哲猫

ネット思想家。現代社会の様々な事象について、哲学・思想・宗教などのテーマと絡めながらな…

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ネット思想家。現代社会の様々な事象について、哲学・思想・宗教などのテーマと絡めながらなるべく簡単に語ります。

最近の記事

【仏教論】脱連鎖と飛翔

 仏教的世界観において、人間は連鎖の中で存在する、また存在してゆくと考えられている。その連鎖の根拠となる、いわゆる霊魂的なものが存在するかしないかの議論は仏教ではほとんど問題とされない。無我説がある限り、固定不変の実体としての霊魂は認めないだろうが、かといってなんの〈記録媒体〉もなしに同一生命の連鎖が生じていくことは実感が掴みにくい。いま人間である私が、来世には犬になる、鬼になる、あるいは神的存在になる。そういう転生が発生した時に、その犬や鬼がかつては今ここに存在する私だった

    • 生きることと死ぬこと

       思想家がやるべきことは「生きることと死ぬこと」について考えることだと思う。  生きることについて考えること。それは人生の諸相、人間存在の本質を突き詰めてゆくこと。そして私たちがどうすれば世界をより良くできるのか、少しずつ答えを探してゆくこと。  死ぬことについて考えること。それは見えないものを感じること。聴こえない声に耳を傾けること。私たちが生き抜いたあと、生命が何処へ向かうのか追いかけてゆくこと。  意味なき世界、価値なき世界で、私たちはどう生きて、どう死ぬか。それ

      • 小沢健二論

         小沢健二は変化した。特にその歌詞が。あるいは歌詞の裏にある意味が。また、その表現が。  人はいつまでも瑞々しいままではいられない。時間と共に歳をとり、必ず老いてゆく。それは決して悪いことではないし、変えようのない真実だ。けれど、もし神が許すなら小沢健二のあの若い頃の感性だけは変わらないままにしておいてほしかった。  もちろん今の小沢健二が悪いわけではない。若い頃よりもむしろ洗練された部分もあるし、歌詞の内容も具体性というか、エッセイ的になっていて面白いと思うところも多い

      【仏教論】脱連鎖と飛翔