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#歴史小説が好き

歴史小説への愛や、好きな作品・作家を語ってください!

急上昇の記事一覧

【歴史小説】流れぬ彗星(10)「河内屋形」

この小説について  この小説は、畠山次郎、という一人の若者の運命を描いています。  彼は時の最高権力者、武家管領の嫡男です。  しかし、目の前でその父親が割腹自殺する、という場面から、この小説は始まっています。  彼はその後、師匠の剣豪や、愛する女性、そして終生の宿敵である怪僧・赤沢宗益と巡り合い、絶望的な戦いを続けてゆきます。  敗れても、何度敗れても立ち上がり続けます。  全ては、野心家の魔人・細川政元により不当に貶められた主君・足利義材を救うため。  そして自分自身

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JW604 甕襲の犬

【垂仁経綸編】エピソード26 甕襲の犬 第十一代天皇、垂仁天皇の御世。 西暦36年、皇紀696年(垂仁天皇65)。 ここは、纏向珠城宮。 垂仁天皇こと、活目入彦五十狭茅尊(以下、イク)は、大連や大夫たちと共に、語らい合っていた。  イク「新の国が滅びて、十三年・・・。再び、漢の国が、大陸をまとめたって?」  武日「じゃが。劉秀という男が、王様になったみたいっちゃが。」  オーカ「王様ではありません。皇帝にあらしゃいます。」  武日「どっちでも良かっ。」  ニ

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JW602 新羅を襲う民

【垂仁経綸編】エピソード24 新羅を襲う民 第十一代天皇、垂仁天皇の御世。 西暦14年、皇紀674年(垂仁天皇43)。 ここは、針間国(現在の兵庫県南部)。 日嗣皇子の大足彦忍代別尊(以下、シロ)は、若日子建吉備津日子(以下、タケ)の屋敷を訪れていた。  シロ「今年、海の向こうで、なにやら、恐ろしいことが有ったと、聞き及びもうしたが、御存知にござりまするか?」  タケ「うむ。秋津洲の者が、海を渡った話であろう?」  シロ「左様にござりまする。」  タケ「百余艘

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JW603 三毛入野の社

【垂仁経綸編】エピソード25 三毛入野の社 第十一代天皇、垂仁天皇の御世。 西暦23年、皇紀683年(垂仁天皇52)。 そんな、ある日のこと・・・。 ここは、国中(奈良盆地)の葛城・・・。 二千年後の奈良県御所市や大和高田市の辺り・・・。 葛城の直の宮戸彦(以下、みやさん)の屋敷に、豪族たちが、集まり、何やら語らっていた。 参加者は、下記の通り。 忌部の首の和謌富奴(以下、わかとん)。 大伴の連の武日。 久米の直の押志岐毘古(以下、オシキ)。 中臣の連の

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【読書記録】坂の上の雲 一

ポイント・立身出世主義が当時の若者を動かしていた ・「男子は生涯一事をなせば足る」 感想「男子は生涯一事をなせば足る」という言葉が印象的でした。 作中の人物の多くは立身出世を目指していて、時代もあってか勢いを感じる。 翻って、今はどうだろう?と考えていました。 「出世したい」「もっと給料がほしい」 そんな風に語る人は減っているように思いますし、かく言う私もそれらにはさほど欲がありません。 どちらが正しいということはないでしょうが、今となっては、本書で描かれるような「俺が世の

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【読書】現代のハンニバルたちに読ませたい~『ハンニバルの象つかい』(ハンス・バウマン作、大塚勇三訳)~

同じ大塚勇三訳の『大力のワーニャ』を図書館で見た際に近くにあったため、読んでみました。 象を率いての有名なアルプス越えを果たした、第2次ポエニ戦争を扱っているのですが、読んでいてだんだん重苦しい気分になってきます。どんどん読みすすめることができず、児童書とは思えないほど日数をかけて読む羽目になってしまいました。 これが本当かは分かりませんが、そういうこともありえそうです。 象の数が減っているのは、人間の乱獲だけが原因ではなく、この地上に象の住む値打がなくなってきているか

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JW599 品部の部の字

【垂仁経綸編】エピソード21 品部の部の字 第十一代天皇、垂仁天皇の御世。 西暦10年、皇紀670年(垂仁天皇39)10月。 ここは、纏向珠城宮。 垂仁天皇こと、活目入彦五十狭茅尊(以下、イク)は、大連や大夫たちと共に、詰問していた。 尋ねる相手は、皇子の五十瓊敷入彦(以下、ニッシー)である。  イク「・・・ということで『ニッシー』? どうして、一千口の剣を造ったのかな?」  ニック「せやで。謀反の疑いを持たれても、しゃぁないことをしてるんでっせ。」  ニッシ

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夏草や 強者どもの 夢のあと

 魚雷発射試験場の痕跡です。  長崎の東彼杵郡、大崎半島の先端にそれはあります。  その場所を訪うひとも少なく、屋根の抜けたコンクリ造りの建物から繁茂している木の元に涼しい風が通っています。  湿っぽい季節だというのに、空気が冷えている、そんな感覚を味わいます。  この建物は「バケモノの子」の舞台のモデルにもなったそうです。残念ながら未見です。  内部から見上げると、空が切り取られているようで、ああ廃墟マニアというのは、こんなゾわゾわする気分を味わいに来ているのだなあと感じ

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JW600 十個の品部

【垂仁経綸編】エピソード22 十個の品部 第十一代天皇、垂仁天皇の御世。 西暦10年、皇紀670年(垂仁天皇39)10月。 ここは、纏向珠城宮。 垂仁天皇こと、活目入彦五十狭茅尊(以下、イク)は、大連や大夫たちと共に、語らい合っていた。 そして、皇子の五十瓊敷入彦(以下、ニッシー)に、品部を与えると伝えるのであった。  イク「・・・ということで、『ニッシー』に与える品部は、十個だよ。」  ニッシー「十個? 十種類ってこと?」  ちね「そういうことやね。」 

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【歴史小説】流れぬ彗星(9)「師と弟子」

この小説について  この小説は、畠山次郎、という一人の若者の運命を描いています。  彼は時の最高権力者、武家管領の嫡男です。  しかし、目の前でその父親が割腹自殺する、という場面から、この小説は始まっています。  彼はその後、師匠の剣豪や、愛する女性、そして終生の宿敵である怪僧・赤沢宗益と巡り合い、絶望的な戦いを続けてゆきます。  敗れても、何度敗れても立ち上がり続けます。  全ては、野心家の魔人・細川政元により不当に貶められた主君・足利義材を救うため。  そして自分自身

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「歴史&時代小説」と「○○○○」の共通項

今村翔吾さんの新刊「海を破る者」が発売されました。 舞台は鎌倉時代。いわゆる「元寇」に纏わるストーリーです。 河野一族の水軍や伊予水軍というワードは日本史を学ぶ過程で目にしました。でも勉強不足ゆえ、今作の主人公・河野通有については知識ゼロ。名字の正しい読み方すらわかっていません。こうの? かわの?  無知には無知ならではの楽しみ方があります。知る、学ぶという喜び。このまま真っ白な状態で挑む所存です。 「じんかん」「塞王の楯」「八本目の槍」と読んできて、今村さんのなかで

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伊達政宗㉕

仙台城について続ける。 藩主が座る上段の間のさらにその奥に一段高い間があり、将軍が訪れた時にその間に座るとか、天皇が行幸してきた時に天皇が座る間であるとか言われた。 俗に「帝座の間」と呼ばれる空間である。 仙台城には将軍専用の御成門まで用意してあった。 また大広間の隣には鳳凰の間があった。 鳳凰の間の正面上段の床には金箔を貼り、桐、竹、松、そして鳳凰が描かれていたという。 大広間の東側には眺嬴閣があり、懸造という、ちょうど清水の舞台のように、崖から競りだした建物を、柱や貫で支

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後白河法皇⑲

平宗盛は治承5年(1181年)8月、平貞能を鎮西(九州)に、平通盛と経正を北陸に派遣した。 この2つの作戦のうち、より重要性が高いのは、より京に近い北陸の鎮定である。 しかし、兵力が足りない。 宗盛は城資職を越後守、藤原秀衡を陸奥守に任じた。 国司は、中央の貴族または武家が任じられるものであり、地方の豪族が任じられるものではなかった。九条兼実は湖人事を「天下の恥」とまで言っている。 しかし、宗盛は情勢の変化に応じる努力をしていたのである。つまり地方武士と中央の平家との間に格差

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今はアウトか【読書感想文】黒岩重吾『ワカタケル王子』(2002)

タイトルも出演していた俳優も忘れてしまったが、10年くらい前の真っ昼間、テレビで昔の西部劇映画(60年代か70年代?)を観るとはなしに観ていた。 林の中を移動中、主役の男性が突然ヒロインに襲いかかった。 敵を欺くために悪漢のふりをしているとか、ヒロインに口を割らせるために芝居をしている、とかなら分かるが、どうやらそういうわけではないらしい。 マジだ。マジ発情である。 恋は突然、とか言ってる場合ではない。びっくりである。 激しく抵抗していたヒロインも、やがて男性を受け

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JW601 産まれてない

【垂仁経綸編】エピソード23 産まれてない 第十一代天皇、垂仁天皇の御世。 西暦10年、皇紀670年(垂仁天皇39)10月。 ここは、纏向珠城宮。 垂仁天皇こと、活目入彦五十狭茅尊(以下、イク)は、大連や五人の大夫、そして、皇子の五十瓊敷入彦(以下、ニッシー)と共に、驚きの声を上げていた。 一柱の神が降臨し、神託を下したのである。  神「一千口の剣を石上神宮に納めなさい。春日の臣の市河と申す者に納めさせなさい。」  イク「えっ?」  ニッシー「ちょっと! どう

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JW605 金印が来た

【垂仁経綸編】エピソード27 金印が来た 第十一代天皇、垂仁天皇の御世。 西暦52年、皇紀712年(垂仁天皇81)2月1日。 ここは、纏向珠城宮。 物部の連の大新河(以下、ニック)が引退した。 垂仁天皇こと、活目入彦五十狭茅尊(以下、イク)は、新たな大連について、尋ねるのであった。  ニック「これにて引退やで。」  イク「次の大連は、どうするの? 息子の大母隅こと『ロス』になるの?」  ニック「いや、ここは、弟の十千根こと『ちね』に譲ろうと思うてます。」 

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コスパのいい遊びで人生を豊かにする

いきなりですが、800円の歴史小説を3ヶ月かけて精読したら、かなりコスパよくないですか? 詳細まで突き詰めて読んで行くと、歴史小説に書かれている以外の景色が見えてきます。 具体的には読んでいる歴史小説の社会背景とか、そういったことも理解できるまで図書館やネット検索、チャットGPT、Googleマップなどを活用して調べてみたりする。 あとは歴史小説を読む過程で発見した知らない知識は、理解の枠を超えてまで深掘りして調べていきます。これは別名「脱線読書」とも言えるでしょう。

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JW598 千本剣

【垂仁経綸編】エピソード20 千本剣 第十一代天皇、垂仁天皇の御世。 ここは、伊勢国の五十鈴宮。 二千年後の三重県伊勢市に鎮座する、伊勢神宮の内宮である。 天照大神の御杖代、倭姫(以下、ワッコ)の元に、ある人物が、帰還の挨拶に訪れていた。 その人物とは、大若子こと、大幡主(以下、ワクワク)である。  ワクワク「・・・ということで、大幡主の名前を貰ったんだよね。」  ワッコ「左様か・・・。つつがなく、反乱は平定されたのじゃな・・・。」  ワクワク「・・・というこ

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歴史から沢山のことを学べる

衝動買いした歴史小説。 司馬遼太郎さんの「覇王の家」、伊藤潤さんの「江戸を造った男」、「巨鯨の海」を読了しました。他にも途中でやめてる本もあり笑 歴史小説において、 ・街や国が栄える仕組み ・異文化との絡みや導入 などが特に好きなようで、そこらへんの話が特に印象に残ります。 歴史小説から学べることが多くあり、日常に取り入れていることも時折。 ビジネス書もいいけど、具体と抽象を行き来する練習として歴史小説がとても勉強になります。 例えば「江戸を造った男」は、ビジネスや

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JW596 得彦と阿彦

【垂仁経綸編】エピソード18 得彦と阿彦 第十一代天皇、垂仁天皇の御世。 そんなある日のこと・・・。 高志国(現在の北陸地方)で暴れる、賊の阿彦を討伐するため、国中(奈良盆地)より軍勢が出発した。 率いる将軍は、大若子(以下、ワクワク)。 付き従うのは、能登国造(現在の石川県北部)、大入杵(以下、リキ)。 垂仁天皇の皇子、五十瓊敷入彦(以下、ニッシー)である。 そして、一行が進軍していると、一人の男が近寄ってきたのであった。  男「リキ様! お会いしとうござり

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