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詩集C(30代以降の作品群)

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社会派ミステリー小説、PHASEシリーズの著者 悠冴紀が、30代から現在にかけて書いた最新の詩作品を、このマガジン内で無料公開していきます。 なお、作品の下に、一見解説文のよ… もっと読む
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#ダーク

詩 『答 え』

詩 『答 え』

作:悠冴紀

答えなど
はじめからどこにも存在しない

誰かの導き出した明確な答えは
他の誰かにとっての問いとなる

私にも誰にも
答えようがない

その時どきに見出す小刻みの持論なら
すでに幾度となく言葉にしてきた

年月を経て
それら全てが問いに帰する

だから朽ちない
循環により生を得る

終局を迎え 落ちた木の葉は
残像だけをおいて土にかえる

土を踏みしめる誰かが樹を見上げるとき
そこに

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詩 『愛とは……』

詩 『愛とは……』

作:悠冴紀

愛に飢える者を大勢見かける
孤独を避けるためだけに誰かを求め
愛する以上に愛されようとする

けれど愛とは相互のもの
己だけのためには
成り立たない

愛を賛美する者を大勢見かける
旋律に載せ 色彩を加え
世界中で謳われる

けれど愛とは諸刃の剣
憎しみ以上に相手を傷つけ
凄まじい破壊力を発揮する

愛を説く者を大勢見かける
まるで全てを解決する答えであるかのように
目指すゴールにそ

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詩 『カウントダウン』

詩 『カウントダウン』

作:悠冴紀

都合だ
結局すべてが都合なのだ

裏切られたとは思っていない
期待も信頼も元よりなかった

端から明白なことながら
政治や社会に良心などない
国家というものにも良心はない

人の寄せ集めで構成されていながら
それらは しかし 人ではない

対して国なき民は
あまりに不利で無防備な存在
逃げ延びる先々で迫害を知る

同情的に扱われるのは最初だけ
あとは長きにわたり地獄が続く

里を追わ

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詩 『鮫々のように 〜ダークブルーの海へ』

詩 『鮫々のように 〜ダークブルーの海へ』

作:悠冴紀

暗く 冷たい 水の中で
独り静かに佇んでいたい
冷ややかな眼差しを持つ あの鮫々のように

笑うことなく
馴れ合うことなく
誰も寄り付かないほどの深みに溺れて……

差し伸べる手など 必要ない
人々が救いと信じるものが
私には死だ

現に私は日に日に崩れ 朽ち果てて
元在る力すら見失ってしまった

己の本質に見合わぬ生ぬるいところへ
無理やりこの身を引上げてしまったからだ

一体どの

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詩 「メサイアコンプレックス」 (⚠️記事の後半は、私が作品づくりの際に念頭においている一語「Life is a beautiful mistake」の話。)

詩 「メサイアコンプレックス」 (⚠️記事の後半は、私が作品づくりの際に念頭においている一語「Life is a beautiful mistake」の話。)

作:悠冴紀

生き方に関する指図など要らない
考え方を正す示唆など要らない

救ってくれるな
教祖気取りのドヤ顔など
私には浅はかなペテンにしか見えない

全てを平らかにする一本道への誘導
「あなた」を辞めて「私」になりなさいと
暗に説いているだけの支配欲

何様のつもりなのか?

悟り人 気取りの上から目線の
なんと滑稽なナルシシズム

自らの在り方を頂点の理想像とし
結局誰もを自分と同じにした

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詩 『自由の代価』

詩 『自由の代価』

作:悠冴紀

何人の人間が知っているだろう
自由とは完全なる孤立
誰にも何も求められなくなったあとの
真の孤独を意味すると

何人の人間が知っているだろう
自由とは責任ある選択の連続
誰の導きも 何の保障もない
日々手探りの道なき道を意味すると

自由を求めて闘うとき
人は輝き 高められる

自由を得て尚 生き続けるとき
人は戸惑い 途方に暮れる

得難いものを得た喜びに満たされ
今後の期待に胸を

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