綾野つづみ
記事一覧
【時事考察】200日連続投稿を達成しました! ありがとうございます! ただ、古い記事が奥に追いやられてしまうのは切ないので、過去記事をビュー数順に並べてみました。
昨日の16:43、ショートショートの新作投稿をもって、ついに200日連続投稿を達成しました!
100日連続投稿は大変だったのに、すっかり習慣になってしまったようで、200日目までの100日はあっという間でした。
最近は文章も長くなりがちで、4,000文字を超えることも増えてきて、読むのは大変だろうなぁと心配していました。でも、スキやコメントをたくさん頂き、とても嬉しいです。
さらには
【料理エッセイ】上野でデ・キリコ展を見て、辛いというか痛いで有名なデリーのカシミールカレーを食べてきた
上野でデ・キリコ展をやっている。大学時代、シュールレアリスム(文学が中心だけど)の勉強をしていたので、見に行かなくちゃと前々から思ってはいた。でも、なんだかんだ忙しかって、5月も終わりを迎えてしまった。
開幕から時間が経つとタイミングを逃してしまった感じがあって、少しモチベーションが下がってしまう。みんな、もう感動を味わっているわけで、いまからわたしが行ったところでなんになるのだろうと卑屈な
【読書コラム】「逃げてもいい」のその先へ - 『非・バランス』魚住直子(著)
子ども向けの読書会で扱う本を探していると、いい内容なんだけど、ちょっと難しかったり、長かったり、うまいこと扱えない作品が出てくる。
以前、紹介した『トレモスのパン屋』という本もそのひとつだった。
わたしは漫画やゲームが好きな子どもだったので、児童書をあまり読んでこなかった。本が好きになったのは中学生の頃。塾の先生からカフカの『変身』や小林秀雄の『考えるヒント』を勧められ、図書館で借りてみ
【映画感想文】オノ・ヨーコからジョン・レノンの愛人になるよう指示された個人秘書メイ・パンの物語 - 『ジョン・レノン失われた週末』
むかし、さいたまスーパーアリーナの一角に、ジョン・レノンミュージアムがあった。たしか、テレビCMでその存在を知ったんだと思う。
高校生の頃、映画『アクロス・ザ・ユニバース』にハマったことでビートルズを聴くようになり、ジョン・レノンにも興味が湧いた。それまでは『イマジン』や射殺された事件性から政治的な人物なのだと思っていたが、楽曲に触れ、前衛的な音楽性が好きになり、どんな人だったのか知りたくな
【時事考察】ラーメン二郎歌舞伎町店の火事動画を「正常性バイアス」と呼ぶことに違和感を覚えて、一度、原語に当たってみたよ
ラーメン二郎歌舞伎町店の火災で、逃げずにラーメンを食べているお客さんの様子を撮った動画がバズった。ニュースでも取り上げられた。
Xではこの動画に対し、「正常性バイアス」というコメントがつきまくった。一時、トレンドに入るほどの勢いだった。
なるほど、そう言われたら、たしかにそんな気もしてくるが、なんだか、ちょっと違うようにも思われて、わたしは少し違和感を覚えた。
というのも、大学時代の
【ショートショート】ちょっと未来 (2,998文字)
道玄坂を歩いていたら、Y2Kファッションに身を包んだ男の子が挙動不審にキョロキョロしていた。赤いプーマのジャケットに迷彩柄の極太カーゴパンツを合わせ、靴はモノトーンのコンバース、首にはヘッドフォンをかけていた。
懐かしいなぁと眺めていたら、うっかり目と目が合ってしまって、
「すみません。ちょっといいですか」
と、声をかけられた。
「え。なんですか」
「いまって西暦何年ですか?」
【料理エッセイ】めちゃくちゃ美味しいクッキーを教えてもらったよ! 大阪・豊中『BUN(ブン)』 全国各地の催事でも大人気とか
本好きな友だちがいる。
彼女のセンスは間違いなくて、ランチで連れて行ってくれたお店は最高だったし、そのとき、オススメしてくれた『成瀬は天下を取りにいく』は後に本屋大賞を取るほど完璧に面白かった。
半年ほど前、そんな彼女がやたら、
「大阪の豊中に美味しいクッキー屋さんがあるの」
と、絶賛していた。
意外だった。「美味しいケーキ屋さん」とか、「美味しいパン屋さん」とかは聞いたこと
【読書コラム】論破の時代を生き抜くための聞く力 - 『まずは「聞く」からはじめよう: 対話のためのディベート・レッスン』ボー・ソ(著), 川添節子(訳)
YouTubeを見ていたら、PIVOTの動画がおすすめで流れてきた。ディベートのチャンピオンが論破よりも相手の話を聞くことが大事だと言っていた。
意外だった。なんなら、ディベートこそ論破を目的にしているものだと思っていた。
その辺の認識を調整したくて、動画に出ていたボー・ソさんの書籍『まずは「聞く」からはじめよう: 対話のためのディベート・レッスン』を買ってみた。
タイトルと言い、表
【映画感想文】人間はどこまで無関心でいられるか - 『関心領域』監督: ジョナサン・グレイザー
映画『関心領域』を見てきた。アウシュビッツの隣で幸せに暮らす家族の話と聞いて、その視点で加害者側を描くことができるなんて! と驚いた。
見る前は『関心領域』というタイトルと独特な設定から、人間が関心を持てる領域は身近なところに限られているという話なんだと予想していた。
自己啓発の世界では「半径5メートルの人間関係を大切にしよう」とよく言われる。なるほど、それは個人の一時的な幸福度を考えれ
【ショートショート】婚活弱者 (2,005文字)
三橋誠は50歳になり、いよいよ婚活の失敗を悟った。40歳になったときも絶望的な気分になったが、年収の高さから、万が一を信じて頑張ってきた。
上場企業に勤めているし、持ち家があるし、次男だし、婚姻歴はないし、マッチングはそこそこできた。美味しいレストランへ行き、会話を楽しみ、今回こそはいけるんじゃないかと期待するたび、
「あなたがもう少し若ければ……」
と、振られるのが常だった。
も
【料理エッセイ】ぷらっと入った喫茶店でアイスコーヒーを頼んだら、ピッチャーが出てきてビックリ! その後、焼鳥屋さんで80代のマダムからステキな話を聞いたよ。
先日、祖母が入院した話について投稿した。
検査の結果、祖母が感じていた脚の痛みは腰に原因があるとわかった。ただ、それだけでは説明のつかない症状もあったらしく、さらに詳しく調べたところ、首の骨に問題があると発覚した。
主治医の先生からの説明を一緒に聞きながら、ひたすら驚きの連続だった。なんでも、首の骨の異常は先天性のものだという。これまで大丈夫だったのは偶然。老化で周囲の骨が弱ってきたこと
【読書コラム】紙の本じゃないといけない理由ってなんだろう - 『世界でいちばん透きとおった物語』杉井光(著)
紙の本と電子書籍、どっちがいいかという話はたびたびされてきた。なんとなく、読書家はこれまでの習慣もあって、紙の方がいいと言いがちで、まさにわたしがそうだった。
ところが、昨年、市川沙央さんの『ハンチバック』が芥川賞を受賞し、広く読まれるようになって、空気がじわり変わってきている。
先天性ミオパチーの主人公の視点で語られる本作の中で、紙の本を読むことの物理的な困難さが描写され、電子書籍化し
【映画感想文】学校の盗難事件をきっかけに、誰も責任を取れない現代社会のヤバさが浮き彫りに - 『ありふれた教室』監督: イルカー・チャタク
新宿武蔵野館で『ありふれた教室』を見てきた。本当は公開日に行きたかったけれど、祖母が入院したり、臨時の仕事が入ったり、ドタバタしていて週が明けてしまった。
前評判のよさは耳にしていた。今年、日本で公開される映画は豊作だらけだけれど、その中でもナンバーワンなんじゃないかと言っている人もいて、かなり期待値は上がっていた。
こういうとき、自分が勝手にハードルを上げていて、実際に見てみるとそうで
【ショートショート】あらこんなところにはっぱ隊 (3,026文字)
大学生の頃から付き合っていた彼氏に振られた。お互い三十歳になったことだし、そろそろ結婚かなぁ、なんて考えていたのに最悪だった。なんだよ。他に好きな人ができたって。
おまけに職場でも嫌なことがあった。部下からパワハラを訴えられたのだ。わたしの指導が原因で新入社員の子が適応障害になったらしい。
そりゃ厳しいことは言ったかもしれないけど、あくまで仕事に関することで、人格攻撃をした覚えはなかった
【料理エッセイ】脚が痛いと言っていた祖母が緊急入院することになって、あれやこれやと忙しく、お弁当みたいな夕飯を食べましたとさ
半年ぐらい前からだろうか。一人暮らしをしている祖母が右脚を引きずるようにしていた。
大丈夫? と聞けば、年だから嫌になっちゃうと笑っていた。なるほど、80代になったわけだし、そういうものかと納得していた。
でも、先々週のゴールデンウィーク、祖母の家に行ったところ、容態が悪化していて驚いた。痛みがどんどん激しくなって、買い物に行けないばかりか、寝返りを打つのもしんどくて、ちゃんと眠れていな