ころのすけ

東京出身、ロンドン在住。 アメリカとイギリスを合わせ、海外生活がもうすぐ20年になりま…

ころのすけ

東京出身、ロンドン在住。 アメリカとイギリスを合わせ、海外生活がもうすぐ20年になります。 旅の記憶、日々の暮らしなどを徒然なるままに。 スキのお礼には我が家の愚猫が登場します。

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誰かのなかで生きる

「朝のリレー」という谷川俊太郎の詩が好きだ。 こうやってふるさとから遠く離れたところで暮らし、テムズ川越しにのぼってくる朝日を眺めていると、しみじみとこの詩が沁みてくる。 日本で夕陽が沈むころ。 テムズ川に朝日が昇る。 ♢ 「命のリレー」というフレーズをnoteで目にしたとき、私たちが生きているなかで渡していくいろいろなバトンに思いがいった。 私のアメリカ妹は、アメリカ赤十字の緊急治療室で働いている。 彼女がカバーするたくさんの仕事のうちのひとつが、亡くなった方のド

    • 口は目ほどにものをいう?

      日本をでて、いろんな違いや共通点に気がつくようになるけれど、そのひとつが「美意識」だ。 最近きいてびっくりしたのはJapandi(ジャパンディ)ということば。 どうやら北欧のインテリアスタイルを表すScandi(スカンディ)から派生してできたことばで、「日本の美意識を取り入れた、北欧のインテリア」ということらしい。 そのジャパンディが、コロナによって家にこもる時間がふえたことで、静寂や簡素といった禅のこころを求めるトレンドにマッチして、2020年ころから世界的に流行しだした

      • 投石を観に行ったらコンドルにあたまを打たれた話

        日本はGWのシーズン。イギリスも、5月の最初と最後の月曜日はバンクホリデー(祝日)なので、三連休が2回ある嬉しい月だ。 先月、出張でフランスにいったついでに南仏の友達のところへ足を延ばし、太陽にあたり美味しいものを食べてきたので、この連休は無防備にぼーっと迎えるところだった。 が、世界史の現場探訪/英国駐在@えのもとさんの記事で投石器の実物がみられると知り、どうにも気になりウォーリック城(Warwick Castle)にいくことにした。 連れが「へえ、その城って、シェイク

        • 聴く耳

          19歳の時に、後続のコルベットに突っ込まれた。 それ以降、もともとあった腰の椎間板ヘルニアによる左脚の麻痺に加えて、首まで悪くなり、右手の握力が弱まってしまった。 以来、牽引、指圧、鍼、灸、硬膜外ブロック注射、タイ古式マッサージ、カイロプラクティックなど一般的なものから、電流を流す謎のベッドや、亜鉛の塊を手に握り横たわって手かざしされるとか、いろんな「治療的なもの」を試してきた。 ロンドンのいいところは、都会だけあって、(お金さえだせば)たいていの選択肢があるということだ

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        誰かのなかで生きる

        マガジン

        • 月に着くまで13分。
          134本
        • コロ旅日記
          43本
        • 架空のとびら
          1本

        記事

          ルーツ

          大好きなもの・ことを思い出すことは、自然と、今の自分をつくったものはなんなのか、に思いを馳せることにつながる。 たとえば自分が「パン屋の娘」として生まれ育ったこと。 たとえば小学校時代に大好きだった怪盗ルパンシリーズ。 お城や財宝ということばから異国の文化に思いを馳せた。 そのあとに読んだクリスティの翻訳小説で出会ったオレンジ色の猫。 その日本語に疑問を抱いたことで言語学への興味が生まれたこと。 大好きだった漫画、いや今でも大好きな漫画。 ロンドンには、私がアメリカに

          海外・髪の毛どうする問題

          海外に暮らす時間がある程度長くなると、多くの人が直面する問題といえば、髪の毛のこと。 アメリカ中西部の田舎に暮らしていたときは、日本人の美容師なんて夢のゆめ。日本人の髪の毛に理解がある美容室をみつけるなんて、ものすごい大変なことだった。 一回だけ、飛び込みでそこらへんの美容院にいったら、キャンディ・キャンディも真っ青のチリチリパーマにされて、直毛だったはずの私の髪の毛はブラシもなかなか通らないくらいになった。 そのくせシャンプーするひとにもカットする人にもチップだチップだと

          海外・髪の毛どうする問題

          Wrocław今昔

          Wrocław、どう読みますか? 答えはヴロツワフ。 ポーランド3番目の大都市。 私がヴロツワフを初訪問したのは2008年の冬のこと。 「今度は東欧だよ。よかったら遊びにおいで」 そう友達に誘われて、初めての東ヨーロッパへの旅を決めた。 今から16年も前のことだ。 東京からの直行便はもちろんなかった。 まずドイツにいき、そこから乗り換える。 成田からの全日空便は、よりによってラブラブカップルと並ぶ3人席。あーん、としあう機内食タイムに、手を取ってウフウフ言い合う睡

          私の世界征服計画

          「私には夢がある。 私の4人の子供たちが、いつか、肌の色ではなく彼らの個性そのものによって判断されるような国に暮らすという夢が」 と語ったのはマーティン・ルーサー・キング・ジュニアだが、私にも夢がある。 世界征服の夢が。 ♢ 附属の仲良しが、彼女の会社の「ちょっと変わった、面白いおじさん」を紹介してくれたのはいつのころだったろう。 たぶん、まだ20代。アメリカに行く前のこと。 その人は、真のギャンブラーだった。 スポーツ選手のお金で借金を払ったといわれているひとがや

          私の世界征服計画

          マイナー好きなあなたのためのロンドンみやげ8選

          ちょっとだけシリーズぽく。 さて、ロンドンに住んで10年も過ぎると、だれもみな、「日本のおみやげカルチャー」に苦しめられるようになる。だってもうネタが尽きちゃったもの! ああ、今年も帰省の季節がやってきた。 トワイニングもフォートナム&メイソンも日本で買える。 東インド会社やらウィタードの紅茶もカバーした。 ショートブレッドもウォーカーズだってスーパーのPBだって買っていった。 料理好きの友達にマルドンの塩もあげちゃった。 さあ、今年は? なにをおみやげに買って帰ればい

          マイナー好きなあなたのためのロンドンみやげ8選

          #私の作品紹介、させてください

          イースターとはキリスト教でクリスマスと並ぶ重要な祝日。 そして、イギリスでは唯一の金・土・日・月で4連休になる週末だ。 金曜日はキリストが十字架にかけられた日。なぜか「Good」 Fridayと呼ばれる。(一説にはGod's Fridayから転じたとも) そして一日おいた日曜日にキリストが復活した、ということでEaster Sundayと呼ばれる。 翌日のEaster Mondayはいわば振替休日の感覚だろうか。日曜が祝日なので、月曜がお休み、ということらしい。 ちなみに

          #私の作品紹介、させてください

          アコースティック・カフェ

          ミネソタ州のミネアポリス=セントポール国際空港。 そこからインターステート94号線をまっすぐ。 州境のミシシッピ川を越えたところに、小さな大学町がある。 そのメインストリートにあるのが、アコースティック・カフェ。 ドアを開けると、目の前には手書きのメニュー。 サンドイッチや、スープ。 コーヒーやホットチョコレート。 キャロットケーキやクリスピー・バー。 客席の真ん中には大きな暖炉がしつらえて合って、極寒になるこの町の冬には、カンカンに火がおこされたこの暖炉の前の席が一等

          アコースティック・カフェ

          ニッコリ笑って、うっちゃって

          「インディージョーンズ」の子役ショーティ。そしてなにより「グーニーズ」のチビッコ発明家データ役で、80年代に鮮烈な印象を残したあのキー・ホイ・クァン。 昨年「Everything Everywhere All at Once」でアカデミー助演男優賞を受賞し、その復活が話題になったけれど、彼の名前がこの春、ふたたびメディアにのぼることになった。 ちょっと残念な理由で。 ミラー紙やエクスプレス紙は見出しで「ロバート・ダウニーJrがオスカー受賞時のキー・ホイ・クァンへの'無礼

          ニッコリ笑って、うっちゃって

          ぜったい次に来る、カタルニアの焼きねぎ。

          15年くらい前にポーランドに行って、水玉の陶器を買ったり、おいしいスイーツを食べて「ぜったい次に来るのはポーランド」と思っていた。 数年前、帰省したときに二子玉川のショッピングセンターで「ポーリッシュポタリー」と水玉の陶器が並べられていたのをみて、やっぱりなと思った。ふふん、と鼻の穴が広がった。 ♢ もうひとつ、ぜったい次に来ると思ってるものがある。 思ってからもう7-8年経ってるので、来てないじゃんともいえるんだけど、コロナが間にあったからだと信じている(言い訳)。

          ぜったい次に来る、カタルニアの焼きねぎ。

          マイナー好きなあなたのためのロンドン観光8選

          みごとにnoteの世界に帰ってきてくださったローローさんのこのエントリを読んで、ちょっと真似したくなりました。 かといって、もう私の知っているトーキョー地図は古すぎる。 かといって、誰もきっとミネソタ州セントポールの観光案内はいらなそう(いりますかね?)だし、ウィスコンシン州の観光案内なんてもっといらなそう。(失礼ですかね?) ということで、マイナー好きなあなたのためのロンドン観光8選。 1.高いところからはじめてみよう高校生の頃、大好きなデートスポットは浜松町にある貿

          マイナー好きなあなたのためのロンドン観光8選

          リス殺し

          小中学校のころ、夢中になって読みふけっていた大好きなアガサ・クリスティの小説に「アクロイド殺し」というものがあった。 最後のどんでん返しが冴える、いかにもクリスティというポワロもののうちの一冊だ。 きっと、それがいけなかったのだ。 「リス殺し」 そんな言葉に結びついたのは。 ♢ イギリスでの生活ではまったく耳にしたことがなかったので、「リ・スキリング」で区切るはずのことばを「リス・キリング」にしてしまっていたのだ。 いやはや。 ダボス会議がきっかけ、日本ではものす

          ドラマチックにモラハラな話。

          モラハラな話、なんて書いたら、ドキリとされるかもしれない。 いや、オペラの話だ。 今シーズン、「さまよえるオランダ人」がRoyal Opera House (ROH) の演目になったので、昨夜、初めて観てきた。 通常より遅い夜8時からのスタートで2時間半ぶっ通し。切れ目なくスムーズに場面が入れ替わっていく演出も手伝ってか、休憩がないこと自体には辛さを感じなかった。 むしろ2時間半のあいだ終始つらさを感じていたのは、時代とはいえ、いやワーグナーの女性観というべきか、あまりに

          ドラマチックにモラハラな話。