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クラシック音楽を中心に聴いたり、趣味として市民オーケストラや音楽投稿サイトnanaでトランペットを吹いてます。地理学、数学、物理学が好き。現在の本業は理学療法士としてリハビリテーションのお手伝いをすることです。

最近の記事

蛍の夜

 ホタルの里と名付けられているゲンジボタルの保護地が、自宅から車でそう遠くないところにある。七月初旬から中旬の今の時期、たくさんのホタルを実際に見ることができるこの場所は、地元の人にもそれなりに知られているが、それ程人が集まることなく、静かな雰囲気でホタルの光を楽しむことができるとても贅沢な場所。  彼は今日、仕事帰りに蛍を見に行こうと決めていた。まだ明るかったので保護地上流のダムまで車で登り、暗くなるまで待っていた。 市街地からそう遠くはないものの、このダムの周辺もやや荒涼

    • チャイコフスキーの交響曲第五番

      今から一週間後には、県内のアマチュアオーケストラ団員(のうち都合がついて参加したい人)が一同に介し、チャイコフスキーの交響曲第5番を一緒に練習するという「オーケストラクリニック」が控えていた。しかし彼は練習はおろか、譜読みすらしていなかった。いくら音符が少な目で、音域も無理ないチャイコフスキーとはいえ、移調して吹く時点で、オケに慣れていない彼には初見演奏不可であった。せめて、音を頭の中に入れておかないと。たとえ曲はよく知っていたとしても、トランペットの譜面(音)だけ抜き出

      • ポコチャでやっちゃった?

        彼は気になる動画見つけた。それは、ユーチューブのトランペット演奏の動画だった。ビブラートのかかった柔らかい音で真面目な演奏。演奏しているのは顔が見えないものの女性で、ポッブスを中心に色々な曲を投稿していた。彼がその頃練習していた曲をネットで検索したところ、その投稿がヒットしたので早速観てみたところ、その方のなんとものどかな演奏スタイルが心地良かった。 「まる」というハンドルネーム(?)のその方は、ポコチャという配信サイトで活動していることを知る。興味本位でポコチャをスマホ

        • 奏法の調整

          ある時、パソコンを購入した彼は、YouTubeにいろいろな人たちが思い思いに演奏動画を投稿しているのを見て、「自分にもできるかな?」と考えた。顔を出すことによるプライバシーの流出はほとんど気にしなかった。かなり前からWEB上にはプライバシーが存在しない、自分の顔が見られたからと言ってそれが何か特別興味を引くとは思えなかった。それで購入したばかりのパソコンにイヤホンマイクをつなげ、スマホの伴奏音源を車のスピーカーで流しながら、お気に入りの曲を吹いている自分をパソコンの内部カメラ

          音楽投稿サイトnana mtm投稿分のコメント再掲

          時をかける少女【トランペット】/原田知世 / 松任谷由実 by mtm - 音楽コラボアプリ nana (nana-music.com) 実写版同名映画のノスタルジックな映像とSF要素、主演の原田知世さんのイメージが混じり合った印象的な作品でした。  ところで『時をかける』というテーマですが、物理学には「固有時」という概念があります。文字通り立ち位置が違う一人ひとりには、僅かな違いとはいえ、それぞれに固有の時間の進み方があると言えます。その意味では誰もがそれぞれの時を駆けてい

          音楽投稿サイトnana mtm投稿分のコメント再掲

          2023年6月18日

          今日も昼過ぎ米桶(市民オーケストラ)の練習日だった。彼は疲れが取れない身体を引きずり、車で一時間弱の道のりを毎週、通っている。彼の住む凸型市にも、活発な活動を行っている市民オケがある。山を超えた向こう側の大都市千代にもいくつかアマオケがある。ではなぜ彼は、わざわざ遠く離れた街に出かけていくのか?一つには凸型市のオケは土曜日が練習日であり、彼は土曜日の夜働いているから参加できないのだった。でもそれは主な理由ではない。彼が米桶を選んだのは何故かそこに縁がある気がしたからだった

          2023年6月18日

          凸型大学フィルハーモニーの思い出

           それは彼が30代半ばのことだった。ある晩、携帯電話に見たことも聞いたこともない女性からの着信があった。「凸型大学フィルハーモニーオーケストラのトランペットパートの○○といいますが…」凸型大学、略して凸大とは彼が住む町凸型にある大学ではあったが、横浜市の大学と仙台の専門学校にしか通ったことのない彼にとっては、特に縁もゆかりもない。どうして自分に?と不審に感じつつ話を聞くと、今度の定期演奏会で、エキストラとして、トランペットパートを手伝ってほしいとのことだった。聞けば、その大学

          凸型大学フィルハーモニーの思い出

          出勤前のひととき

          出勤前のひととき

          Ready for takeoff !

          Ready for takeoff !

          視野を広く

          彼は、高齢者のリハビリテーションをお手伝いする仕事を生業としている。その人に合わせた会話を心がけているものの、まずは天気の話題。そのためにも毎朝、その日の天気予報をチェックする。スマホでピンポイントの天気が一時間毎に表示される、なんて便利!でも日本の周囲を含む広い範囲での天気はなかなかわからないし、興味も湧きにくい。先日もリハビリ中に、対象者の方が働いていた何十年前のこと、社員旅行でグアムに行った話をして下さり、ひとしきりその辺の話になった。しかし今話題になっている台

          視野を広く

          石田太一先生の思い出

          私が小学五年生の時、引越先の学校には音楽の部活がなかった。当時始まった漫画「キャプテン翼」に影響されて友達とサッカー部を作り校内外でサッカーに熱中していたものの、トランペットを再び吹きたい気持ちが高まり、親に話したところ、知り合いのつてでトランペットを教えてくださる先生を紹介してもらった。それが石田太一先生だった。先生は以前私が住んでいた地域の公立学校に勤務しておられ、退職した後フリーの奏者として、当時東京ブラスソサエティなどに所属して活動しておられたり、法螺貝奏者として

          石田太一先生の思い出

          事の発端

          彼はゴム成形機の前で迷っていた。「やることは全部やった。余った時間をどうしよう」2017年頃か、妻の強い意向で、彼は自宅から歩いて通え、かつ男ばかりの職場ということで地元のゴム成形工場のアルバイトをしていた。慣れた仕事とはいえ、真面目な彼は少しのスキマ時間もサボらずに暇さえあれば、次の仕事の準備、それも終われば材料や道具の整理整頓、それも終われば汚れた機械をウエスでひたすら拭いてピカピカにしようと虚しい労力を払っていた。しかしある日あまりに時間が余り何もすることがなくなってし

          事の発端

          ひと知れず咲く花たち

          ひと知れず咲く花たち

          架空日記開始

          20230521 Twitterでは書きにくいので、興味のある人しか見ないだろうこのページに私に似て非なる人物の徒然を勝手に書くことにします。つまり、ここに書いてあることは、あくまで現実とは異なる架空の出来事、創作です。 やまやのワインコーナーの前で、彼は悩んでいた。 (今日は疲れた。明日は深夜まで仕事が続く。だからお酒を飲むとしたら今夜だ) 彼はワインしか買わない。美味しいのに安いからだ。それにしても一番安いトップバリュメルシャンはいい加減飽きてきた。果汁なしの普通のワイ

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          more than music 音楽以上を求めて