見出し画像

わたしが料理をやめた理由

こんにちは。
仲村ゆうなです。

"ずっとおいしい人生" をテーマに
色々な活動をしています。


2017年8月から2019年9月の約2年、
ありがたいことに色々なご縁をいただき
セミナーやイベント、間借りランチやケータリング、旅人料理人、、
などなど
様々な形で、様々な方に、
お料理を提供させていただきました。

もちろん、おいしいと言っていただけることも多く
その都度その都度、嬉しい気持ちにさせていただきました。
食べてくださった方々も、楽しんでくださっていたと思います。


それを、今年の夏、やめると決めました。

理由は、
"おいしいの価値観を広めたいから"


広めたいのにやめる?
一見矛盾しているようにみえると思います。
でも、広めたいから、やめたんです。


"おいしい"には色々な要素があります。
素材、組み合わせ、味付け、歯ごたえ、季節、体調、好み、料理人の腕。
などなどが思いつきやすいでしょうか。

そして、わたしが大切にしているおいしいの要素は
"ストーリー"と"密度"。

例えば、ちょっと良いお店では、
生産者さんのことやその食材の特徴、
調理でこだわったことなど、
説明して提供してくれることがありますよね。

あれを聞くとおいしさが増しませんか?
これが、要素のひとつ。ストーリー。

これまでにイベントなどでお料理を提供するとき、
わたしはこの"ストーリー"を意識していました。

食べていただく方に、できるだけストーリーまで楽しんでもらいたい。
もちろん、それは今でも変わりません。

ただ、毎回すっきりしないのです。
イベントの度、身が入らないというか、やりきれてないというか。

でも、家でお料理をするのはやっぱり楽しいし、
友達に振る舞うのも変わらず大好き。
むしろそっちの方がおいしく作れる。

だから、もやもやを抱えつつも、
依頼があれば、お仕事のお料理を続けていました。


でもある時気づきました。
何で身が入らないのか、家ほどおいしく作れないのか。

理由は要素がひとつ抜けているからでした。
"密度"が抜けていました。


お仕事で料理をするとき、
食べてくださる方は毎回多数。
しかも知らない方がいたり、そもそも誰が来るかすら分からなかったり。
食べる人とわたしの距離が遠かったんです。

食べてくれる人のために。そう思って、
あの人はこういうものが好みだから。
あの人は今仕事の大切な時期だから。
あの人は今お腹の調子が良くないから。
あの人はこんな悩みをもっているから。

そんなことを考えながら作る料理には
密度が生まれます。
いわゆるお袋の味。愛情たっぷり。
みたいなもんでしょうか。

馬鹿馬鹿しいと思う方もいるかもしれません。
でも、わたしにとって大切な"要素"で、
どうしても譲れないものでした。

そういえば就職活動をしていた時
面接で「私のランチは毎日、奥さんのお弁当なんだけど何故だと思う?」と聞かれたことがありました。
管理栄養士としての就活だったので、
模範解答は「健康を気遣って」だったのかもしれません。
でもその時の私は即答で
「貴方が奥様を愛しているから、お弁当がすごくおいしく感じるからだと思います」
と答えていました。

答えたあと面接官皆んなが意外!って顔して、その後朗らかに笑って。

あの時は、え?他に答えある?
って気持ちでした。

それくらい、わたしにとって密度は
大切であり当たり前のものでした。

わたしはプロの料理人ではありません。
でも、だからこそ、おいしいの要素をかけ合わせないといけないし、そうしたいのです。

おいしいは掛け算で
ストーリー × 密度 × …
で成り立っていると思うのです。

そう気づいたとき、
この価値観を広めるために
密度を生めない料理はやめると決めました。


こう決めてから、
全てのお料理の依頼はお断りしています。

ただ唯一、こう決めてからひとつだけ、お受けした依頼があります。
友人がやっているジュエリーブランドのイベント。
そこでのスイーツのケータリング。

この話はいつか別で書きたいと思っています。
密度を生める依頼だったからこそ、受けたお仕事でした。


そんなこんなでわたしは、
密度の生めない料理をやめました。

この決心は、
すごく自分勝手な基準で決めたものです。
でも、そんな自分勝手な"おいしいの価値観"を
もっともっと広めていきたい。

それが、"ずっとおいしい人生"につながる。

そう思っています。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?