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音楽レビュー『For You』山下達郎(1982)伸び伸びとした自由を感じさせる作風


山下達郎は坂本龍一の
盟友でもあった

山下達郎について書くのは、
ためらいがあるというか、
恐れ多いところがあります。

なんせ、これまでに
聴いたことがあったのは、
ベスト盤くらいで、

ちゃんとアルバムを
聴いたことがなかったんです。

しかし、いつかじっくり
聴いてみたいと思っていました。

というのも、私が敬愛する
坂本龍一が若い頃に
よく共演していたからです。

坂本龍一の若い頃のアルバムの
いくつかに山下達郎が
クレジットされています。
(コーラスなどで参加)

お二人とも、
駆け出しの頃に、
CM 音楽などをよく手掛けており、

そんな共通点もあって、
交流があったようです。

山下達郎の名盤といえば

気になっているとはいえ、
どのアルバムから聴いていいか
迷った私は、ネット上の
意見を参考にしました。

山下達郎の名盤の一つとして、
紹介されていたのが、
本盤でした。

'82年に発表された
6作目のスタジオアルバムです。

山下達郎は、
最初から売れていたわけではなく、

'80年に『RIDE ON TIME』が
ヒットしたのがきっかけで、
アルバムも売れるように
なったようなんですね。

ヒットが出たおかげで、
時間や予算に気兼ねせずに、

ようやく自由に
制作できるようになったのが、
本盤からだったのです。

伸び伸びとした
自由を感じさせる作風

これ以前のアルバムを
聴いたことがないので、
実際のところはわかりませんが、

自由に制作できるようになった
開放感のようなものが
本盤のサウンドからは
感じられます。

伸び伸びとした歌声や、
曲の端々に感じられる
サウンドへのこだわりが
そのような印象を
抱かせるのでしょう。

①『SPARKLE』から
そんな印象が顕著で、
これほど朝が似合う
さわやかな曲はありません。

②『MUSIC BOOK』
ストリングスやホーンによる
バッキングも素晴らしい
ゆったりとした曲です。

③『MORNING GLORY』
壮大なコーラスとホーンが
印象的な曲で、

山下達郎自身が手掛けた
歌詞もリズムに
ピッタリ合っていて
心地よく歌が耳に入ってきます。

④『FUTARI』
ジャズ的なピアノからはじまる
バラードで、
コーラスとストリングスの
ハーモニーも素晴らしい一曲です。

⑤『LOVELAND, ISLAND』
ハープからはじまるイントロが
とても心地いい曲で、
ここまでの曲と比べると、
アップテンポな曲です。

全編にわたって、
コーラスが入っていて、
緩急のあるアレンジがいいです。
サックスもいい味を出していますね。

⑥『LOVE TALKIN'』
ギターとベースの
シンコペーションが効いた
(リズムのズレ)

リズミカルな曲です。
この曲も時折入る、
ハープの音がいいですね。

⑦『HEY REPORTER!』
ハードなギターとベースが
特徴的なロック+ファンクです。

歌い方もファンクのそれで、
このアルバムの中では
異質な曲になっています。

なんでも、この頃、
山下達郎はパパラッチに
追われており、

その鬱憤をネタにした
曲らしいです。

⑧『YOUR EYES』
いかにも山下達郎らしい
バラードですが、

もとは竹内まりやのために
書き下ろした曲でしたが、
ボツになりご自身で歌ったようです。

これも地味なところですが、
途中で入るシタールが
なんとも幻想的で
いいアクセントになっています。

こういう名曲を
最後に持ってくるのが、
やはり、山下達郎のすごさですね。

最後がしっかり締まります。

なお、本盤では、
曲間にアカペラの小曲が
(ドゥーワップ)
挿入されていますが、

これも山下達郎ならではの
いい味を出していますね。


【作品情報】
リリース:1982年
アーティスト:山下達郎
レーベル:AIR/RVC

【アーティストについて】
’73年、大貫妙子らとともに、
シュガー・ベイブを結成。
’76年、解散、ソロデビュー。

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