【仏教論】脱連鎖と飛翔
仏教的世界観において、人間は連鎖の中で存在する、また存在してゆくと考えられている。その連鎖の根拠となる、いわゆる霊魂的なものが存在するかしないかの議論は仏教ではほとんど問題とされない。無我説がある限り、固定不変の実体としての霊魂は認めないだろうが、かといってなんの〈記録媒体〉もなしに同一生命の連鎖が生じていくことは実感が掴みにくい。いま人間である私が、来世には犬になる、鬼になる、あるいは神的存在になる。そういう転生が発生した時に、その犬や鬼がかつては今ここに存在する私だった