■幽霊坊主の怨恨【怪談・怖い話】
房州の海岸に一人の若い漁師が住んでいた。
江戸時代の終わり頃、房州の小さな漁村に、壮年の漁師がひとり住んでいました。ある日の夕暮れ時、妻が赤子の面倒を見ながら夕食の支度をしていると、いつの間にか汚れた坊主が家の外を覗き込んでいるのに気づきました。
妻は坊主が施しを求めにきたのだろうと思い、おむすびを用意して持っていきましたが、坊主は横目で見るだけで手を伸ばしません。そこで銭を差し出しますが、坊主はそれをも無視しました。妻は不気味な坊主に怯え、急いで家の中に逃げ込みました。