消滅しつつある闇のために
ふるさととしての闇 上野昻志の名前を知ったのは筑摩書房から出ていた映画雑誌『リュミエール』に発表されたいくつかの映画評論によってだった。映画の具体的な運動をとらえることを目指す面白い評論を書く人だな、という印象を持ったが、上野の名は60年代から知る人ぞ知る伝説的なもののようだった。日本サブカルにおける重要雑誌『ガロ』で「目安箱」と題されたコラムを書き始めて注目され、美術評論家の石子順造がひとに上野を紹介する時は「『ガロ』で「目安箱」という評論を書いている上野さん」と、必ず言っ