綾野つづみ
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【料理エッセイ】真夜中の都会を彷徨う屋台バー"Twillo(トワイロゥ)"は夢か現か幻か? 東京砂漠で旅を続ける最後のキャラバン!
2020年。コロナ禍で多くの飲食店が休業する中、三密が避けられるということで外飲みに注目が集まった。 ちょうどその頃、仲のいいテレビディレクターが屋台特集の企画を立てた。なんだか面白そうだったので、興味本位、ラーメン屋台のリサーチ取材に同行させてもらった。 なんでも、2010年代半ばまでは新宿を中心としたラーメン屋台の巨大グループが存在したが、取り締まりによって壊滅状態。いまでは都心に水道橋の「雪虎」、虎ノ門の「幸っちゃん」など数店舗を残すだけになってしまったんだと
【読書コラム】お医者さんが薬だけでなく、地域のサークル活動を紹介することで治る病気があるらしい - 『社会的処方: 孤立という病を地域のつながりで治す方法』西智弘(編著)
高齢者に関する研究をしている後輩から、面白い考え方があると『社会的処方: 孤立という病を地域のつながりで治す方法』という本を教えてもらった。 心や身体の不調で病院に行ったとき、日本ではお医者さんから薬を処方されるのが一般的な治療とされているが、イギリスでは地域のサークル活動を紹介する治療も行われているんだとか。 風邪など対処療法が有効な病気であれば薬で治すことができるけれど、運動不足やコミュニケーション不足が原因で不健康になっている場合、そう簡単な話ではない。社会的
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【読書コラム】子ども向けの本だけど、仕事ってなんなのか、自己啓発本レベルの発見がある! すべての社会人、たぶん必読。きっと、おそらく。 - 『トレモスのパン屋』小倉明(作),石倉欣二(絵)
小学生向けの読書会をやっている。以前、記したものと同じ活動で、ゆるーく続いている。 毎回、読む本はわたしが選ぶ。楽しいと思って始めたものの、やってみるとなかなか大変。毎週、3作品を紹介すると決めてしまったので、候補作を求め、ひーひー本を探し回っている。 最初は児童向けの本を適当に見繕って読ませていたのだけれど、そう甘いものではなくて、つまらないとか、長過ぎるとか、他の作品と関連性がないとか、忌憚なき意見が寄せられてしまった。以来、DJのように、子どもたちが盛り上がる
【映画感想文】報われなくても頑張り続けるわたしたちの歌! 奈須重樹、マジかっけえ - 『一生売れない心の準備はできてるか』監督:當間早志
時間があったので、なにか映画を観たいなぁと思って、近場でなにが上映しているのか調べたところ、めちゃくちゃ気になるタイトルの作品を見つけた。 その名も『一生売れない心の準備はできてるか』である。見れば、音楽ドキュメンタリーのようだけど、「一生売れない」というフレーズは強烈だ。ミュージシャンに限らず、なにかを頑張るすべての人がドキリとするはず。 ひとまず、予告編をチェック。すでにめちゃくちゃよかった。 主人公の奈須重樹さんも、そのバンド「やちむん」も、わたしは全然知
【料理エッセイ】はじめての夜釣りは悲しくなるほど釣れなくて、途方に暮れてしまったけれど、明け方、ようやくアジが釣れたとさ。サンキュー、東京湾!
先日、コロナ禍で釣りにハマって、横須賀へ引っ越した友だちに誘われて、人生初の海釣りにチャレンジした話を記事にした。 そのときは人もたくさんいたし、一匹も釣れなかったし、わたしの結論は「あんまり楽しくない」だった。だけど、友だちはそうなってしまったことがとても不本意だったらしく、今度は夜釣りを試してほしいと言ってきた。 なんでも、昼間はあふれんばかりに人が密集しているけれど、夜にはけっこう帰りだし、終電を過ぎた頃には快適に釣りを楽しめるというではないか。しかも、いまな
【読書コラム】とどのつまり、文体ってなんなのだ?! プロとアマチュア、男と女、人気のあるなし。その差はいったいどこにある? - 『数字が明かす小説の秘密 スティーヴン・キング、J・K・ローリングからナボコフまで』ベン・ブラット(著),坪野圭介(訳)
高校生の頃、幸運にも、大江健三郎さんとお話しする機会を得た。最初、有名な小説家ということで、 「大江先生」 と、お声かけしたのだが、「先生はやめてくれ」と言われたことが印象的だった。 「大江さんと呼んでください」 当時、大江さんの初期作品にわたしはハマっていたので、どうしてこんな現実離れした設定を書くことができたのか、いろいろ質問させて頂いた。「そんなむかしの話を聞かれても」と言いつつ、大江さんは現実に経験した出来事がきっかけになっていると丁寧に教えてくれた。