連作10首『雨』
特別、嫌なことがあった訳でもなく、特に良いことがあった訳でもないありふれた週末。
ただ、意味もなく気分が落ち込んでた。
雨の降るなか、いつものように車を運転して、途中でコンビニに寄り、煙草を1箱だけ買い、1本だけ吸ってまた車を運転する。
遅い夕食をとり、ソファで寝転んで、雨音を聞きながら、ここが静かな田舎でよかったのかどうなのかとか考えてた。
きっと、喧騒のなかひとりでいる方がわたしには辛いだろうな。
静かで孤独で寂しい。
雨音は今も続いている。
周りから「冷たい雨」とうたわれる雨もぼくには生ぬるいだけ
濡れたものだけがまとわりついてきて爛れた肌の痛みや痒み
ワイパーはリズム刻んて動いても次から次へ保水されてく
コンビニの軒下で吸う煙草だけ信号みたくぼくを留め置く
猫だって濡れない場所を心得ておまえは馬鹿だとアクビしながら
乾いてるからこそ染みていくんだろ雨も言葉も優しく痛く
泣かないと決めたわけではないはずだ だから余計に雨が愛しい
月明かり遮る雲の真下にはひかりを探すものが溢れて
傘がない傘がないから濡れている傘がないから傘がないから
雨の中歩けばぼくは探してたあなたを見つけられるでしょうか
(P.S.)雨の歌はたくさんありますが、この歌がとても好きです。
槇原敬之『THE END OF THE WORLD』
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