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アメリカン・ミュージック・ヒストリー第7章(1960年代全般・・・その4)

(3)アメリカンロックの逆襲(1965年~69年)

 1964年ビートルズの襲来により、ポップスとフォーク花盛りのアメリカ音楽業界には1956年のエルヴィス以来の激変が起こりました。

 その影響は大きく1965年ボブ・ディランがエレキギターを持ち、フォーク・ロックを創出し、同じく1965年ブルースの本場アメリカでも、白人ブルースバンドが登場してきます。シカゴのポール・バタフィールド・バンドを初めとして、ロサンゼルスのキャンド・ヒートやテキサスのジョニー
・ウインター、そしてクラプトンやデイヴ・メイソンが在籍したデラニー&ボニーからデレク&ドミノスが誕生します。
 又、イギリスから火が付いたジミ・ヘンドリックス、5人中4人がカナダ人ですが、ザ・バンドも忘れることはできませんね。

 そして1967年以降サンフランシスコを中心に、先ほど触れたジェファーソン・エァプレイン、グレイトフル・デッド、クイック・シルバー・メッセンジャーズ、ドア―ズ、ジャニス・ジョップリン、ママス&パパス、バッファロー・スプリングフィールド、クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル等の有名バンドが次々に現れました。

 
*カリフォルニア・サウンド

 1961年、カリフォルニアでビーチボーイズが結成されます。ギタ
ー・インスト中心のサーフィン・ホットロッドミュージックに、ジャズ
のフォー・フレッシュメンのハーモニーを取り入れたロックン・ロール
を展開し、以降に繋がる西海岸特有のハーモニーの始祖として、不幸な
出来事があったものの50年以上、第一線で活躍しています。

 同じころデビューしたジャン&ディーンと共に、約20年続くウェストコースト・サウンドは、その後バーズ、バッファロー・スプリング・フィールド、アソシエイション、フライング・バリット・ブラザース、ポコ、CSNY、ロギンス&メッシーナ、イーグルス、ドゥービー・ブラザース、スティーリー・ダン、ジャクソン・ブラウン、トム・ウェイツ、JDサウザー、リンダ・ロンシュタットそしてボズ・スキャッグス、ネッド・ドヒニーらのAOR路線へと繋がっていくことになります。

 
*フォーク・ロック~カントリー・ロック

 プロテスト・フォークのボブ・ディランが、1965年のニューポー
ト・フォーク・フェスティバルでザ・バンドを従えエレキギターを抱え
て歌い物議をかもしたものの、時代はフォーク・ロックへ舵を切ってい
きました。その後、ディランのミスター・タンブリン・マンをカバーし
大ヒットさせたバーズやディラン自身のライク・ア・ローリング・スト
ーン、そしてママス&パパス、タートルス、サイモン&ガーファンク
ル、イギリスのドノヴァン等も大ヒットを連発しました。

 フォーク・ロックの次は、フォークソング、カントリー、ブルーグラ
スの要素や楽器をロックに取り込んだカントリー・ロックが西海岸を中
心に発展していきました。一般的には、グラム・パーソンズが中心とな
ったバーズのアルバム、ロデオの恋人やフライング・バリット・ブラザ
ース、ディラード&クラーク等が最初と言われていますが、一説による
と一番早かったのは、ロカビリー時代のアイドルだったリック・ネルソ
ンだったとも言われています。又、これまた大物のエヴァリー・ブラザ
ースやイギリスのピーター&ゴードンもいち早くカントリー・ロックアルバムをリリースしており、調べてみるとなかなか奥が深いです。そして70年代に入りポコ、ロギンス&メッシーナ、ニッティー・グリッティ・ダート・バンド、そしてイーグルスの登場によって一世を風靡することになります。

 少し脱線しますが、つい最近までカントリー・ロックの著名なバンド
は、なぜロサンゼルス周辺から現れたのか不思議に感じていましたが、
スタインベックの「怒りの葡萄」まで遡ってみることでやっと理解がで
きました。

 1930年代末に発生した干ばつと砂嵐を契機として農業の機械化を進める資本家たちに土地を追われカリフォルニアに移っていくオクラホマの貧困農民層を描いた小説ですが、これ以降オクラホマ、テキサス等から大量の移民がカリフォルニアへ移動したことにより中西部の音楽文化(ウェスタン・スウィング、ホンキー・トンク、ブギ、ブルース等のカントリー・ルーツ系音楽)も一緒に移動した訳です。70年代には、レオン・ラッセル、JJケイル、ジェシ・デイヴィス等のオクラホマ出身者によるLAスワンプ等が発展する土台ともなりました。

 もう一つ、西海岸カントリー・ロックを語るには、前項で触れたベイ
カーズ・フィールドカントリーと共に、カリフォルニア・ブルーグラス
・シーンについても触れておく必要があると思います。

 東海岸で湧き起こったフォーク・リバイバルブームでは、所謂フォー
クソング以外にも、さまざまなアコースティック・ミュージック(カン
トリー・ブルース、ジャグ、ブルーグラス等)が見直されましたが、ブ
ルーグラス・ミュージックも西海岸にも飛び火し、カントリー・ロック
誕生に大きな影響を与えたグループやミュージシャンが多く輩出されま
した。

 まず、ダグ&ロドニー・ディラード兄弟やハーブ・ペダースンを中心とした「ディラーズ」、ローランド&クラレンス・ホワイト兄弟を中心とした「ケンタッキー・カーネルズ」、クリス・ヒルマン、バーニー・リードン、ケニー・ワーツ等による「スコッツヴィル・スクィレル・バーカーズ」と「ヒルメン」、ローリングストーンズのレット・イット・ブリードにも参加したフィドルの名手のバイロン・バーライン等、ブルーグラス・ミュージシャンが次々とカントリー・ロックフィールドに流入して来て、バーズ、フライイング・バリット・ブラザース、ディラード&クラーク、イーグルス等の中心メンバーとして活躍していくことになるからです。

【追伸】
この章では、今回も紹介すべき代表的アルバムが、多すぎて紹介しきれません。悪しからずご容赦を!!


たくさんありますが、フォークロックアルバムと言うことで、コレ
アメリカン・ルーツ・ロックの初めと言うことで、コレ
個人的には、フォークロックと言うと、このグループが浮かびます
シスコサウンドもいっぱいあるけど、一般的にはコレかなぁ
日本では、ともかくアメリカでは、外せませんね
フォークロック時代の、初期バーズ5枚セット
そして、カントリー・ロック時代へ
元祖カントリー・ロックバンドと言えそうですね
上記2枚と並ぶ、初期3大カントリー・ロックの名盤の1枚
ディラーズも上記でダグ・ディラードが抜けた後、ハーブ・ヘダースンが入り、結局ブルーグラスベースのカントリー・ロックアルバムをリリース
後期バーズを牽引したギターレジェンド「クラレンス・ホワイト」のカリフォルニア・ブルーグラス時代の名作
西海岸風アメリカン・ルーツ・ロックとでも言えばいいか?
60年代最後に聴いて、鳥肌が立ったアルバムです
NGDBのデビューアルバム、ジャグ要素が強いですね
日本では、洋楽の聴き初めに最適なデュオと言う感じになってるかも
CCRのデビューアルバム。シングル盤では、ビートルズ以来のA・B面の両面ヒットを、当たり前にしたグループでもありますね
最初は、取っつき難いが、聴けば聞くほど癖になるルーツ系ロック
アメリカン・ホワイトブルース・バンドの先頭を切ったバンド
説明不要のジミ・ヘン デビューアルバム
「100万ドルのギタリスト」テキサス・ブギ・ロック最高

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