丸膝玲吾

小説や詩を書いている大学生です。ここでは日々のことだったり、好きなものについて書いたり…

丸膝玲吾

小説や詩を書いている大学生です。ここでは日々のことだったり、好きなものについて書いたりしています。また選考にもれた小説を供養することがあるので、その時はそっとしてください。

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「かつて僕らは」 第一話

   なんで音楽やってんだっけ。  たまに、視界を覆っていた霧が急に晴れるように、頭が冴え渡り、ひどく冷静になることがある。手にはベースを持っていて、そろそろソロパートが来るからアレンジを加えたいところなのだけど、頭は別のことを考えている。  音とは振動なのだと、ライブに出るたびに痛感する。ある人物が作り出した規則的な波の波形に、数万人の人々が熱狂し、手を掲げ、声を上げて、時に涙を流す。たまに、狂ってる、と思う。  階段を一歩一歩上がる。舞台上に出て、波打つ大勢の観客の前に出

    • 創作大賞の決意表明

      この創作大賞で書籍出版をする。そう決めた。 勉強とか、就職とか、バイトとか、これらのものから全力で逃げたい。考えたくない。今日も一限、二限の授業に行かなかった。どうでもいいとさえ思った。 何かをしている実感が欲しい。これに向かっているという目標が欲しい。創作大賞は私にとってこれを目指しています、という強い目標になる。この賞を取りたいのだ、と思うことで日々の生活に一本の軸が作られる。将来の不安を全て忘れられる。 動機としては不純かもしれない。今回応募するのは漫画原作部門で

      • 「かつて僕らは」構想

        <書きたいこと>高校時代のバンド活動という青春と、解散して大人になった彼ら。青春というのは学生時代に作られるものではなく、大人になって振り返って初めて作られるもの。学生時代に抱いたモヤモヤとかを大人になって振り返って乗り越えてほしい。彼らの人生を書きたい。 <登場人物>「長門奏(ながとかなで)」  作曲、ギター担当。天才肌。天パふんわり(可愛い、無邪気系)。子供っぽい。よくにっこり笑っている。PPPPみたいな外観のイメージ。中学生の時に不登校になり、そこで音楽を作曲するよ

        • 嵐山へ行った

          今日は目の調子が悪かった。それは土曜から続いていて、原因は目の疲労だ。私は目に疲労を溜めやすく、日々の生活もPCの画面を見るか、小説を読むか、勉強するか、なのでよく目に不調が出る。積もりに積もった目の疲労が一昨日の土曜に爆発した影響で、土日は全く勉強できずに、外を散歩していた。 今日はその土日の分を取り戻そうと、勉強と小説の執筆に励もうとお思っていたのだが、一限の授業を受けている中で、こめかみの血管がズキンズキンと痛んだ。このまま受けようか迷ったが、中途半端に目を使って明日

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        「かつて僕らは」 第一話

          簡単に崩れる

          今朝、目が覚めてベッドから起き上がる準備をする段階で、目やにが溜まっていることに気がついた。何度人差し指で拭っても薄黄色の垢がボロボロとベッドの上に落ちる。洗面台に言って顔を洗うためにベッドから立ち上がり目を開こうとした、が、目を完全に開けることができなかった。 私はサークル活動や外に出かけることがないから、一日中、本を読んだりパソコンを触っていたり、と目を使っている。日に日に目の疲労が溜まっていく一方だったのだけど、ついに今日限界を迎えたらしい。昨日、深夜の一時までYou

          簡単に崩れる

          金曜日の日記

          借りていた本を読み終わったので、次に借りる本を選んだ。先週は市の図書館から小説を3冊、学校の図書館から素粒子の本を一冊借りた。今週は学校の図書館から小説を借りようと思い、2冊ほど選んだ。学校の図書館は現代小説はあまり置いていなくて、戦後とか戦前あたりの小説が多く、彼らの文章は緻密で美しい。そんな文章を書きたいから、今週は学校の図書館から借りることにした。 週に4冊ほど読もうと思っていて、小説以外の本を学校の図書館から一冊かりようと眺めていたが、めぼしいものがなかった。特定の

          金曜日の日記

          これから学びたいこと

          私は人より本を読んでいると思う。大体週に3、4冊は読む。ジャンルは小説が主でたまに歴史とか数学などの物語以外の本も読む。最近になって絵本も読むようになったから、それも含めれば週に7冊ぐらい読むことになる。 本をたくさん読むと知識がついてくるのだけど、少しだけ傲慢になっていく自分を感じる。人より本を読んでいるから、私は普通の人に比べて知識があるのだと、物を知っているのだと、思慮深いのだと、感受性豊かなのだと思ってしまう。たまに自分の無知さを痛感する時があるのだが、同時に自分よ

          これから学びたいこと

          水曜日の日記

          水曜日。今日の授業は午前中に二コマだけで、どちらも出なくても大丈夫そう(自分で勉強できそう)だったから出ていない。つまり、水曜日は実質全休ということになる。世の大学生なら全休なら学校に行かずに家に籠るかもしれないが、私は学校の図書館へ向かう。 家にいるのが辛い。大学生になって、ずっと何かしなくては、という漠然とした焦燥感に取り憑かれている。特に一回生、二回生はその感情に大きく振り回されて、何かしなくては、と何もしていないの感情を反復横跳びする日々だった。家にいるとボゥっとY

          水曜日の日記

          「海と死」は美しい

          対極にあるものが絶妙な匙加減で一つの枠の中に閉じ込められることで作り出される美しさには目を見張るものがある。 海と死もその一つで、海というのは命の起源であり、どこまでも続く広大な海は生物の成長を加速させる。陸の生物よりも海の生物の方が圧倒的に大きいのは、海の方が餌があるから。なぜ海の方が餌があるのかというと、海が芳醇な生命環を作り出すからだ。海は生命の源、大いなる母なのだ。 生の象徴である海と、死。その組み合わせは触れたら崩れ去ってしまいそうな儚さと危うさ、幻想的な美しさ

          「海と死」は美しい

          高速道路が好き

          昨日、自動車学校で高速道路教習があった。3人1班になって自動車学校から高速道路を通り、学校に帰っていくという授業。初めて高速道路を通った。時速80kmも出すのは緊張したが、慣れれば一般道よりも、横断歩道とか飛び出しがない分簡単だと思った。 3人1班になるので、運転席に座る1人以外は後部座席で見学をする。私は、運転せずに乗る車が好きだ。車が好きというより、知らない道を行くのが好きで、車もその1つと言った方が適している。知らない道を行く楽しさについては、またおいおい別の記事にす

          高速道路が好き

          目の前に人がいるのが嫌なんだ

          食堂や図書館で、段々と席が混んできて目の前に人が座ることがある。私はこの状況がとても苦手だ。 食堂ですることといえば、当然食事だ。それ以外ない。私は、自分の食事の所作に自信がない。スプーンで救った汁はよく器の中にこぼしてしまうし、全ての皿を持って食事する習慣がついてしまい、主菜のでかい皿を持ち上げてしまう。米など水分をよく含んでいるものを噛むときの咀嚼音は大きい気がするし、ナイフとフォークをうまく使えなくて結局箸でかぶりつく。 この記述は完全に主観的なもので、人から指摘さ

          目の前に人がいるのが嫌なんだ

          [小説] レモンくん

           大学3回生の夏休み、地元に帰り街を歩いているとレモンに会った。  「よう」  「おう」  レモンは背も高くシュッとしていて、地元では一番勉強のできるやつだった。”成功”とは程遠い、辺鄙な街を飛び出して東京の大学へ行った成功者、それがレモンだった。   近所の公園に行ってベンチに座った。  「久しぶり、東京はどうよ」  レモンは大したことではないように言った。  「俺大学辞めた」  私は耳を疑った地元で最も成功した人物で、光り輝く未来を約束されたあのレモンが、大学を辞めた?

          [小説] レモンくん

          [小説] あんたブスだね

           「あんたブスだね」  レミーは口をぽかんと開けてそう言った相手を見つめた。  「でも私はもっとブス」  レミーは思わず頷いた。大きな瞳で金色の長い髪を風に靡かせて、小さい頭で何度も頷いた。  レミーは相手をよく見つめた。白いマスクと長い髪で覆われて顔はよく見えないが、僅かに見える目元の部分とか耳とか、膝下まで伸ばされたスカートとか、体のシルエットは全くもって可愛くはなかった。  プォーンと左手から電車の音が聞こえた。駅のホームは通勤通学途中の人たちでごった返している。皆がス

          [小説] あんたブスだね

          [小説] ダンボールの家

           お尻から喉から血が出るわ出るわ。脛は痛いし目は霞むし。頭は働かなくて、目が合った女性が全員自分のことを好きだと思い込んでしまいます。  こんな状態がいくらか続いて、何かが治ったかと思えばどこかが痛むので、いっそのこと全てをほっぽり出したい、と8階から飛び降りたのです。  「いた」  8階から飛び降りたので尻餅をつきました。お尻がジンジン痛みます。やはり8階から飛び降りるのは良くなかったのでしょう。  「ジンジンくん、何をしてるの」 通りかかった花子さんが言いました。  「花

          [小説] ダンボールの家

          [小説] ショパンと告白

          「付き合ってください」 差し伸べられた手を見てジューンは一瞬思案してそばにあった木を指差した。 「あれを倒したら付き合ってあげる」 ジューンは足早に去った。今日は学校終わりにピアノ教室があった。大して好きでもなかったが、行かなくてはいけなかった。 **翌日** 「ねぇ、あれ」 ジューンはクラスの騒めきを聞いて、窓から外を覗いた。一限目の授業中であったが、そこには校舎よりも高く生えた木を半狂乱になって殴りつけている男子学生の姿があった。 どすん、どすん、どすん。 男子学生は

          [小説] ショパンと告白

          興味を持たれたい

          よくある妄想の一つに誰かから興味を持たれて大げさなリアクションをとられる、ということがある。私の考えを言って、それがとても興味を惹くもので、他の感情とは違っていて、それを驚かれることでエンタメとして成立する、しゃべっているだけで成立する、といった妄想だ。この妄想の起因には興味を持たれたい、という願望がある。私は小学生の頃から俗に言うかまってちゃん、だったと思う。仲の良い友達の尻を蹴ったり、頭を紙で叩いたりしてどうにか興味をひこうとしていた。それで怒らせらことは何回かあった。眠

          興味を持たれたい