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「面白い」からスタートする

人間は理性的な動物だ。アリストテレスはそう言った。対してヒュームは、理性は情念の奴隷であると述べた。二人の哲学者だけではなく、多くの哲学者がその問いを考え抜いただろうが、答えはわからない。

僕はどんな人間か、をその二軸で考えると、こんなふうになる。まず直感で動いて、あとからそれを理性で説明する。だらだら言い訳を述べる傾向の人は、だいたいそんな感じだと思う。

「いいな、それ面白いな、やろう」で動いて、あとから振り返ってみて、「なぜ僕はそれを面白いと思ったのか」を省みる。大学を選ぶときも、進路を決めるときも、ミャンマーで仕事をするときも、だいたいそうやって生きてきた。

みゃんこんをやろう、と思ったのも、だいたいそんな感じだった。発起人は、ゆりこだった。

どうせなら、このイケてないミャンマーを、もっと面白くしたい。いや、面白いことやっている人はたくさんいる。そんな人たちを応援したい。一緒にやろう。

肉をむしゃむしゃ食べながらこんなことを言われた。僕も、むしゃむしゃしながら返事をした。

やろう。今からやろう。

翌週にお店のオープンが迫っているというのに何をやっているんだ、という声を多くの方からご丁寧にいただいた。ごもっともだ。でも、直感的に何かを感じたのは確かで、これは正しかったのだと今は言える。

もう一人、一緒に立ち上がったのは、かっつんだった。

「ミャンマー」「ブログ」で検索すればだいたい間違いなく出てくる人。これまでそんなに付き合いが多かったわけじゃなかったけど、いろんな人たちから「似てるよ」と言われるくらい、近い考えを持っていた。

かっつんもかっつんで、面白いこと、に素直に取り組める人だ。

だーいじょうぶ、いけるいける

という根拠なき「大丈夫」になんども励まされてきた。

僕らは、こうして動き出した。これが、2018年の、12月のお話。


そこから半年間、いろいろやってきた。振り返るとあっという間だが、辿ればいっぱい詰まっている。

しくじり先生というイベントが2回ほど、TOKYO COFFEEにて行われたのを知っている人は少なくないと思う。テレビ番組の完全にオマージュ企画だけれど、失敗をした人を先生に据え、自分がおかした失敗を面白く共有してもらうことで、そこから学びを得て、自分の活動などに活かせるようにすることが目的だった。昨日までのあれこれを、明日の誰かにつなげていく。そんな優しい企画だ。

飲み会ではなく、こうしたイベントを通して、こちらで活躍する方に焦点を当てていくことで、違う角度からその人を知ることができる。また、繋がりもできる。そんな優しい場所づくりに励んできた。


2019年4月18日、この日は鎌倉にいた。鎌倉で行われる「カマコン」に参加するためだ。カマコンは、鎌倉で活躍するIT企業の方たちが始めた活動だ。今では、行政や学校や、いろんな人たちを巻き込んで活動している。みゃんこんはこれを完全にモデルにしている。というか、カマコンの海外展開1つ目を完全に狙いに行っている。

この街を愛する人を、全力支援!というミッションを掲げていて、ああ、いいな、あったかいなと思ったから、みゃんこんでもそれをそのまま使わせてもらった。

ミャンマーを愛する人を、全力支援!

そういう思いから、カヤックの社長の柳澤さんに連絡してみたら、一度カマコンにおいでよ、ということで、お邪魔させてもらうことになった。

カマコンの本質は、ブレストにある。ブレインストーミング(Brainstorming)といえば、ある一つのテーマに対して、ざっくばらんにいろんなアイデアを出し合うことだ。ただ、その設計はとても細かい。どのようにするか、その結果どうなるか、を突き詰めていったのが、柳澤さんはじめとする、カヤックという会社だ。

最近、うんこミュージアムというのを聞いたことがないだろうか。あれだ。あのうんこをリーディングしていくところだ。

とてもウンスタジェニックするし、ウンテリジェンスがくすぐられる。さて、他にも、こういう映像をみたことないだろうか。

とまぁ、こういう面白いのをプロデュースしてるところだ。

さて、ブレストで大事なのは、相手を否定しないこと。もちろんそうなんだけど、そこはあんまり重要ではない。本質的なところで重要なのは、

相手のアイデアに乗っかること
とにかくアイデアの数をたくさん出すこと

これだ。相手のアイデアに乗っかることが重要なので、ポストイットでそれぞれに書かせるブレストは、あまりよくない。これでは、自分の家で一人で向き合うのと同じだから。そんな中から面白いアイデアは派生しにくい。あとは、とにかくたくさんアイデアを出すことが大事だ。それには、一人では限界がある。

では、このブレストによってどういう結果がもたらされるか。それは、何よりも一体感、チームワークが生まれる、ということだ。限定された時間に、少人数で膝を突き合わせて座って、相手のアイデアに乗っかりながら褒めていって、質問とか否定もしないでとにかくアイデアを出す。こんなにも真剣に向き合えるし、そうすることで、ジブンゴト化できる。

そこにある課題を自分ごと化し、さらに面白いアイデアを生んでいって、楽しく取り組むことができる。あれ、これっていろんなシーンで使えません?

というわけで、このブレスト文化を、ミャンマーのいろんな場面で使っていきたいなぁ!と強く思ったこの日だった。


そこから1ヶ月、 このみゃんこんのステージを用意するために、僕らは毎日と言っていいほど会っていた。裏方で支えてくれた他の経営者たちと。プレゼンターとして手を上げてくれた4人の有志と。細かいことを助けてくれた学生たちと。忙しい時間を割いてくれたカマコンの人たちと。そうして迎えた、5月18日と19日。

控えめに言って、最高で大成功だった。カマコンで感じた感動を、ミャンマーのみんなが同じように感じてくれた。また、カマコンの人たちも、ミャンマーのことを好きになってくれた。

でもそれ以上に、これを作るまで、いろんなことを話し合ったりぶつかったり悩んだりしてくれた、ゆりことかっつんと過ごす時間が、何よりも素敵な時間だったと気付いた。

本番が始まる前に3人でむしゃむしゃ食べた焼肉の時間が、僕の全てだった。大事なものは欲しかったものより先に来ていた。


柳澤さんが言っていたことの一つに、自分が強く共感したのは、誰とやるか、何をやるか、どうやってやるか、の部分だ。これからも、面白いことをやっていきたいと思うし、それをやり続けられる仲間と、ゆるく楽しみたいとも思う。だから、いろんな人のいろんなことを応援したいし、そこから得られる分以上に大事なものが見つかる、ということも知っている。ああ、やっぱり僕はこれからもこういうふうに生き続けていくんだろうな、と思った。10あげたら、そのうち20返ってくる。そうやって、いろんな人に配れたらいいな。一緒に、楽しんでいけたらいいな。

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