加賀直樹

ライター / 小学館・小説丸の連載『源流の人』、AERA『現代の肖像』など執筆中 / …

加賀直樹

ライター / 小学館・小説丸の連載『源流の人』、AERA『現代の肖像』など執筆中 / ブックサイト・好書好日の連載『谷原書店』、桜美林大× AERAdot連載『百家結集』など構成 / 元・朝日新聞記者(1999~2016) / kaganaoki1974@gmail.com

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灯台守はバーにいる

せっかく開いた桜の花が、嵐のような雨に打たれ無残にもうなだれていた。午後7時、巨大な生命体の血管のごとく網羅された地下鉄の、これまた真っ赤な丸ノ内線に揺られる。乗客の群れをかきわけ新宿御苑前駅で降り、歩くこと数分。たどり着いたのが「仲通り」。ゲイタウン・新宿二丁目の目抜き通りである。 この荒天というのに、通りに面したバーの店先では大勢の若い客が瓶ビール片手に大声を上げている。外国人観光客もたくさんいる。寒くないのか、ジャケットを羽織らず酒をあおる客もいる。 新宿二丁目は、

    • 遠い警笛

      「C57 57」 1937年3月に幹線旅客用として生まれた蒸気機関車だ。 岡山、仙台の各機関区を経て1949年、小樽築港機関区に配属。 1966年までの17年間、道内の主要幹線を走り抜けた。 小樽を去ってからも室蘭、苗穂(札幌)、岩見沢と、 道内の各機関区で重用されたのち、1976年に廃車。 走行キロは実に336万5110キロにも及ぶ。 国鉄に勤めていた僕の亡き祖父は、小樽築港機関区配属の機関士だった。「お召し列車」を2度運転したことを生前、自慢げに話してくれた。 こ

      • 鴫浜への思い

        ※以下の文章は、2020年4月28日、 ちょうど世界がコロナ禍に見舞われたさなか、勝手に書き記した文章です。 以下、文章始まり。 題名「鴫浜への思い」 ただでさえ自宅勤務であるのに加え、 こうも世界が閉塞感に満ちると、 深呼吸できなくなっちゃいますね。 おまけに明後日には、大きめの締め切り案件があり。 ということで、家でごはんをつくり、食べる日々が続いています。 つか原稿書けや。 さてコロナ禍がいつか終息したら、どこに旅行しようか。 久しぶりに鴫浜に行こうかな。 特急

      灯台守はバーにいる