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  • 日本で一番小さな県で育まれる愛のサイズ【十話】【創作大賞用】

    創作大賞2024年用に書いた小説。

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日本で一番小さな県で育まれる愛のサイズ【一話】【創作大賞用】

完読時間目安:50分 あらすじ ◇ 去年の今頃は、まさかこんな状況になって桜を眺めているだなんて想像すらしていなかった。桜の満開を祝すかのように五年ぶりに開催される歌舞伎の旗が踊っている。 幸助が故郷の香川県琴平町に戻ってきたのは一年前のことだ。高校を卒業して以来の帰郷で、気づけば幸助は二十六歳になっていた。 ◇ 春 4月 一年前のその日。 幸助はかつて祖父母とよく来ていた金比羅山の参道口にある喫茶店の前に立っている。緊張した面持ちで喫茶店への扉をまたぐ。マスタ

    • 読んだ本をランキングしたらバーバラ派と貫一派に分かれた

      今年に入って僕と妻のつきみぐが読んだ本をランキング順に並べてみる遊びをしてみました。 その結果がこちらです。 § 上位五作品中四作品は同じ作品を選んでいて、うんうんそうだよね、と共感し合いました。 猛者達の本なのでランキング付けしてはみたものの、順番はあって無いようなものだよね、ともなりました。 どれを読んでも面白いんだからプロの作家さんは偉大です。 各々が自分の持ち味ってのを理解されていて、強みを尖らせまくっているから、最強の矛となって心を突き抜いてくるのです。

      • どうやら僕は自画自賛者らしい。

        前々から薄ら自覚はしていたのですが、妻のつきみぐから指摘されて確信に変わりました。 僕は自画自賛者だ。 つきみぐ曰く特に料理の時がすごいらしく、自分で作った料理を食べたら 「うわっ、なんやこれ、めっちゃうまい、つきみぐも食べてみて!」 と興奮気味に自分の作った料理を勧めているみたいです。(その殆どがリアクション程には美味しくはないという事実、なんてこった) 普段の僕はそこまでリアクション大きくないので、余計に自画自賛ぶりが際立っているそうなのです。 ◇ そして料

        • 創作大賞用の小説、投稿後1日で26名もの方に読んでいただけていて感謝感激です。 個人的過去最高傑作だと信じて送り出した小説です。休日のお供に是非どうぞ。 https://note.com/tamagomaruto/n/n196b12b7a6b1 一話時点での一行感想なんかもお待ちしております。小説をもっと身近に

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        日本で一番小さな県で育まれる愛のサイズ【一話】【創作大賞用】

        • 読んだ本をランキングしたらバーバラ派と貫一派に分かれた

        • どうやら僕は自画自賛者らしい。

        • 創作大賞用の小説、投稿後1日で26名もの方に読んでいただけていて感謝感激です。 個人的過去最高傑作だと信じて送り出した小説です。休日のお供に是非どうぞ。 https://note.com/tamagomaruto/n/n196b12b7a6b1 一話時点での一行感想なんかもお待ちしております。小説をもっと身近に

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        記事

          日本で一番小さな県で育まれる愛のサイズ【ニ話】【創作大賞用】

          マスターは幸助が『讃岐乃珈琲亭』で働くことを快く受け入れてくれた。 「ここも他と変わらず人手不足だし、幸助のような経験者に働いてもらえるのは助かるわい」 近くで見るマスターの顔には皺が刻まれている。マスターの歩んできた年月には何が刻まれているのだろうか、と幸助は思ったがそんなことよりもまずは感謝を伝えなければいけないと我に返った。 幸助は深くお辞儀し、マスターの手を取った。 「マスターありがとう。一生懸命働いて恩返しするよ」 マスターは目尻の皺をより深く窪ませ笑った

          日本で一番小さな県で育まれる愛のサイズ【ニ話】【創作大賞用】

          日本で一番小さな県で育まれる愛のサイズ【三話】【創作大賞用】

          幸助はマスターに讃岐乃珈琲亭で働くことを許可され、浮ついた気持ちで祖母の待つ家に帰ってきた。不思議な宿題のことは気にはなったけれど、それよりも働き先が見つかった安心感が勝った。 祖母の家は駅から徒歩二分の所にある。そこから五分歩けば珈琲亭に着く。 祖父母はかつて一階の店舗で餅を売っていたが、幸助が高校三年生の時に、もう十分やり切ったと言って店じまいした。 幸助は祖父母の作るこし餡入りの餅が大好きだったので、もう食べることができなくなってしまうのかと残念がった。しかし祖父

          日本で一番小さな県で育まれる愛のサイズ【三話】【創作大賞用】

          日本で一番小さな県で育まれる愛のサイズ【四話】【創作大賞用】

          讃岐乃珈琲亭で幸助が働きだして早くも一か月が経過した。満開だった桜は散ってしまったが、その散った桜の花びらに魔法が込められていたかのように、世界に鮮やかさが宿り出している。空に鯉まで泳ぎ出しているから、地球人意外がこの光景を見たら、きっと魔法の力だと思うのだろうな、と幸助は狭い休憩スペースで妄想している。 讃岐乃珈琲亭は東京に比べれば田舎にあるぶん忙しくないと心の何処かで思っていた幸助だったが、その考えは完全に間違えていた。 讃岐乃珈琲亭は金比羅山の参道口に位置する喫茶店

          日本で一番小さな県で育まれる愛のサイズ【四話】【創作大賞用】

          日本で一番小さな県で育まれる愛のサイズ【五話】【創作大賞用】

          讃岐乃珈琲亭にはマスターと春子と幸助の他にも数名のスタッフが働いている。日本が好きで日本で働くことを夢見て来日した台湾出身の葉さん、マスターの珈琲に感動して勢いだけでここまできた元観光客でカナダ人のマシュー、朝はここで働いて昼からは近くのホテルで働いている明美さんと孝之くん、そして春子の8つ年の離れた妹、陽菜(ひな)。 陽菜は最年少でありながら讃岐乃珈琲亭のムードメーカーだ。いつも誰かと何かを楽しそうに話している。口を動かしながらも作業はてきぱきしているし、お客さんへの対応

          日本で一番小さな県で育まれる愛のサイズ【五話】【創作大賞用】

          日本で一番小さな県で育まれる愛のサイズ【六話】【創作大賞用】

          讃岐乃珈琲亭には最近幸助が気になって仕方がないお客さんが来店する。 初めてその男の子を見たのは幸助が働きだした日だ。 幸助より少し若いくらいのお母さんに連れられてやってきた男の子は春子が作ったお子様ランチを目を輝かせながら食べていたのだ。 その雰囲気がかつての自分のようだと思い勝手に親近感を抱いた。 そしたらその後その男の子が珈琲をブラックで飲みだして幸助は更に驚いた。 本当にかつての幸助そっくりではないか。 その男の子も明らかに口の中に含んだ苦い液体を吐き出した

          日本で一番小さな県で育まれる愛のサイズ【六話】【創作大賞用】

          日本で一番小さな県で育まれる愛のサイズ【七話】【創作大賞用】

          おはよう 誰も居ない部屋で幸助はつぶやく。 夏の日差しと夏の暑さに睡眠を邪魔されてしぶしぶ幸助はベッドから起き上がった。 月日の流れは早い。気づけば空に泳いでいた鯉はいなくなり、代わりに蝉の鳴き声が空を泳ぐ季節となった。 讃岐乃珈琲での仕事にもだいぶ慣れてきた。 観光客と常連客が混在するこの空間が心地良い。 いつものように仕事を終えた時、春子の妹の陽菜が 「ちょっと二人にお願いがあるんだけど」 と言ってきた。 二人とは幸助と春子のことだ。 陽菜は私がタピオ

          日本で一番小さな県で育まれる愛のサイズ【七話】【創作大賞用】

          日本で一番小さな県で育まれる愛のサイズ【八話】【創作大賞用】

          突然だけど少しだけわたし視点でこの物語を語らせてほしい。 わたしとは犬のわたしのことである。名前はもうある。しかも二つもある。 この家に連れてきてくれた幸助はわたしのことを、わー坊と呼ぶ。 幸助の机の上にあったこの県名産の和三盆糖でできた金平糖を幸助が目にし、 「犬と言えばワン、それと和三盆を混ぜて、わー坊ってのはどうかな。うん、良い。よろしく、わー坊」 そう言ってわたしの顔を撫で回してくれた。 わたしも結構気に入っている。 だけど幸助と同居している祖母は幸助の

          日本で一番小さな県で育まれる愛のサイズ【八話】【創作大賞用】

          日本で一番小さな県で育まれる愛のサイズ【九話】【創作大賞用】

          由紀と桔介の結婚式は七人で父母ヶ浜に旅行に行ってから二ヶ月後の九月の三連休の中日に行われた。 神前式は幸助の祖母が毎日参拝している金比羅の御本宮で両家の親族だけで厳かに進められた。 二人の門出を祝うかのように秋空はこれでもかと快晴で雲一つない。今日はあの日の旅行の時のようにうちわで雲を飛ばす必要も無さそうだ。 神前式の後、孝之が働いている金比羅山道沿いにあるホテルにて、披露宴が開催された。春子や幸助は披露宴から参加し、東京の珈琲屋でお世話になった店長や同僚たちとも久しぶ

          日本で一番小さな県で育まれる愛のサイズ【九話】【創作大賞用】

          日本で一番小さな県で育まれる愛のサイズ【十話】【創作大賞用】

          783、784、785! 「金毘羅さんの本宮までの階段って本当に785段なんだね」 息を切らしながら春子が明るく喋る。 「春子、じゃあ一緒にもう一歩進もう」 そう言って幸助は春子の手を改めて握り直した。 「せーの、786!」 この一歩って何の意味があるのと春子が聞いた。 幸助はよくぞ聞いてくれたとばかりに話す。 金毘羅さんの本宮までが785段なのは786の数字からナヤム、悩むから一段減らして悩みを解決しますって意味があるらしいんだ。そのことは素晴らしいと思うん

          日本で一番小さな県で育まれる愛のサイズ【十話】【創作大賞用】

          引越し準備中

          来月に引越しを控え、引越し準備中です。仕事以外の時間の全部を引越しに費やしていると言っても過言じゃないです。暇さえあれば引越し先の部屋をどう飾ろうか考えています。休日は家具屋巡りで終結します。 頭の中引越しのことばかりです、引越し脳です。 引越し脳になるとYouTubeで観る動画も変わってきます。 気づけばインテリアのコーディネートの仕方やルームツアー、家具家電の購入品紹介の動画ばかり観ています。凄く便利な世の中になったと思うのはこういう時です。 こういうのを調べたい

          引越し準備中

          新宿まで20分な喜多見の魅力

          いま日々引越し作業中です。この前新しい住まいが決まりました。特に立地は気にしていなかったのですが、運良く(ある意味では悪く)徒歩でマクドナルドに行けてしまう所に引っ越すこととなりました。 こんな事は初めてだから気をつけねばと思ったら、実はマクドナルドが徒歩圏内にあったのは初めてじゃなかったと思い出したのです。 それはわたしが東京の喜多見駅の近くに住んでいた頃の話です。 喜多見駅の近くにはマクドナルドがあって、それはそれはよく利用していました。 当時はやたらとポテトのL

          新宿まで20分な喜多見の魅力

          喜びを欲している。

          四月中旬、転職先が決まり喜びを得た。五月上旬、審査通るか微妙だった賃貸物件の審査が通って喜びを得た。二日前、創作大賞用の小説を書き終えて喜びを得た。 今、次は何をしようかと考えている。 何をしようか考えているっていうのは、次はどんな喜びを得たいのかを考えている、と置き換えられることに気がついた。 次から次にやってみたい事が浮かんでくる。 新たな喜びを欲している。 喜びは束の間だ。手に入った瞬間が喜びの最高潮で、時間の経過と共に喜びの感情は薄れていってしまう。 喜び

          喜びを欲している。