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NICK THE LASTを見届けて


今シーズン最後の試合が終わりました。
最後は皮肉にも今シーズンの川崎らしい終わり方で、シーズンを通して何度も観てきた負け方で、それはとても、とても悔しいことなのだけれど、意外なことに、私の感情の大半を占めていたのは、ニックの最後をこの目に焼き付けることが出来て幸せという、とても温かく心地の良い感情でした。

正直なところ、まだ実感は殆どなくて、来シーズンも「なんでそれが入るの?」と思わず言ってしまう素人がみても凄いシュートに、今日ニック調子良くないのかな?と思っていても、結果を見てみれば、何だかんだと1番点を取ってしまうキングがまたコートに立っているんじゃないかと思ってしまう。

もちろん、そんなことはないのだけれど。
そうであってほしいと、気づけば何度も心から願ってしまいます。
それほどに、ニックのいない川崎を想像することはとても難しくて、自分の感情の整理と、本当の意味で理解をして、納得するには時間が必要なんだろうなと思います。

こんなことを書いておいて、ニックの12年間の全てを知らないし、正直なところ昨シーズンの4月から観るようになって、きちんとシーズンを通して観るのは、今シーズンが初めての、所謂「にわか」な歴の浅い私だけれども、ニックが今までBリーグに、そして、日本のバスケ界に、どれだけの貢献をしてきたのかはわかります。それは、みんなから伝わるニックへの愛と尊敬。それを今シーズン通して何よりも感じたから。そんなニックが愛したチームを応援することが出来たことが何よりも私の誇りです。

今シーズンは、三冠を目指して、ニックのラストを最高の形で終わらせるつもりで走り出したからこそ、みんなの想いも一段と大きくて、期待と希望に満ちていた。その想いがシーズン序盤はとても良い方向に向かっていて、「このメンバーだったら達成できる!」と思えていたからこそ、よりシーズンの後半はとても辛く苦しいものでした。

でも、当たり前に、選手やチームが何より苦しく辛かったと思います。それを頭で分かっていたはずなのに、シーズン中、最後まで試合を観ることが出来ずに途中で帰ったこと、「なんでだよ...!」と最後まで声を出せずに下を向いてしまったことがありました。今思えば、どんな展開になろうと、コートに立つ選手たちの後押しになれるような応援をするべきだったし、これほど後悔することはないです。だって、どんな試合を振り返っても、最後の最後まで「諦めずに戦っていた」のだから。無理な点差でも、勝てるわけがないと分かった瞬間ですら、「まだやれる」と選手達が戦っていたのだから。

私が、それを振り返ることが出来たのは、皮肉にもCSに行くことが難しくなり始めた時からでした。もう残り僅かなのに、下を向いている時間が勿体無いじゃないかと。声を出す、出さないは関係なく、会場にいる、いないも関係ない。自分の中の最大限の応援が出来ればいい。それをするチャンスがあるのに、しないで今シーズンを終わってしまうことが何より嫌でした。だから、シーズンが終わる前に気づけて良かったなと思うとともに、最後まで自分の最大限の応援が出来たことが何より本当に良かったです。

最後に今シーズンを通して、ニックのラストを友人と観れたことも、とても良かったこと。
何度も私の心が折れて、立ち上がれなくなりそうな時に、友人の何気ない言葉に助けられました。
一緒にいる時は、どんな苦しい展開でも笑って終えることができた。
そんな友人の言葉で、特に心に1番響いた言葉があります。
      「私達はただ応援をして
    試合の行く末を見るだけなんだよ」

その言葉に今シーズンは何度も助けられ、自分の感情がうまくコントロール出来ないときに、立ち戻れる言葉でした。

今日の試合も、最後の最後まで、友人は「まだいける。こんな状況のときの川崎は強いって知ってる。あと、1分もある。大丈夫。」と言って、枯れた声を精一杯出していた。「そうだね!まだいける!大丈夫!」と私は答えながら、頭のなかで「諦めたら試合終了」その言葉が脳裏をよぎりました。

バスケをこんなに好きになる前には、その言葉がどれほど重く、難しいことなのか正直知らなかったけれど、それがどれだけ難しいことなのかを今シーズン嫌と言うほど思い知らされた。「諦めない」強さがどれだけ大変なことか、「諦めた」方がどれだけ楽か。だけど、「諦めなければ最後の最後までわからない」ということも何度も知ったから。最後までまっすぐコートを見て声を出す友人とともに、残り1秒まで私たちも諦めなかった。今シーズンの最後、一緒に戦うことができて本当に良かったと思います。

今シーズン、60試合本当に選手、コーチ陣、チームに関わったみなさん、お疲れ様でした。
今シーズン、れーや、りょーくん、ロスコにトム、素晴らしい選手が来てくれて、何度も試合でわくわくさせてくれました。来シーズンはどんなチームになるのか楽しみでもあります。
でも、まだニックのいた川崎の余韻を感じさせてほしいのが正直な気持ち。
今シーズンのチームをまだ感じていたい。
終わりにしたくない。終わらせたくない。
どんな物語にも終わりはくるけれど、ニックの物語だけは、まだ終わらせたくないな。
そんな我儘を心の中で何度も何度も思ってしまうほどに、ニックが大好きだし、川崎ブレイブサンダースが大好きなんです。
その気持ちも、ゆっくりと整理する中で、少しずつ気持ちを立て直していけたらなと思います。
別れは悲しいけれど、新しい出会いもくるから。
また、形を変えて会える日を信じて。
ありがとう、ニック!!
ありがとう、川崎ブレイブサンダース!!

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