首の短いキリン。

色々な物語を紡げますように。

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最近の記事

It’s the single lifeとは?30

〇〇:ふぅ。 我ながらなかなかいい出汁が取れた。 料理とは素晴らしい。 明確なゴールがあり、手順や分量さえ間違わなければ誰でもそこに辿り着ける 〇〇:料理をしている時は実に素晴らしい。 料理に集中するからこそ、他のことを考える余裕が否が応にもなくなる そう。他のこと… 〇〇:おっと危ない。危ない。 今やるべきことは二つ。 一つはこの料理、朝食を完成させること。 そしてもう一つは… 〇〇:ちゃんと謝らねば。 パニックを起こし、とりあえず落ち着くために初めた朝食

    • It’s the single lifeとは?29

      無音が支配する寝室 遠藤:…// うるさい…うるさい… 自分の心臓の音が異様なほど大きく聞こえる。 いつも通りの寝室なのに… 〇〇さんがいるだけでこんなに違うんだ。 〇〇:…僕に出来ることならいくらでも。 そう言って頭の上に感じる少しの重みと、心地良い暖かみ あぁそっか。 きっと私はもう… 遠藤:…おやすみなさい。 〇〇:はい。おやすみなさい。 ホント不思議な人だな。 和ちゃんが取られると思って勝手に嫌いになって。 仕方がなくて一緒に出かけて。 そこ

      • It’s the single lifeとは?28

        遠藤:…そ、そんな… まるで緊張の糸が切れたように、ペタンと音がなるように地面に腰をつける 遠藤:井上さん… 月明かりと街灯だけが彼女の視界を灯す その先には 〇〇:ふぅ。 いきなり刃物突き刺すとか頭イカれてんのかお前。 埃を払うかのように、まるで何事もなかったように立つ彼と 「な、なんなんだよ…お前…」 腹部を抑えながら、転がり落ちた刃物にどうにか手を伸ばそうとする男 〇〇:すげぇな。 割とマジで脇腹に蹴り入れたんだけどな。 時間にして数秒の出来事 刃

        • It’s the single lifeとは?27

          月明かりが照らす住宅街の一本道 遠藤:あなた… 電柱の影から、不気味な笑みを浮かべながら男が現れる 「久しぶりだね。さくちゃん。」 遠藤:たしか… いつも握手会に来てる… 「フフフ。嬉しいなぁ。 僕のこと覚えててくれたんだね。」 まるで影を揺らすように、男は若干ふらついた動きで遠藤との距離を少しずつ詰める 遠藤:…いつも応援してくれていることには感謝します。 でも、これはルール違反ですよ。 遠藤はあくまでも穏便にことを済ませようと、震える手を必死に押し殺す言葉

        It’s the single lifeとは?30

          It’s the single lifeとは?26

          遠藤:とりあえず…ここです。 〇〇:ここは… 遠藤:私の行きつけの本屋です。 古本がメインでいろいろな種類が置いてあります。 〇〇:なるほど… 改めて思うが、俺が初手にやったパチ屋は間違いなく論外だったんだな… 遠藤:…本とか興味あります? 〇〇:お恥ずかしい話、個人的に読むことは少ないですね。 というか、ほぼ無いな。 我ながら大学の参考書すら枕になった始末でございます。 遠藤:…やっぱり、ここに来ても意味がない気がするんですが。 井上さんは本もあまり読まない

          It’s the single lifeとは?26

          It’s the single lifeとは?25

          〇〇:ん…んん… 耳に入る小鳥のさえずり カーテンの隙間から入る陽の光 睡魔をまだまだ強敵と認めつつも、どこか心地の良い 心地の良い 心地の… … … 〇〇:…何故手枷で固定されている? 何度目かの整理をしよう ここは俺の部屋だ。間違いない。 そしていまは朝。 今日はあの遠藤さくらさんと、プライベートでお出掛け。 〇〇:…それだけ聞いたら神イベだが… いかんせん嫌われている。 とてつもなく嫌われている。 これ以上なにかをしでかせば、間違いなく職業

          It’s the single lifeとは?25

          さくらの蕾はまだ隠れてて。14

          【なんか…すごいな…】 ありきたりな一日の初まり 歩き慣れた、とまではいかないが慣れ始めた道 唯一違いがあるとすれば 【さっきから倒れてる人ばっかだ…】 それだけ聞けば未知のウイルスか未曾有のテロか 冷静に言葉を漏らす彼が異常に見えてもおかしくない 倒れてる人間が不良ばかりという観点を見逃せば 【学校でなにかあったのかな…】 目的地に近づくにつれて増えていく亡骸の数々 原因がそこにあるのは間違いない そして 【うわ…人の山だ…】 数にして10人はいる

          さくらの蕾はまだ隠れてて。14

          It’s the single lifeとは?24

          …よし。再度整理しよう。 俺は遠藤さんに嫌われている。 これは変えようのない悲しい現実だ。 だが、嫌われていると分かっていればある程度対処はできる。 例えば、近づかないとか、会わないとか、話さないとか。 だがしかし。それも出来ない。 何故か突然、明日は遠藤さんにつくことになった。 つまり、対処ができない。 仕事で近づかない、会わない、話さないは無理だ。物理的に。 だからこそ考えなくてはならない。 明日の事を。 そう。考えなければいけないんだ。 いけない。

          It’s the single lifeとは?24

          It’s the single lifeとは?23

          …よし。整理しよう。 いま眼の前には名実ともに、乃木坂の次世代の顔である遠藤さくらさんがいる うん。超絶可愛い。 意味分からんくらい顔小さいし。 スタイル化け物なみにいいし。 なんか良い匂いするし。 ここまでは何一つおかしくない。 問題は… … … 〇〇:…え? いま何て言いました? よくよく考えてみろ。 初対面だぞ? 初対面の相手に、いきなり大嫌いなんでいなくなれなんて言うか? いいや、言わないね。 こんな見るからに大人し良い子そうな子がそんなこ

          It’s the single lifeとは?23

          It’s the single lifeとは?22

          〇〇:…待て待て待て!! だから痛いって!! 和:大丈夫。 もうすぐ気持ちよくなるから。 絶対だめだろ!! その気持ちよさは!! 〇〇:和!! わかった!!わかったから一回離せ!! 和:…今わかったって言ったからね? くっ… 身動取れないことにはどうしょうもないし… 〇〇:とりあえず離せ。 俺達にはまだ会話という選択肢がある。 和:必要ない。 身体は素直だか…ら!! !? 〇〇:おかしいだろ… なんで現役アイドルが、成人男性を投げ飛ばすんだよ… 和:フフフ

          It’s the single lifeとは?22

          It’s the single lifeとは?21

          〇〇:はぁ…はぁ… くそ…なんで出ねぇんだよ…!! 日もすっかり暮れ、月明かりがおぼろげに街を照らすなか 行き交う人の好奇の目など気にもせず、もてる全力を使い足を回す 〇〇:頼むから…何事もないでくれ… ー 遡ること数十分前 〇〇:は!?いねぇ!! どこ行った!? いつの間に消えやがった… てか、マジで誰なんだよあれ… 〇〇:話の内容からするに、乃木坂の関係者っぽいけど… いろいろ濁しすぎだろ… いきなり現れて、いきなり消えて… ん? 先程まで明らかに誰かが

          It’s the single lifeとは?21

          It’s the single lifeとは?20

          夕暮れ時の住宅街 夕陽がいまかいまかと水平線へと姿を消し去ろうとするなか 名残惜しさからか長い長い黒い影を二つ作る 〇〇:… これはどういう状況? 端から見れば帰路へつく青年にしか見えないが実情はというと 「あ、もう少ししたらカフェが出てくるから、そこのカウンター席に座って。」 〇〇:… 俺に言ってるよな? 間違いなく俺にだよな? え、マジでなにこれ。 彼が困惑するのは至って正常な反応 それでも 〇〇:あのぉ… 「喋っていいって言ったっけ?」 〇〇:

          It’s the single lifeとは?20

          It’s the single lifeとは?19

          〇〇:…あのぉ… 中西:どうかした? 家主であるにも関わらず部屋の入口で呆然と立ち尽くす彼に対し、中西はソファーに座りながら笑みを浮かべる 〇〇:…知ってたの? 中西:まさか。 私もさっきLINE見たんだよ。 そう言いながら彼女はスマホの画面を〇〇に見せつける 遠くてよく見えないけど… とりあえず嘘は言ってないっぽいし… 〇〇:はぁ。 すいません。和もいないことですし、とりあえずお家まで送りま… 中西:敬語は? … 〇〇:ごめんって。 とりあえず家まで送る

          It’s the single lifeとは?19

          妄ツイと現実は混ぜるな危険。14

          〇〇:…どうするよ?これ。 手に持った2枚のチケットをヒラヒラと靡かせながら問いかける 賀喜:… 〇〇:…おい。 賀喜:… 眼の前にいる彼女は意識を投げ出したかのように空を見つめる こいつ… 〇〇はため息をつきながら賀喜に近づく そして パチン 軽快な音をたてながら賀喜のおでこにデコピンをあびせる 賀喜:ッハ!! わ、私は賀喜遥香です!! 〇〇:んなの知ってるわ。 タイムリープしてんのかお前。 賀喜:…あれ!? 白石さんが〇〇になっちゃった!? やめ

          妄ツイと現実は混ぜるな危険。14

          It’s the single lifeとは?18

          〇〇:ふぁぁあ… 久しぶりの休日。 我ながらなかなか早く起きれた事に感心す… ん? 横を向いたような体制。 俺は寝る時は決まってこの体制だ。 だからこそ… 〇〇:背中に温もりがある… 以前までなら考えられない状況 それでも分かる。 分かってしまう。 この温もりの犯人が。 〇〇:ったく。 和のやつ、また勝手に布団の中に入ってきやがったな。 別に嫌じゃないけど。 こういうのは男女である以上しっかりとするべきだ。 義理とは言え妹なら尚更。 〇〇:和。 毎回毎

          It’s the single lifeとは?18

          It’s the single lifeとは?17

          和:…アルノ。 その話、詳しく聞かせて。 静寂に包まれたリビング その均衡を破った彼女は、表情を一切の無にし口を開く 中西:うん、いいよ。 …まてまてまてまて!! 鯖の味噌煮食いながら、なに平然とダイナマイトぶち込んでくれてんの!? 〇〇:ち、違う!! これは100%誤解であって… 和:… 和は表情一つ崩すことなく、〇〇に視線を配る クッ… これがルーキー黒髪の和の覇気… 意識を保つのがやっとだ… 和:アルノ。 たしかにこの数日間、お義兄ちゃんは仕事があるっ

          It’s the single lifeとは?17