積木ノアラ

詩人、ライター /エキサイトblog/ https://noaratsumiki.e…

積木ノアラ

詩人、ライター /エキサイトblog/ https://noaratsumiki.exblog.jp/

記事一覧

『コンパス』

夜店で買ったコンパスは 判り切った眉唾物で ちっとも回らないコンパスで 開いた地図の上 僕のメッカは成り行き任せで 麻痺した日常が手招きしている 不機嫌なシャイニーピ…

積木ノアラ
5か月前
6

『あの人の煙』

雲の切れ間から 一本の光り そこに重なる 一本の煙り 緩やかに空に昇る 誰かが望んでいなくても きっとそれは本当のコト ボクが悲しんだって キミが耳を塞いだって それは…

積木ノアラ
5か月前
5

『遠景』

あの夏は 色彩のない ぎこちない絵のように 押し入れの隅っこで 丸まったまま ©noara tsumiki

積木ノアラ
5か月前
6

『冬の雨』

雨 冬の雨 傘は? キミの足音 ただずっといたかった それだけだったのに 冬なのに、雨

積木ノアラ
5か月前
5

『風』

外からの風 扇風機の風 団扇の風 猫が通り過ぎた風 少し埃っぽい夏の風 思い出の風 風鈴チリン。 ©noara tsumiki

積木ノアラ
6か月前
5

『ある日の朝、蓮の咲く音』

独りで雨を見ていたら 僕はツブツブになっていく キラキラ光った ツブツブになった僕は やるせない気持ちで いくつものアブクになる 通り過ぎた人達 通り過ぎた時間 アブク…

積木ノアラ
6か月前
5

『父さんへ』

とっても青過ぎる空を スッと駆けていった白い雲の下 笹の葉っぱに乗せて 虚ろな小川に流した蝉の脱け殻 ボクが摘まんだ蝉の脱け殻 それはボクが摘まんで 壊してしまった蝉…

積木ノアラ
6か月前
4

『ある日の舗道』

背高のっぽの大人たち 小っちゃな僕等を すっかり追い越して ずっとずっと ずっと遠くの彼方まで あっ、と云う間に 行っちゃった ©noara tsumiki

積木ノアラ
6か月前
5

『ボクがいなくなった日』

ボクが消えたら その後には何が残るの? ボクが消えたら 溜め息さえ残らないの? ボクが消えたら キミのことを憶えているのかな? ボクが消えたら 掌の温度も 心の拍子…

積木ノアラ
6か月前
5

『汐風』

汐風って 少ししょっぱい 時が経つと 少し甘酸っぱい ©noara tsumiki

積木ノアラ
6か月前
5

『白い画用紙』

誰も足跡を付けていない 初雪の朝みたいな 真っ白い画用紙 その上に 一番最初に置く色 ドキドキして 思った色と違っていた 流れに任せて 色を塗る 後に戻れず どうしようも…

積木ノアラ
6か月前
6

『遅くなったプレゼント』

涙の雨 溢れ過ぎた そして湖が出来た その上を スルスルと滑って行く やがて後ろに残る たくさんの丸 その丸を全部集めて ペパーミントキャンディーを作った すっかり遅く…

積木ノアラ
6か月前
5

『小さなボクの場合』

ほら、ここに在る小さなボク コレが見つからないように 土に埋める 埋める だけど小さなボクは息をする だからきっと誰かに見つかって 土を硬く踏み固められてしまい 夜に…

積木ノアラ
6か月前
6

『とっておきの嘘』

金魚鉢に集めた夢は カラスが啼いたはずの 夏の灼けた夕暮れ時のもの 硝子の風鈴は鳴らなくて 線香の煙が揺れるだけで 誰の声も気配もなくて ボクの心臓の音だけ響いて 柱…

積木ノアラ
6か月前
5

『マジョリカの破片を集めて』

見知らぬ風が部屋の扉を叩く 夕暮れの公園の喧騒が大嫌い 何処かの窓辺からピアノのC# 傷付いた子供の金切り声 掛け替えのない時間の その最後の言葉たち まさぐるようなや…

積木ノアラ
6か月前
5

『白い猫』

灼けたアスファルトが 足にくっ付く そして途方に暮れたボク その横をスルりとすり抜けた、白い猫 あの日ダンボール函にいた、白い猫 ©noara tsumiki

積木ノアラ
6か月前
4
『コンパス』

『コンパス』

夜店で買ったコンパスは
判り切った眉唾物で
ちっとも回らないコンパスで
開いた地図の上
僕のメッカは成り行き任せで
麻痺した日常が手招きしている
不機嫌なシャイニーピンクのガーベラ
僻むプランターの下敷きのナメクジ
そこまでの今日でも
コンパスはちっとも回らない
終わっても平気だって
揺れながら嗤ってるんだ

©noara tsumiki

『あの人の煙』

『あの人の煙』

雲の切れ間から
一本の光り
そこに重なる
一本の煙り
緩やかに空に昇る
誰かが望んでいなくても
きっとそれは本当のコト
ボクが悲しんだって
キミが耳を塞いだって
それは変わらない本当の真実

一本の煙りは空に昇る

涼しい風が煙りを散らす
見事に散らす

騒めく樹樹の木漏れ日
なんてやさしいんだろう

©noara tsumiki

『遠景』

『遠景』

あの夏は
色彩のない
ぎこちない絵のように
押し入れの隅っこで
丸まったまま

©noara tsumiki

『冬の雨』

『冬の雨』


冬の雨
傘は?
キミの足音
ただずっといたかった
それだけだったのに
冬なのに、雨

『風』

『風』

外からの風
扇風機の風
団扇の風
猫が通り過ぎた風
少し埃っぽい夏の風

思い出の風

風鈴チリン。

©noara tsumiki

『ある日の朝、蓮の咲く音』

『ある日の朝、蓮の咲く音』

独りで雨を見ていたら
僕はツブツブになっていく
キラキラ光った
ツブツブになった僕は
やるせない気持ちで
いくつものアブクになる
通り過ぎた人達
通り過ぎた時間
アブクになった僕は
通り過ぎたあの日を少し思い出す
そして、ハヂケる
蓮の開く音と一緒に
僕は消えた
思い出の中のあなたも
ハヂケて消えた

©noara tsumiki

『父さんへ』

『父さんへ』

とっても青過ぎる空を
スッと駆けていった白い雲の下
笹の葉っぱに乗せて
虚ろな小川に流した蝉の脱け殻
ボクが摘まんだ蝉の脱け殻
それはボクが摘まんで
壊してしまった蝉の脱け殻

それはきっと
壊れてしまった父さんの輪郭
ボクが壊してしまった
父さんの思い出

©noara tsumiki

『ある日の舗道』

『ある日の舗道』

背高のっぽの大人たち
小っちゃな僕等を
すっかり追い越して
ずっとずっと
ずっと遠くの彼方まで
あっ、と云う間に
行っちゃった

©noara tsumiki

『ボクがいなくなった日』

『ボクがいなくなった日』

ボクが消えたら
その後には何が残るの?

ボクが消えたら
溜め息さえ残らないの?

ボクが消えたら
キミのことを憶えているのかな?

ボクが消えたら
掌の温度も
心の拍子も
死んじゃうんだね

©noara tsumiki

『白い画用紙』

『白い画用紙』

誰も足跡を付けていない
初雪の朝みたいな
真っ白い画用紙
その上に
一番最初に置く色
ドキドキして
思った色と違っていた
流れに任せて
色を塗る
後に戻れず
どうしようもなく
色を塗りたくる
何枚も何枚も色を塗りたくる

気が付いたら
真っ白い画用紙
残り僅か

©noara tsumiki

『遅くなったプレゼント』

『遅くなったプレゼント』

涙の雨
溢れ過ぎた
そして湖が出来た
その上を
スルスルと滑って行く
やがて後ろに残る
たくさんの丸
その丸を全部集めて
ペパーミントキャンディーを作った
すっかり遅くなったけど
ボクからキミへの
最初で最後の
ほんの気持ちの
小さなプレゼント
雲の上の
キミへのプレゼント

   ~みっちゃんに捧ぐ~

©noara tsumiki

『小さなボクの場合』

『小さなボクの場合』

ほら、ここに在る小さなボク
コレが見つからないように
土に埋める
埋める
だけど小さなボクは息をする
だからきっと誰かに見つかって
土を硬く踏み固められてしまい
夜には泣きそうになるんだ
思い切り泣いてしまうんだ

ほら、ここに在る小さなボク
コレが見つからないように
土に埋める
埋める

©noara tsumiki

『とっておきの嘘』

『とっておきの嘘』

金魚鉢に集めた夢は
カラスが啼いたはずの
夏の灼けた夕暮れ時のもの
硝子の風鈴は鳴らなくて
線香の煙が揺れるだけで
誰の声も気配もなくて
ボクの心臓の音だけ響いて
柱時計も死んじゃって
空に浮かんだまんまの
動かない白い綿雲も
裏山でざわめく緑の葉っぱも
みんな嘘つきで
お祈りしている
あなたのやさしい後ろ姿と
部屋の片隅で遠くを見つめる猫

きっと、独りでも大丈夫なんだ

©noara tsum

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『マジョリカの破片を集めて』

『マジョリカの破片を集めて』

見知らぬ風が部屋の扉を叩く
夕暮れの公園の喧騒が大嫌い
何処かの窓辺からピアノのC#
傷付いた子供の金切り声
掛け替えのない時間の
その最後の言葉たち
まさぐるようなやさしさ
古びた階段の踊り場に
不似合いなマジョリカ
木っ端微塵に砕け散った
あの時のキミみたいに溜め息ばかり
で、サヨナラ
破片を集める血だらけの左手
真夜中の壊れた思考回路
誰にも言えない幸せ
で、サヨナラ

©noara tsu

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『白い猫』

『白い猫』

灼けたアスファルトが
足にくっ付く
そして途方に暮れたボク
その横をスルりとすり抜けた、白い猫
あの日ダンボール函にいた、白い猫

©noara tsumiki