってくるようなやり方だったんですけど、SNSや他のサイトができてくることで情報のスピードが急激に速まったんです。これだと対応できないと思ってデイリーで書くのを止めたんですけど、今デイリーに残ってるのは趣味がものすごく濃いとか、クリエイター系とか、自分のキャラクターが強い人たちですよね。そういう意味でみほたんは正しいし、羨ましいですよ。僕も、例えば『アイドルに詳しい』とか『プロレスに詳しい』っていうキャラクターはあるかもしれないけど、それはライターをやってきた上で詳しくなったことなので」

張江「家電芸人みたいなことですか?本来の芸の部分とは別に、家電が好きすぎるっていうキャラクターがある、というか」

ケムタ「そうですね。書くことは誰でもできるから、それ以外の知識や一芸がないと」

みほたん「でも、『こんにちは!○○です!』みたいなノリで文章を始める葛藤ってありません?」

ケムタ「まあ、ずっとありますけど(笑)」

みほたん「記事だけで勝負したいっていうか、そこまで強い思いじゃないんですけど、ふと我に返って恥ずかしくなるというか。『私のプロフィール写真はこの記事に必要なのか?』みたいな」

ケムタ「でも載せる媒体は増えてますよね。これもキャラクター化の流れで」

一色「なんかアイドルの話を聞いてるような気持ちになってきました」

ケムタ「確かにアイドルのキャラの立て方と一緒かもしれない」

みほたん「そういう意味でも、『アイドルもやってます!』って名乗れるようになってからの方がやりやすくはなりましたね。『アイドルなんだから顔を出していい!」って思えるので」

中嶋「兼業してるから面白い人になったんですかね?面白いから兼業することになったんですかね?」

ケムタ「面白いことを探してたら、結果的に兼業することになった、っていうことですかね。ライターという仕事にも特別な思い入れがあるわけではないので。自分の文章にもこだわりはないですもん(笑)」

みほたん「私もこだわりがないというか、基本的に言われた通りに書きますし。こういう生き方してきたわりに文章が真面目なんですよね。編集さんにも『話したら面白いのに文章は普通ですね』って言われたことがあるくらいで(笑)」

中嶋「言われた通りやるのがプロですから!」

一色「みほたんさんの人生がもう面白いんで、真面目に書いても面白いんだと思いました」

ケムタ「みほたんも僕も、本当はちゃんとした文章で変な企画を書きたいんですよ」

みほたん「まさにそうです!」

ケムタ「面白いことがちゃんとした文章で伝わればそれでいいんですよね」



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