村松 一之(和キャピタル 運用本部部長)

和キャピタル 取締役 運用本部部長 為替、株、金利など主要なマーケットに携わって気が…

村松 一之(和キャピタル 運用本部部長)

和キャピタル 取締役 運用本部部長 為替、株、金利など主要なマーケットに携わって気が付けば20年を越える月日が流れた。今もファンドの運用とプロの有価証券運用者の育成のため悪戦苦闘中!また、子供たちの金融教育を目的とした「新世紀の金融寺子屋」を開始。

最近の記事

来週の相場見通し(5/20~5/24)

1.はじめに今週は、米国のCPIや小売売上高等の経済指標が注目されたが、何か市場の動向を大きく変えるようなものではなかった。すなわち、今の市場は「インフレは順調とはいえなくても、大局的には鈍化していくのかな」という大局観と、「米国経済がちょっと減速してきたかな」という不安の両方が起こっている。特にインフレに関しては、これまで散々議論してきたので、ちょっと飽きてきているのだが、米国経済の減速については新しい兆候のために神経質になっている。しかし、現在までに発表されている米国の経

    • 新世紀の寺子屋(第15回)

      今回の金融教育の題材は、「為替相場」です。とても旬な話題です。何故なら、GW中に1ドル=160円台へと円安が進行し、政府は大規模な為替介入を実施しました。そんなこともあり、外国為替は何かと話題なのです。 ニュースでも、よく「34年ぶりの円安」という報道がされていますね。円安とは、日本の通貨の円が安いということです。但し、バナナが高いとか安いは、分かりやすいのですが、通貨の円が安いというのは分かりにくいですね。大事なポイントは、日本の通貨の円が、何に対して安いのか?ということで

      • 来週の相場見通し(5/13~5/17)

        1.はじめに今週は久しぶりに静かな週となった。しかし、静かな週の中でも、いろいろと考えるべきことは多い週でもあった。今回は、米国経済への市場心理の変化を取り上げる。また、やや長期的な視点で米国の変化を整理しておく。 2.景気減速の足音先般の軟調な米国雇用統計以降、市場では米国経済の減速がテーマになり始めている。これまで市場は、こうした米国経済のスローダウンにより、インフレが抑制され、FRBが利下げサイクルに入る展開を待ちわびていたはずだ。しかし、米国株式市場は足元の展開を歓

        • 来週の相場見通し(5/6~5/10)

          1.はじめに今週も市場は色々あった。為替市場での乱高下、FOMCでの重要なメッセージ、米国雇用市場、原油安、そして米国株式市場の回復だ。実に見るべきポイントの多い週だった。GW中のため、米国のポイントだけ簡易版でお届けする。時間があれば日本について取り上げる予定だ。 2.為替市場まずはドル円相場だ。値動きも、そして人々の関心や心理という点でも、まさに為替市場が主役であった。下のチャートは、ここ最近のドル円相場の推移だ。日銀金融政策決定会合が、実にハト派的な会合であったことは

          来週の相場見通し(4/29~5/3)②

          1.来週のポイント(簡易版)(1)米国債に注目 来週のFOMCでは、量的引き締め(QT)の終了に向けたスケジュールがアナウンスされると見込まれている。現在、米国債は月額最大600億ドルで減らされているのだが、これを半分の300億ドルへと修正することがメインシナリオだ。一方、住宅ローン担保証券 (MBS)・政府機関債の削減額(現行は月額最大350億ドル)は現状維持が予想されている。今のFRBの立場は、インフレ抑制を辛抱強く確認したい一方で、住宅ローン金利の上昇は抑制したい、経

          来週の相場見通し(4/29~5/3)②

          来週の相場見通し(4/29~5/3)①

          1.はじめに今週は、国内では日銀金融政策決定会合と、止まらない円安が大きな話題になった。海外では米国の企業決算と長期金利の上昇がテーマだった。来週は日本はゴールデンウイークとなるも、海外では重要なイベントが盛りだくさんだ。今回は、簡易版でポイントだけ解説したい。 2.円安の加速今週は円安が加速した。下のチャートはBISが算出する円の実質実効為替レートであるが、歴史的な円安水準にあることが分かる。来月公表される最新データでは、更に一段と円安が進んでいることが確認されることは確

          来週の相場見通し(4/29~5/3)①

          来週の相場見通し(4/22~4/26)②

          1.中東リスク今週末の金曜日は、市場が大きく揺れた。イスラエルがイランに対して報復攻撃をしたからだ。イスラエルとイランは中東地域の2大軍事大国であり、やや大袈裟に言うならば、中東におけるロシアと米国のようなものだ。その2つの大国が本格的に戦争をする事態になれば、その影響は計り知れないものがある。市場は不透明感を何より嫌うので、市場が大きく反応するのは当然である。現段階ではイスラエルとイラン双方ともに一応は冷静さを失っておらず、メンツを保ちながらも、状況をエスカレートさせないよ

          来週の相場見通し(4/22~4/26)②

          新世紀の寺子屋(第14回)

          子供向け金融教育「新世紀の寺子屋」の第14回の授業の一部を公開します。 今回は、まず「バブル」を取り上げることにしました。 日経平均株価がバブル期の史上最高値を更新したことで、何かと「バブル」という言葉を耳にする機会も増えました。ちなみに、生徒さんたちに、バブルについて質問したところ、やはり小学生はピンとこないようでした。 バブルは、シャボン玉が膨らむように、人々の期待が膨張し、やがて熱狂に転じ、本来の価値に見合う価格から大きく乖離していく現象です。永年に継続しているバブル

          来週の相場見通し(4/22~4/26)①

          1.はじめに今週は、週末に中東の地政学リスクが拡大して、一時はパニック的な展開となった。これについては、後ほど取り上げる。今回のテーマは「大局観」と「葛藤」である。大局観を持って、市場が抱えている様々な「葛藤」を見ていくことで、市場の状況を整理していこう。色々と取り上げたいことがあるので、分割して可能な限り配信しようと思う。 2.米国の葛藤(1)FRBと市場の葛藤 FRBに対する市場の信頼感が揺らいでいる。下のグラフは、今年のFRBによる利下げ回数に対する市場とFRBの見

          来週の相場見通し(4/22~4/26)①

          来週の相場見通し(4/15~4/19)①

          1.はじめに今回は簡易版です。テーマは「葛藤」。葛藤を通じて、市場のポイントを確認する。まずは中東情勢が緊迫化しているため、中東を中心に整理し、追って異なるテーマの葛藤を取り上げるつもりだ。 2.中東の葛藤まずは緊迫化している中東の葛藤だ。今週は週末にかけてイスラエルとイランの情勢が急速に緊迫化した。そうはいっても、これは既定路線だ。イスラエルがシリアにあるイラン領事館を攻撃したのが4月1日であり、4月2日にはイランの最高指導者のハメネイ師が「神のお力により、この犯罪を必ず

          来週の相場見通し(4/15~4/19)①

          来週の相場見通し(4/8~4/12)②

          1.欧州の状況来週はECB理事会が開催される。さすがに来週の利下げを見込む向きはないものの、ECBについては6月利下げサイクル開始が濃厚である。今のところ、市場では6月から利下げ開始し、その後も年内に3回~4回、そして来年も4回程度の利下げが見込まれている。 それでは、ユーロ圏のインフレ状況を確認しておこう。まず下のチャートは、ユーロ圏の総合HICPであるが、3カ月連続で順調に低下し、前年比+2.4%まで低下してきた。このところエネルギー価格が上昇している中でも、これだけ低

          来週の相場見通し(4/8~4/12)②

          24年第1四半期まとめ

          24年の第一四半期は世界の株式市場にとって非常に良い結果となった。今回は、各市場のベスト10とワースト10銘柄をピックアップしながら、その傾向を俯瞰してみる。リフィニティブのデータベースから抽出したので、他のデータベースと若干相違があるかもしれないが、傾向は掴めるだろう。ちょっとしたお遊びです。 【S&P500 ベスト10】 トップ2が際立っている。まさに生成AIのビックムーブメントを牽引するエヌビディアと、AIデータセンターに特化した戦略がお見事だったスーパー・マイクロが

          新世紀の寺子屋 第13回

          新世紀の寺子屋は、子供を対象とした金融教育を行っています。現在4つのタイプの塾生がおります。 ① 教室に直接現地参加の生徒さん ② オンラインで参加の生徒さん ③ 授業の録画配信だけの生徒さん ④ 金融教育に関心のあるお父さん、お母さん(オンラインか録画配信) 生徒さんは、いつでも募集中ですので、お気軽にご連絡ください。お試しに、録画授業を見てみたいという場合も、無料で送ります。 詳細は、以下のリンクを確認ください。 お知らせ③(金融教室 オンライン)|村松 一之(和キャ

          来週の相場見通し(4/8~4/12)①

          1.はじめに市場とは実に疑り深いものだ。3月のFOMCでは、24年の利下げ見通しが3回に維持された。パウエル議長は、インフレ抑制の道は「でこぼこ道」であり、直近のインフレ率の上振れは懸念していないとハト派的な発言をした。それでも、市場は納得していないようだ。面白いことに、3月のFOMC以降、市場の利下げ見通しはますます後退しているのだ。「インフレは根強い」、「米国経済は現在の高金利でも好調なのだから、無理に利下げをする必要はない」こういう説明には説得力があるため、なんとなく市

          来週の相場見通し(4/8~4/12)①

          来週の相場見通し(4/1~4/5)

          1.はじめに今週は久しぶりに材料に乏しい静かな週だった。来週は再び重要な経済指標が相次ぐことから、束の間の平穏だろうか。それにしても、このところの株式市場は好調だ。米国のS&P500は5ヵ月連続の上昇となった。年初からのS&P500の上昇率は、約10%に達した。驚くべきことに日本株の年初からの上昇は20.6%で、好調な米国株を10%以上もアウトパフォームしている。このところ、「流石にもう株式市場は調整局面入りするのでは?」であるとか、「もう上昇は期待できない」などの声を耳にす

          来週の相場見通し(3/25~3/29)②

          1.日銀の政策変更(1)円金利とドル円相場 注目されていた日銀金融政策決定会合では、マイナス金利政策の解除のみならず、YCC政策、当座預金の3段階構造、ETF、J-REIT買い入れ、フォワードガイダンス、オーバーシュート型コミットメントなども同時に撤廃された。しかしながら、市場では既に織り込み済みであったことや、日銀が追加利上げを急ぐことはないとの思惑が強く、決定会合後には円金利は低下し、為替相場では円安が急進し、日経平均株価は再び4万円台に上昇した。金融政策のメディアを通

          来週の相場見通し(3/25~3/29)②