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ながいお話。

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動物たちも登場する、ちょっと不思議な世界のお話です。長めのストーリーは分けて掲載しています。
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記事一覧

マフラーを巻いたうさぎ。(5)

< 5 > 翌週の金曜日の夜。 (やった、とうとう出来た) ようやく初めてのマフラーが完…

宮本松
2週間前
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マフラーを巻いたうさぎ。(4)

(うさぎさん、心配してるかな) まい子は自分の手のひらの上にある懐中時計を見つめながら、…

宮本松
3週間前
27

マフラーを巻いたうさぎ。(3)

< 3 > 「まい子、ご飯にしようか」 「うん」 お父さんに言われて、テレビを見ていたまい…

宮本松
4週間前
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マフラーを巻いたうさぎ。(2)

< 2 > 週末になるのが、こんなに待ち遠く感じられるのは、久しぶりのことだ。もちろん学…

宮本松
1か月前
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マフラーを巻いたうさぎ。(1)

< 1 > 学校からの帰り道、まい子は小さな身体に不釣り合いな大きな荷物を、肩から斜めが…

宮本松
1か月前
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ぼくんちのねこ。(2)

< 3 > このところ、ぼくは考えごとばかりしている。もう一週間くらいずっとだ。気づくと…

宮本松
6か月前
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ぼくんちのねこ。(1)

< 1 > トラ男はぶさいくな、ぼくんちのしまねこだ。キジトラというしゅるいらしい。茶色い毛のうえにこげ茶色のしまもよう。目つきがわるくて、ぎょうぎもわるい。 トラ男は三年まえにぐうぜん、河原で見つけた。小学生になったばかりの春、ぼくがひろってきた。あのころはまだすごく小さくて、てのひらを二つ合わせると、すっぽりとおさまる大きさだった。ミュウミュウないてミルクをほしがり、ざらざらの舌でぼくのうでをなめていた。きっと母ねことかんちがいしてたんだ。それからどんどん大きくなって、

ハルタと桜色の夢。(2)

<3> 土手をもう少しのぼっていった先に、小さな古い家がありました。ぽつんと立っている家…

宮本松
1か月前
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ハルタと桜色の夢。(1)

<1> 楽しそうな明るいわらい声で、ハルタは目をさましました。葉っぱの上でうっかりねむっ…

宮本松
1か月前
29

きのこの森。(3)

「生き物たちは皆、むこうの世界へいく前に、カラダもココロも、此処でこうしてお浄めされるん…

宮本松
2か月前
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きのこの森。(2)

いつの間にかヒロくんは、沢山の木に囲まれた森の中に立っていました。きのこの王様は、相変わ…

宮本松
2か月前
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きのこの森。(1)

冬も終わりに近づいたある日、ヒロくんはおたふくかぜにかかってしまいました。丸かった顔は、…

宮本松
2か月前
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月のおまじない。(7)

< 7 > もう向こうの世界にいくことはないだろう。そう思っていたのぞみに、あるアイデア…

宮本松
3か月前
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月のおまじない。(6)

< 6 > 今、のぞみとばあちゃんはリビングで向かい合って、お茶を飲んでいるところだ。窓からオレンジ色の西日が射しこんで、ちょっとまぶしい。 「いつか、こんな日がくるんじゃないかと思ってたよ」 ばあちゃんは、ほうじ茶をすすりながら、そういった。 「ゆうじさんは、ずっとのぞみに会いたがってたんだよ。でも貴理子がとめてたんだ」 父さんは、いっしょに暮らさなくなってからも、しばらくはばあちゃんと、連絡をとりつづけていたらしい。 「貴理子と結婚して、新しい事業をおこしてがんばろうと