マルコ・ベロッキオ『甘き人生』落下と家と死への無意識的な執着
傑作。マルコ・ベロッキオ長編23作目。マッシモ・グラメッリーニによる同名小説の映画化作品。子供時代に母親を亡くした主人公マッシモは大人になっても母親の幻影に縛られ続けている、という話。母親が飛び降り自殺したことは知らされず、劇中でも母親の遺体は全く映されなかったはずなのに、知ってか知らずか映画は序盤から落下と死に執着し続ける(あと、異様な数のナポレオンの胸像にも)。それが高低差に結びつかないのは落下と死の直接的な関係性を知らないからだろう。1992年の実業家自殺、1993年の