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アメリカン・ミュージック・ヒストリー第8章(1970年代全般・・・その1)

1.     欧米ロックの多様化とシンガーソングライター(1970年代)
 
 今回から、1970年代に入ります。70年代は、私にとって特別思い入れが強い年代なので、本文に入る前に少し前説を加えさせていただきたいと思います。
 
 と言うのは、1890年前後からのアメリカン・ミュージックを中心に、様々な大衆音楽を時系列に紡いできましたが、厳密に言うと今までは、自分自身の洋楽体験としては、すべて後追いで聴いたものであり、本当の意味でのリアル体験記としては、1970年代こそが、中学1年~大学卒業(1979年)までの、最も多感で濃密な時期を過ごした10年間にあたるからです。
 
 執筆にあたって最初にも書きましたが、中学1年(1969年)の秋から冬にかけて友人から教えてもらった洋楽の世界に衝撃を受け、リアルタイムで且つ、自分自身の判断で最初に買ったシングル盤は、「トレイン by1910フルーツガムカンパニー」「ヴィーナス byショッキングブルー」と「雨にぬれても by B.J.トーマス」で、3枚とも1970年の年頭にお年玉で買ったような記憶があります。
 従って、同じく1970年初頭に発売され、初めて買ったビートルズ(既に実質解散していた)のシングル盤が「レット・イット・ビー」だったことからも我々世代は、ネクスト・ビートルズ、アフター・ウッドストック世代と言えるのではないかと思っています。
 
 さて、1956年のエルヴィスのメジャーデビューから始まったロックン・ロール~ロック時代は、1976年のザ・バンドのアルバム、ラスト・ワルツ(解散)とイーグルスのアルバム、ホテル・カルフォルニアまでで大きな区切り(クラッシック・ロック時代の終焉)を迎えたのだと思っていますが、考えてみるとこの時期の20年間は、3~4年サイクルで6つのステージに分けられるのではないかと思います。
 
 既に説明しましたが、①1956年~59年 ロックン・ロール時代 ②1960年~63年 アメリカン・ポップス、アイドル時代 ➂1964年~1966年 ブリティッシュ・インヴェイジョン~フォーク・ロック時代 ④1967年~1969年 フラワー・ムーブメント~サイケデリック&ウッドストック時代 ⑤1970年~1972年 シンガーソングライター及ハード&プログレッシヴ・ロックの時代 ⑥1973年~1976年 ウェストコースト及びサザン・ロック他、多様化の時代、に整理(もちろん各々の時代は重複しながら推移していますが)してみるとわかりやすいと思います。

 そして、クラッシック・ロック時代の終焉を告げたホテル・カリフォルニア前後には、イギリスからは「セックス・ピストルズ」を先頭にしたパンク・ロック、当時珍しかったアメリカ東海岸からは、「キッス、エアロ・スミス」、中西部からは「ブルース・スプリングティーン、ボブ・シーガー」等の所謂ハートランド・ロック、ウェストコーストからは「シルク・ディグリーズ byボズ・スキャッグス」を皮切りとしたAOR、そして70年代終盤には、「ラリー・カールトン、リー・リトナー」等のフュージョン、クロスオーヴァー時代を迎えます。
 又、ブラック・ミュージック系では、70年代スタートと同時にジャクソン5(マイケル・ジャクソン)がデビューし4曲連続No.1ヒット、そしてスティーヴィー・ワンダーが無双状態に入っていましたし、スライ&ファミリー・ストーンやアース・ウインド&ファイアーによるファンク及びディスコブーム、ジャマイカのレゲエ(ボヴ・マーリー、ジミー・クリフ等)も大流行しロックへも大きな影響を与えました。
 
(1)            シンガーソングライター
 
 この項で取り上げるシンガーソングライターは、あくまでも70年代初頭から出現し、主にアコースティック・ギターやピアノを使用した自作自演のソロ歌手で、一般的にはジェイムス・テイラー辺りからのアーティストです。    

 良く言われるのが、愛と平和を標榜したもののウッドストック後は、ヘルス・エンジェルによる黒人刺殺事件、ビートルズの泥沼解散劇、立て続けに起こった麻薬等による中毒死(ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョップリン、ジム・モリスン、グラム・パースンズ)や交通事故死(デュアン・オールマン、クラレンス・ホワイト)等が相次ぎ、それらが幻想だったと知らされた60年代が終わり、虚無感に襲われた人々は、社会ではなく自己の内面に目を向けた落ち着いた音楽に癒しを求めるようになり、シンガーソングライターが登場してきたという解説ですね。

 アメリカからは、ジェイムス・テイラー、キャロル・キング、ジョニ・ミッチェル、ローラ・ニーロ、ニール・ヤング、ニルソン、ドン・マクリーン、ジム・クロウチ、ジャクソン・ブラウン、JDサウザー、トム・ウェイツ、カーリー・サイモン・・・。

 イギリスからは、エルトン・ジョン(最もシンガーソングライターと呼べるのは、1枚目~4枚目のマッドマンか、次のホンキー・シャトゥくらいまでで、その後のピアニストを撃つな、グッバイ・ブリック・ロードでは、すっかりポップスターになり初登場No.1アルバムを量産したのはご承知のとおりですが)、ギルバート・オサリバン、キャット・スティーヴンス等、70年代前半~中頃にかけて一世を風靡しました。


この項で言うシンガーソングライターを現す象徴的なアルバム
スウィート・ベイビー・ジェイムスに続く2枚目。君の友達が入っていたので、こっちを先に買いました
やっぱ、キャロル・キングは、これになりますね
名盤の名をほしいままにしている、やはり名盤ですね
日本語タイトルが酷評されましたが、その孤独の旅路は大ヒット
売れたのは、ウィズ・アウト・ユーの入ったシュミルソンですが、シンガーソングライターアルバムならこれがいいですね、1969年リリースだけど
アメリカン・パイとヴィンセントが、入っているのでこれにしました
日本では、ほとんど売れませんでしたが、個人的に大好きなアルバム
当時、輸入盤レコード店でよく見かけた1枚目
1枚目から5枚目までは皆良いですが、最初に買った3枚目をチョイスしました
イーグルスよりイーグルスっぽいファーストアルバム
この人もこのファーストか2枚目か迷うところですが、OL55とマーサが入っているので
ジョニ・ミッチェルも本当はブルーだと思いますが、こっちにしました
名曲多し、ルロイブラウンは悪い奴は全米NO.1
吟遊詩人と呼ばれていた時代のエルトン・ジョン3は、絶対外せないので
発売当時よりも現在の評価が高く、最高傑作かも!の5枚目、ポップスター1歩手前だけど
シングル曲ならアローン・アゲインですが、アルバムとしての個人的フェイバリット3枚目
個人的には、この後の4,5枚目も好きですが、やはりこの3枚目にしておきます

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