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源氏物語

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源氏物語の感想など。与謝野晶子訳Kindleから。
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記事一覧

『源氏物語』から疎外された光源氏の小説

『窯変 源氏物語〈8〉 真木柱 梅枝 藤裏葉 若菜上』橋本治 (中公文庫) 真木柱 原作が面白す…

やどかり
1日前
8

ともづな(家)に繋がれる欲望

『新源氏物語 霧ふかき宇治の恋(上)』田辺聖子 (新潮文庫) 大君がそこまで薫を拒絶するのは…

やどかり
11日前
7

「世界文学」から「現代文学」への『源氏物語』

『源氏物語―A.ウェイリー版〈3〉』毬矢まりえ+森山恵姉妹(日本語訳) 『雲隠』の帖が削…

やどかり
2週間前
16

ダース・ベイダーとしての光源氏の老いの世界は喜劇となっていく

『窯変源氏物語〈7〉胡蝶螢常夏篝火野分行幸藤袴 』橋本治(中公文庫) 玉鬘十帖のうちの7話。…

やどかり
3週間前
6

『源氏物語』の「もののけ」は当然の感情である。

『源氏物語 A・ウェイリー版2』紫式部 ,アーサー・ウェイリー(翻訳),毬矢 まりえ(翻訳),森山恵…

やどかり
1か月前
16

光源氏の手はずとしての娘たち

『窯変 源氏物語〈6〉 朝顔乙女 玉鬘 初音』橋本治 (中公文庫) 「朝顔」が結婚しない女のエピ…

やどかり
1か月前
8

光源氏はかくも美しきダークサイドの王なのか?

『窯変 源氏物語〈5〉 蓬生 関屋絵合 松風 薄雲』橋本治 (中公文庫) 各帖がページ数以上に長く感じるのは光源氏のモノローグがどこまでも問いのなかに彷徨っているからだろうか?「蓬生」は待つだけの末摘花が姫として宮廷に上がっていくファンタジーとして面白い。続く「関屋」「絵合」ではぐっと明るい調子になっていく。「関屋」では空蝉よりも小君の不服従に腹を立てる。「絵合」がこんなにも明るく感じられたのはそれまでの経緯があったからだろうか?「松風」は再び待つ女と母でありながら愛人であ

窯変は男たちの「源氏物語」

『窯変 源氏物語〈4〉 花散里 須磨 明石 澪標 』橋本治(中公文庫) 須磨 葵の母の大宮と弘徽…

やどかり
2か月前
21

もののけと無常観の「源氏物語」

『新源氏物語(下)』田辺聖子 (新潮文庫) 他の方のレビューもある通り一番読みやすい(漫画は…

やどかり
2か月前
19

雅楽がバロック管弦楽になる「源氏物語」

『源氏物語 A・ウェイリー版1』紫式部 (著),アーサー・ウェイリー(翻訳),毬矢 まりえ(翻訳),森…

やどかり
2か月前
21

六条御息所と呪術廻戦

『窯変 源氏物語〈3〉 花宴 葵 賢木』橋本治(中公文庫) 『葵』は六条御息所の「もののけ(怨…

やどかり
2か月前
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近江の君のスピンオフ・ドラマが観たい

『新源氏物語〔中〕』田辺聖子(新潮文庫) 須磨から帰還した光源氏は、さらに大きく成長して…

やどかり
2か月前
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ダースベイダーとしての光源氏

『窯変 源氏物語〈2〉 若紫 末摘花紅葉賀』橋本治 天皇が太陽ならば光源氏は月。さらにその天…

やどかり
3か月前
16

情操教育としての「源氏物語」

『新源氏物語(上) 』田辺聖子(新潮文庫) 『源氏物語』は以前読んでいたので記憶を呼び覚ます読書。最初に読んだときよりも『源氏物語』に出てくる女たちの特徴に惹かれててゆく。田辺聖子はそのへんの書き方が上手いのかもしれない。 「夕顔」はこんなに悲劇のヒロインだったのかと改めて関心したり、紫の君は源氏が須磨に行っている間に大人の女性になったとか(北の方としての使命を果たす)、それにしても須磨に行くまでの光源氏のやりたい放題なのは女は欲望を満たすものとしか考えていないのだ。その