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長編『旅客機からの緊急脱出』より GW特別企画【毎日2分の重大情報③】

2. 監視とは

さて監視しているとはどういうことか。機内ではさまざまなことが起こります。バスや電車と同じです。いろんな人が乗ってきます。知らない人ばかりです。

一番の脅威はハイジャックも含め、機内での暴力・迷惑行為です。凶器となりえる危険な物の持ち込みはないか、不審者が乗ってきていないか。注意を要する人はクルー全員で情報が共有されます。サングラスをかけていて怪しいから、という見た目ではありません。毎日毎日 人を観察しているCA、目のつけどころは違います。目を合わせない、返事をしない、汗を大量にかいている、そわそわしている。そんな人が挙句の果てにコクピットのドアを開けようとしています、という報告がきて実際にその方の搭乗を拒否して降りてもらったことがあります。我々は安全を一番に優先し、機内の秩序を守ることが仕事です。その為には他の乗客を不安にさせてはいけません。

酔っ払いにも苦慮します。アルコール臭がしたら要注意です。暴れるかもしれないから?それもありますが。上空では気圧の変化もあってかなり高い確率で気分が悪くなります。揺れも重なって嘔吐し、トイレにこもる。たくさんの乗客がいる中、その人の面倒に時間をさくことになります。リゾート路線にはそういう乗客が多いイメージです。
体調悪そうな人がいないか。むしろ監視をする合間に皆さんにサービスを行っていると言ってもいいでしょう。

よく映画やドラマでドクターコールを目にします。
「お客様の中にお医者さまはいらっしゃいませんか」
あんなの本当はないでしょ?ところが結構あるんですよ。そして手を挙げる人が7人や8人もいたり。医者の学会出席者が多数乗り合わせていて、お医者さん同士でどうぞどうぞと。面白いでしょ?処置が必要な場合に、医療関係者しか使えない救急キットも載っています。CAが気軽に使える救急箱はもちろんのこと、AEDもあります。機内にないといけない幼児用の救命胴衣の数も決まっているんです。消火器の数、酸素ボンベの数、全て法律で決まっています。一つでも足りないと出発が許されません。

CAは機内で、警察官になったり看護師になったり消防士になったりするのです。保母さんになる時すらあります。どうでしょう。そろそろCAを見る目が変わってきたでしょうか。

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