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8時15分以降の『虎に翼』・5月

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『虎に翼』感想文をまとめ、5月分です。
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虎に翼 第34話・35話

虎に翼 第34話・35話

寅子(伊藤沙莉)の背負ったものの重さ、夢、将来のために彼女にプロポーズせず、佐賀で奈津子(古畑奈和)と婚約したのだと告白する花岡(岩田剛典)。彼を呼び出して問い詰めるのが、轟(戸塚純貴)と、よね(土居志央梨)であるのがよい。

轟「それで猪爪に何も言わずに婚約を!?きちんと話もせずにか!」
そうだ、そうだ。どういった答えを寅子が出すにせよ、きちんと話すべきだったんだよ。

よね「責任を負う勇気がな

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虎に翼 第33話

虎に翼 第33話

冒頭、昭和15年9月。日独伊三国同盟が成ったことが、ラジオと新聞で示される。日本の立場としては、既に日中戦争で消耗しており更に中華民国を支援する米・英と対立するなか、独・伊と手を結んで米・英を牽制しつつ日中戦争を有利に運ぶ意図があった。何度も繰り返し描写されているが、日本は既に戦争真っただ中である。そしてまだ太平洋戦争は始まっていない。

32話では「御時世柄 品数を減らしてをります」の貼り紙をし

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虎に翼 第32話

虎に翼 第32話

本人は平静なのに、本人以上に家族が異性に「きゃー!」と盛り上がる。この図は見たことある…『カーネーション』の糸子(尾野真千子)と、母・千代(麻生祐未)だ。
花江ちゃん(森田望智)と、はるさん(石田ゆり子)がふたりでアシストして寅子(伊藤沙莉)の気持ちを少しずつ揚げてゆく。

雲野事務所の事務員・常磐さん(ぼくもとさきこ)が読む雑誌に、厚生省が制定した『結婚十訓』が並んでいる。

一、父兄長上の指導

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虎に翼 第31話

虎に翼 第31話

弁護士編スタート。と、同時に優三(仲野太賀)が猪爪家を出てゆく。
……あれ。なんでしょう。この喪失感は。猪爪家の家族同然、優しくて頼もしい優三が寅子(伊藤沙莉)たちの傍からいなくなるということが、視聴者としてとても寂しい。

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花岡(岩田剛典)と寅子の会話。

「(花岡さんが裁判官になったら)盛大にお祝いしましょう」
「期待しちゃっていいんだね」
「ええ、もちろん!期待し

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虎に翼 第30話

虎に翼 第30話

直言(岡部たかし)がせっせと作る愛娘スクラップ、その冊子の隣に置かれた新聞記事の大見出しは「我軍 武漢陥落後も進撃の巨歩緩めず」。
……歴史的に見れば、日中戦争はこの武漢攻略戦で終結の糸口を見失った。「進撃の巨歩を緩め」なかったのではない、退くに退けない泥沼に突き進んだのだ。

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世相は暗い方向へ突き進んでいるが、高等試験に合格した、初の女性弁護士の一人となった寅子(伊藤

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虎に翼 第28話・29話

虎に翼 第28話・29話

私たちは知っている。身の安全のために朝鮮に帰国しても、太平洋戦争のすぐ後に朝鮮戦争が始まり、朝鮮半島を動乱が襲うことを。
私たちは知っている。その身と志を犠牲にして男爵家を守っても、昭和22年に華族・貴族制度は廃止されてしまうことを。

努力家で賢く、友達思いのチェ・ヒャンスク(ハ・ヨンス)の無事を心から祈る。
誇り高く聡明で、心優しい涼子(桜井ユキ)の夫・有馬氏が、せめて人柄温かな男性であること

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虎に翼 第27話

虎に翼 第27話

司法科の高等試験に落ちても、卒業しても、次こそはと寅子(伊藤沙莉)たちの学びと努力は続く。

『竹もと』に集って学ぶメンバーの中に、涼子(桜井ユキ)のお付女中・玉(羽瀬川なぎ)がいて、しかも辞書を片手に読み進めているのが『Uncle Tom's Cabin(アンクル・トムの小屋)』。
。米国の奴隷解放問題に大きな影響を及ぼしたとされる作品である。いつの時代も、エンターテイメントは政治と無縁ではない

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虎に翼 第26話

虎に翼 第26話

高等試験司法科の筆記試験に、寅子(伊藤沙莉)も法科女子部の仲間たちも全員落ちた。筆記試験合格した久保田先輩(小林涼子)まで口述筆記に落ちた。
優三(仲野太賀)は今年も落ちた。

直言(岡部たかし)が「俺の裁判のせいで迷惑をかけた、勉強に影響がなかった筈はない」と言ったが、裁判から試験まで半年しかないので確かになあ……という気はする。

男子14名女子5名中、筆記試験合格は花岡(岩田剛典)と稲垣(松

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虎に翼 第25話

虎に翼 第25話

最初から最後まで、清き水がさらさらと流れるような第25話だった。

「主文。被告人らはいずれも無罪」
「検察側が提示する証拠は自白を含め、どれも信憑性に乏しく(略)本件において検察側が主張するままに事件の背景を組み立てんとしたことは、あたかも水中に月影を掬い上げようとするかの如し」
「即ち、検察側の主張は証拠不十分によるものではなく、犯罪の事実そのものが存在しないと認めるものである」

美しい、そ

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虎に翼 第24話

虎に翼 第24話

罪状認否における直言(岡部たかし)の「ごめんな、トラ」の意味は、今まで迷惑をかけた娘・寅子(伊藤沙莉)への謝罪で、問いへの答えは
「私はすべて否認します」
よしっ!とテレビの前で拳を握った。

「よく言った!」と思わず野次を飛ばす傍聴マニア、笹山さん(田中要次)と、こりゃ面白いことになったぞ!と笑いが零れる新聞記者・竹中(高橋努)。傍聴席の表情も様々だ。

検察官・日和田(堀部圭亮)の扇子を叩くの

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虎に翼 第23話

虎に翼 第23話

「私は被告人の無罪を主張しようと思っている」。
穂高先生(小林薫)の言葉に、一様にうーん……となる弁護士の先生がた。

「法は、強き者が弱き者を虐げるためのものじゃない。法は正しい者を守るものだって、私は信じたいんです」
寅子(伊藤沙莉)の言葉に、先生がたはうーんとなりつつも穂高先生の方針に賛成することにしたらしい。穂高先生がこの場に寅子を伴ったのは、被告人の娘というだけでなく、彼女が法を学ぶ学生

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