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ラジオという空間

最近、とあるネット記事を見かけた。

要約すると、今の若者はラジオを聴き取れない、
音だけを聴くシチュエーションがないので
体が拒否反応を示す、
というものだ。

本当かよ!? という本音はさておき、
この記事をきっかけにラジオのことを
色々思い出したので、
衝動的に筆を執ることにした次第である。

僕は、ラジオには、
テレビともYoutubeともライブ配信とも違う、
独特の良さがあるなと思っている。

青春の一部だったラジオ

中学生の頃、僕はラジオにハマっていた。
英語の授業の教材を聴くために買ったCDプレーヤーにラジオの機能がついていたことをきっかけにラジオを聴くようになった。

最初に聴き始めたのはJ-WAVEのGROOVE LINEという番組と、ニッポン放送の銀河に吠えろ!宇宙GメンTAKUYAという番組だったと思う。

番組の形式としては、日毎、あるいはコーナー毎にお題が決まっていて、
そのお題に沿ってリスナーからメールを募集。
集まった投稿をもとに、DJ達が面白おかしく話して進行していく。

リスナーが感じる、不思議な距離感

ラジオには、リスナーとの独特の距離感がある。

語り手が、リスナーに対して語りかけるような進行がなされる。
音だけだからこそ
パーソナリティが近くにいるように感じるし、
スタジオの掛け合いに
心理的距離の近さを感じて心地が良い。

学校とかの現実世界で人間関係がうまくいっていない人で、、ラジオに居場所を感じ、拠り所とする人は結構いたのではと思う。
これは、「マス向け」という印象の強いテレビでは感じないことだ。

ラジオには、パーソナリティ達やスタッフさん達含めたスタジオの、
ある種内輪ノリ的な空気というか、面白さがある。

ただその内輪というのにリスナーが置いてけぼりになるのではなく、
リスナーもその内輪に入れる感覚というとわかりやすいだろうか。

テレビだと画面に映る違う空間のノリとして俯瞰して見てしまいがちだが、
ラジオは声だから、まるで自分も同じ空間にいるかのような錯覚を感じるのだ。

ライブ配信との明確な違い

昨今、Youtubeライブ、インスタライブ、Tiktokライブなどのライブ配信が盛んである。

ライブ配信もリスナーのコメントを拾って読んで
リアクションするという意味ではラジオと一緒だ。

しかし、僕は数々のラジオと数々のライブ配信を見る中で、
やはりラジオとライブ配信は少し違うなと感じる。

ライブ配信では、配信者がコメントをリアルタイムで拾う。
しかし、拾ってリアクションすることがメインになってしまいがちだ。
コメントする人は自分のコメントが拾われるかに気を取られてしまうし、
配信者は少しでも多くのコメントを拾ってリスナーを喜ばそうとする。
だから、ライブ配信をリスナーとの交流の場と定義する人も多い。

「○○さん 『いつも応援してます』 ありがとうございます!」

みたいな掛け合いに終止してしまう事が多い。
または、配信者への質問に答える程度となる。

一方、ラジオにはテーマがある

リスナーはテーマに沿ったコメントを寄せる。
視聴者参加型の大喜利企画といったら近いだろうか。
(大喜利だと作り話になってしまうが、そこは実体験含め、である。)

ラジオでは、自分が送ったコメントが読まれるか読まれないかは分からないし、ある程度選別された状態で取り扱われる。
リアルタイムでコメントが流れるような流動性もなければ、
他のリスナーのコメントも確認することはできない。

各コーナーの企画の進行ありきで、必要に応じてリスナーが投稿で参加する、というフォーマットである。

自分のコメントがいつ拾われるのか、拾われないかソワソワしながら聴き入るスリルも味わえる(僕より前の世代はハガキで送っていたらしいので、放送前からソワソワしていただろう)。

リスナーから届いたコメントでスタジオが爆笑したり、
リスナーたちも一緒にその企画を作り上げているのを感じられる。

今思っても、ラジオのあの一線画しながら一体感と親近感を感じる独特な空間は、色々なコンテンツの形が生まれた今でも、ラジオならではの体験だなとおもう。

僕の中学時代を形作ったあの不思議な空間を、今でもたまに恋しく思うときがあるのだ。


【Appendix】僕が昔好きだったラジオ番組

もう終わっている番組から、今でも続いている番組、
続いているけどパーソナリティが変わっている番組までまちまち。
この番組聴いてた!ってひとはこっそり教えてくださいな。

GROOVE LINE/GROOVE LINE Z (J-WAVE)
僕がラジオにはまるきっかけとなった番組。
毎日2テーマで視聴者からメールを募集し、面白おかしく取り扱う。
アンパンマンとかも流れる30分のDJコーナーも好きだった。

銀河に吠えろ!宇宙GメンTAKUYA (ニッポン放送)
オールナイトニッポンGOLDの前にやっていた、中高生向けの番組。
アニメ声優さんとかがゲストに多かった。ラジオノリと下ネタが面白い。
「夜の早お口言葉」みたいなコーナーも好きだった。

オールナイトニッポンGOLD (ニッポン放送)
22時から始まるオールナイトニッポンで、曜日ごとに担当が異なる。
GROOVE LINEもやっているピストン西沢の回はラジオノリと下ネタが光る!(特にお年頃の中学生にはツボだった)
あとはゆずとか、坂崎幸之助・吉田拓郎の回もよく聴いていた。

Tresen (FMヨコハマ)
その週の音楽チャート紹介と個性派コーナーのラジオノリを両方楽しめる平日夜の定番。曜日ゲストやスタッフも個性的。「覇魂!!」

SCHOOL OF LOCK! (TOKYO FM)
番組を学校と見立てた、中高生向けのラジオ番組。
リスナーとの電話企画なども多く、心理的距離の近さを感じやすい。
ちなみに僕はとーやま校長とマンボウやしろ教頭世代。
あと、途中コーナーで売れる前の能年玲奈や広瀬すずが出てた。

NISSAN あ、安部礼司 ~ BEYOND THE AVERAGE ~ (TOKYO FM)
平均的な主人公と個性豊かなキャラが登場するラジオドラマ。
日曜の黄昏時、若さと渋さの間に揺れるあなたに送る鼻歌みたいな応援歌を、ツボな選曲とともにお楽しみください!

三宅裕司 サンデーハッピー/ヒットパラダイス (ニッポン放送)
日曜朝に決まって聴いていた三宅裕司の番組。
AM朝番組のフレッシュさと、個性的なコーナーのラジオならではのスタジオノリを両方楽しめる。

福田沙紀/武井咲と柳田理科雄のラジオ空想科学研究所 (ニッポン放送)
『空想科学読本』で有名な柳田理科雄先生のラジオ番組。

TOKIO HOT 100 (J-WAVE)
クリス・ペプラーが人気音楽を紹介するオシャレな番組。
流行に疎かった僕にとって、この番組きっかけで知った楽曲は数知れず。

垣花正 あなたとハッピー! (ニッポン放送)
学校が休みの日の平日朝は決まってこれを聴いていた。
AM朝番組のフレッシュさを感じるお気に入り番組。


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