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みじかいお話。

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こどもの頃の体験や空想をもとに、5000字くらいのお話を作りました。短めのストーリーのものを掲載しています。
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記事一覧

キツネになったココ。(2)

<2> 「信じられない?じゃあ、いいよ。証拠を見せてやるから」 キツネはニヤっと笑った。 …

宮本松
9時間前
16

キツネになったココ。(1)

<1> 漢字の書き取りノートをテーブルの上に広げたまま、ココはぼんやりしていた。何かを考…

宮本松
6日前
20

二匹の子グマ。

ある晴れた秋の日のことです。 「グッション、グッション!」 母グマが大きなくしゃみをしまし…

宮本松
2か月前
26

さがしもの。

放課後、だれもいない公園で、よしおは一人ぶらんこに座っている。肩が丸まって、元気がなさそ…

宮本松
2か月前
31

おいらの使命。

おいら、銀ちゃん。小さなロボット型のキーホルダーさ。昼間はトコちゃんのポケットが、おいら…

宮本松
2か月前
29

新しい先生。

ざわざわ、がやがや。子どもたちのにぎやかな声が、二年二組の教室の外までひびいています。そ…

宮本松
3か月前
45

石ころの訪問。

スーパーの買い物袋が、左の腕にぐいっとくいこんでいる。いたい、重い。でも、あともう少し。アパートまで、足をずりずりとひきずりながら、歩いていく。今朝は小雨がふっていたせいで、仕事に行くのに自転車ではなく、バスを使ったのだ。バス停が近くにないのが不便ではあるものの、その分、家賃が安いのだから、文句ばかりも言ってはいられない。右手ににぎったカサを杖代わりにしながら、美琴はひたすら歩く。自転車が一台、追い越していった。 「はあ、やっと到着」 部屋のトビラの横にカサを立てかけて、肩

小さな使命。

< 1 > ある秋の日の子ども部屋。つくえの引き出しを、上から順番にあけていき、ようやく…

宮本松
6か月前
12

うさぎの足あと。

「まあちゃん、来てごらん」 お母さんがよんでいます。まあちゃんも窓のそばにちかづきました…

宮本松
2か月前
28

おたまじゃくしの勇気。

今、なぎこの目の前に元気なしっぽをさかんに動かしている生き物がいる。おたまじゃくしだ。音…

宮本松
6か月前
14

畑のお客さま。

二年生になってもうすぐ二ヶ月になる。新しいクラスにも、けっこう慣れた。なかよしののんちゃ…

宮本松
6か月前
5

消しゴム三号。

< 1 > 手さきがぶきようなさとみは、えんぴつのにぎり方がわるい。おやゆびを前に出すの…

宮本松
6か月前
5

みどり色のともだち。

< 1 > このいっしゅうかん、つくしには朝おきてからすぐに、しなくちゃいけないことがあ…

宮本松
6か月前
5

ドクダミ茶の味わい。

六月になると、いっきにむし暑い日が多くなる。今日もそんな一日だった。小学校にも、水筒を持ってきている子がちらほらと増えてきた。つくしも、もうそろそろお母さんにお願いしようと考えている。つくしの家の夏のお茶はドクダミという薬草の入った、苦いようなすっぱいような、おいしくないお茶だ。ただの麦茶にしてくれたら何杯だってのめるのに、そのお茶がカラダにいいからと、お母さんはぜったいに薬草を入れるのだ。 「暑くてのどがカラカラになるよりは、ドクダミ茶でもないよりまし」 その日お放課後、