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「モノトーンバイカーズ」風は何色でも無い、そして何色にも染まらない 色彩を隠した単車乗りたちのように 

youtubeチャンネル「ZxTone」の作品 -Monotone Bikers- 内のコンセプト文です

”Monotone Bikers” -色無き風たち-
「あなたバイクに乗るときは、いつも,、真っ黒な格好で、まるでカラスみたいね。」
出かける間際に言われた、妻のセリフだ。
確かに、無彩色な自身のいでたちは、言われてみれば、そのとおりだ。
街では色鮮やかに、春を演出しているというのに
頭の先から足の先まで、確かに春とは程遠い存在が、
信号待ちのショーウィンドウに写り込んでいた。
季節の移り変わりには、敏感な存在なのだと、
今まで自負していた、我々単車乗りは、
もしかすると、
季節感とは、最も無縁の世界を、走っているのかもしれない。

深夜でも、路上は色彩で溢れている

真夜中の路面は、路肩灯の怪しいオレンジ色に染まり、
妖艶な輝きを放ち、スピードへと誘(いざな)う。
陽の光に照らされた、アスファルト上を走れば、
胸のすくような淡いブルーに、全身が優しく包まれる。
ところがどうだ、急なとおり雨に濡れた途端、
路面は、本来の墨(すみ)色に姿を豹変させ、
硬く冷たい牙を剥き、油断すれば、グリップ力までをも奪おうとする。
弱者である単車乗りは、
そのとき、思い知らされ、そして学び取る
“色彩”なんてものは、
目まぐるしく、曖昧で、非情なこの路上では、
何の役にも立たないことを。

路面の色彩は刻々と変化していく

女性ライダーたちが増えて、華やかになっただって?
無論、オスのひとりとして歓迎するが、
勘違いするな、
走りとリスクに、性別や華やかさは、一切関与できない。
忘れないでほしい、
先人たちが、何故、無彩色な革ジャンを好んで着ていたか。
強靭でタフなことも、もちろんな理由だ。
ただ、機能性を追求した、そのいでたちは、
何色にも染まらない、その風貌は、
色の無い無機質な路上で、妥協せず耐久性に特化し、
一切の無駄を許さない
肉体を、精神を、剥き出しに晒され、
常に平静を見失わないことが求められる、
そんな単車乗りたちにとって、
陽射しと風雨、衝撃とリスクに備えて身を固める、
“闘うための正装”なのだということを。

夜明け前の、東の空の淡いブルー

ハハッ、カラスか、上出来だ!
彼らが真っ黒なのも、
森ではなく、木が少ない街中を飛び回る際に、紫外線から身を守るためだ
無論、何色にも染まらない、媚びを売ることも、懐くことさえない。
ブレずに孤高に走り続ける、自分のような不器用な“単車乗り”に、
ピッタリな例えじゃないか。
色を否定するなんて、所詮、地味で野暮ったいだけだろうって?
わからないのか、
路上を吹き抜けるあの風は、何色でも無い。
目まぐるしく色変わりする、鮮やかな季節の中で
色彩を隠した単車乗り達が、モノトーンであればあるほど、
“際立つ異色の存在"だということを。




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