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江戸時代の循環型ごみゼロ社会に立ち返るべきでは?!
江戸時代の人はすごいと感心してしまうことの一つにリサイクルがある。毎日の生活に欠かせない着物の再利用が素晴らしい。
まず江戸の人は、着物をどこで買っていたのだろうか。新しくあつらえる場合は、「呉服店」や「太物店」で反物を購入する。呉服は絹もの、太物は木綿ものの意味である。既製のものはなく、この反物を自分で仕立てるか、仕立てに出して着ることになる。ちょっとやっかいである。ここまでのお話は、一部
新渡戸稲造のおじいさんが素晴らしい!
日本全国どこでも大地の履歴を紐解くと、大なり小なり土木事業の痕跡と恩恵が見えてくるだろう。なぜなら、古来より日本人が米を作ってきた歴史の中で、ため池や水路をつくり、田に水を引き、川を治めて洪水から田を守るといった土木事業は不可避だったからである。農業のための土木を解明するキーワードは「水」だ。
青森県十和田市の場合、大地の履歴を読み解く手がかりは、十和田市をはじめ周辺の田園を潤す稲生川にある
絵画の道行き ~ステキな作品との出逢い~
家族でふと名古屋市術館を訪れてみた。行ってみると、𠮷本作次という岐阜県出身の特別展が開かれていた。残念ながら今まで全く知らなかった方の作品展だ。内容を紹介するチラシには、
「うねるような力強いストローク(筆触)と重厚なテクスチュア、それとは全く対照的なグラフィカルなイメージや浮遊するかのようなフォルム。それらが展開する大画面は、正しくスぺクタクルを伴いながら「絵画」を頌歌するものでした。」
異次元の少子化対策の「異次元」って?
2024年2月27日、厚生労働省は、2023年の出生数が、前年比5.1パーセント減の75万8,631人だったと発表した。これで8年連続の減少で、過去最少の数になった。国立社会保障・人口間題研究所の推計では23年の出生数は76万2千人となっていた。推計では、76万人を切るのは2035年とされていたというから、少子化は驚くべき早さで進んでいるわけだ。政府は、少子化反転政策にやっきである。「異次元の少
もっとみるウルトラマンから考える その2
『ウルトラマン』の最大の功績は、世界に類をみない「巨大化する変身ヒーロー」というキャラクターを創出したことであろう。銀河系から300万光年離れたM78星雲からやってきたウルトラマンは、宇宙の平和を守る宇宙警備隊員である。彼は宇宙の凶悪犯ベムラーを追って地球に到着したが、誤って科特隊のハヤタ隊員を殺してしまう。そこで自分の命をハヤタに与え、2人は一体化する。宇宙からやって来た謎の人物=ウルトラマン
もっとみるウルトラマンから考える その1
私がこの世に生を受けた1966年は「ウルトラQ」のテレビ放映が始まった年だった。「ウルトラQ」のあと、「ウルトラマン」のシリーズが今も続いている。
「ウルトラマン」の第1話「ウルトラ作戦第1号」の冒頭、小型ビートル機でパトロール中だった科学特捜隊のハヤタ隊員は、怪光を発する青い球と赤い球を発見し追跡するうち誤って赤い球と衝突する。その衝撃で死んだ筈のハヤタ隊員は不思議な赤い空間の中で「M78
「子育て」が「罰」の国:日本 その2
日本社会で「子育て罰」が出現してきた背景は何だろうか。1960年代以降、子育てにおける「自己責任」が強調され、親が子どもの教育費を負担するのは当たり前とする見方が形成され、「親負担ル-ル」ができあがった。さらに、よい子に育てなければならないといった「理想の子どもイデオロギ-」によって親(特に母親)を追い詰めてきた。「子どものため」と頑張りすぎてしまう親たちの努力に、社会も政治もタダ乗りして「子育
もっとみる「子育て」が「罰」の国:日本 その1
「日本はなぜ親子に冷たい社会になってしまったのか」、「親子にあたたかい日本に変えていくためにどうしたらよいか」であり、それを「子育て罰」というキー概念を軸に論じている。では、「子育て罰」はどういう意味か。「子育てをすること自体に罰を与えるかのような、社会の厳しい冷たさ」という偏った考え方を感じる。「子育て」という人間の育ちに関わる行為、親が子を育てるといった、まさに「育児」「養育」「教育」という
もっとみる伏すこと久しきは、飛ぶこと必ず高し(『菜根譚』より)
妻から「菜根譚って知ってる?」と質問された。聴いたことはあるが、中国かどこかの言葉だったかなぁくらいにしか思い出せずにいた。妻のLINEに次のようなメッセージが届いていた。
「伏すこと久しきは、飛ぶこと必ず高し。これは『菜根譚』の中の言葉です。長い間うずくまって、力を蓄えていた鳥は、いったん飛び立てば、
必ず天高く舞い上がる、という意味です。」
『菜根譚』は、前集222条、後集135条からな
アボリジニとウルル その2
22年ほど前のことになるだろうか。当時勤務していた高校でホームステイプログラムを立ち上げることになり、単身オーストラリアのサンシャインコースト大学を訪ね、初回と2回目の引率教員も経験させていただいた。生徒向けのプログラムの中に、アボリジニの方によるブーメラン体験があった。その際、オーストラリアの先住民であるアボリジニについての事前学習が必要だと感じ、帰国後『裸足の1500マイル』という映画に出逢
もっとみる普通ってなんだろう? 人権ってなんだろう?
徳島の人権教育が素晴らしい。徳島県立人権教育啓発推進センター「あいぽーと徳島」では、未来を担う子どもたちが「人権」と向き合い、自分なりに考えるきっかけをつくるため、様々な人権教育を行っている。その活動の一環として、徳島では「人権に関する児童生徒の作品」を毎年県内の児童生徒から募集している。いくつか読ませていただいたが、レベルがすごい。その中でも、高校1年生の女子生徒が書いた文章は圧巻だった。
外国人が絶賛した日本の子育て~わたしはこれほどこどもをかわいがる人々を見たことがない~ その2
「私は、これほど自分の子どもをかわいがる人々を見たことがない。子どもを抱いたり、背負ったり、歩くときには手をとり、子どもの遊戯をじっと見ていたり、参加したり、いつも新しい玩具をくれてやり、遠足や祭りに連れて行き、子どもがいないといつもつまらなそうである。」(高梨健吉訳『日本奥地紀行』)
次の言葉もイザベラ・バードによる。
「父も母も、自分の子に誇りをもっている。見て非常におもしろいのは、毎
外国人が絶賛した日本の子育て~わたしはこれほど子どもをかわいがる人々を見たことがない~ その1
イザベラ・バードという名前をどこかで聞いたことがあるだろうか。今から140年も前の1880年に『日本奥地紀行』という本を出版したイギリス人女性である。子どもの頃は病弱でほとんど家から出ずに暮らしていたのだが、ある時医師から「転地療養をしなさい」と勧められた。そこで、20代半ばから旅を始めたのだ。
イザベラが実際に旅を始めてみたら、未知の世界への関心が生まれ、まずアメリカとカナダを旅し、41歳
人権教育は「人」育てる土台
部落差別の解約をめざし各地で盛んだった「同和教育」が、「人権教育」に姿を変えている。SNSによる誹謝中傷や、新型コロナウイルス感染者への嫌がらせなど、人権侵害の形や種類が多様化したからだろう。ジェンダーや不平等など「持続可能な開発目標(SDGS)」の視点からも克服すべき課題が多くある。今回は3年ほど前のコロナウイルスの蔓延をきっかけに徳島県の小学校や高校で取り組まれてきた人権教育について書いてみ
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