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【2024年】阪神タイガースまとめ

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2024年に行われたタイガースの試合について書いたnoteをまとめます。
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記事一覧

今日くらいは「あと一人」って大声で叫ばせてくれ【6/2 対マリーンズ戦○】

「そうなってほしくないな」と思っているときに限って、本当にその通りになってしまうものだ。何の根拠もないのだけれど、どういうわけかそんな風にできている。 9回までに1点のリードしか奪えなかった。森下翔太の先頭打者ホームランで幸先良く先制したが、この日もまた1点差でマリーンズ打線とZOZOマリンの応援と対峙することになった。 ただの相手じゃない。引き分けを挟んで11連勝中だ。しかも4試合連続で9回に同点に追いついている。この執念は、ちょっと理屈では説明できない。2日前はJ.ゲ

岡田彰布監督がどう思ったのか聞かせてほしかった【5/31 対マリーンズ戦●】

試合は9回に1点を失って追いつき、延長10回に力尽きた。この日3安打した前川右京に代打を出したことや、1点差の場面でDHを解除したことなど、ファン目線で「んん?」って思うことはあったけれど、問題はそこじゃない。 今日書きたいのは別の部分だ。 試合が終わった後、岡田彰布監督は取材に応じなかった。 「もうええわ」と一言だけ話し、球場を後にした。 そうか、この試合全体が漫才だったのか。 「どうも、ありがとうございました~」 ……そんなわけあるかーい!!!!リアルじゃ!! 日

森下翔太のコメントを読んだら、少し気が紛れてきた【5/24 対ジャイアンツ戦●】

最後の打者が空振り三振に倒れて、ジャイアンツの戸郷翔征が両手を掲げた。わずか1点のリードを1人で守り切っただけじゃない。史上89人目のノーヒットノーランのおまけつきだ。 タイガースが対戦相手にノーヒットノーランを喫するのは、ドラゴンズの大野雄大にやられて以来だ。打線の状態はなかなか上向いてこないが、それが良くない形で出てしまった。 粘投した投手陣に報いれなかったこんな試合では、野手陣のコメントも苦々しい。記事の文面では表情はうかがえないが、おそらく厳しい顔で絞り出すように取

すごいなビーズリー!【5/18 対スワローズ戦○】

どんな人材がいるかな……(鳴尾浜チェック) すごい経歴!(MLB経験あり) これほどの即戦力が!?(ファームで29イニング連続無失点) こんなピッチャーがいったいどこに!? \ビーズリー/ https://bizreach.biz/service/bizreach/ J.ビーズリーは開幕1軍を外れた。昨シーズン1年間をかけて作り上げた強固な先発ローテーションの中に、ビーズリーの名前はなかった。春のキャンプで体を痛め、アピールをする機会すら失われた。 もし僕がビーズリー

カヌレうまい【5/14 対ドラゴンズ戦●】

オフシーズンに放送される名物番組「球辞苑」で、地方球場が特集された。かつてスワローズなどでプレーした飯田哲也は「その地方ならではの食べ物が楽しみ」と番組内で語っていた。僕ら野球ファンが遠征先で名物を食べるようにプロ野球選手もまた、普段行かないところの食事を楽しみにしている。 ちょっとだけ、グラウンドの向こう側の選手が身近に感じられた。 豊橋市民球場で行われる1戦。名古屋からそう遠くないとはいえ、普段とは違う球場で、タイガースの選手も何か楽しみにしているものがあるかもしれない

才木浩人がすごかったんだよ【5/12 対ベイスターズ戦○】

才木浩人が先発する日は、なるべくプレーボール前から試合を見ていたい。1球目を投げる前からじっくり見たいものがあるからだ。 マウンドの前帽子を脱ぎ、目をつぶって一礼。肘のトミー・ジョン手術をして、投げられない時期を経て戻ってきた才木は、投げる前にこうして感謝の気持ちを表すようになった。マウンドでは豪快、それ以外では飄々としたイメージの才木だけど、きっと本当は1つ1つのことを大事にできる丁寧な人なんだと思う。そして球場で才木のこの所作を見るたび、なんだか客席で見ている僕まで「応援

激戦の帰り道で思い出したのは、大山悠輔の心遣い【5/11 対ベイスターズ戦●】

関東の球場に遠征する際は、実家への帰省も兼ねることにしている。横浜スタジアムまでから自宅までは電車で1時間半くらい。試合のことを振り返る時間は十分すぎるくらいにある。京浜東北線の車内から景色を眺めながら思い浮かんできたのは、大山悠輔だった。 8回表1アウト1塁で迎えたこの日の第5打席。ベイスターズ・山﨑康晃の初球が大山の方へ抜けていった。大山はボールを避けきれず、肩の近くにボールが当たった。あと少しで頭に当たるんじゃないかってくらい、怖い球だった。 怒号が混じったざわつきが

僕は迷わずレフトスタンドで宮﨑敏郎の名前を叫んだ【5/10 対ベイスターズ戦◯】

外野席から見ている分には、本当に何が起きたのか分からなかった。僕が見ていたレフトスタンドからは、打球がどうしてあんなに高く弾んだのか分からなかった。最初は井上広大の打球が捕球される前にサードベースに当たったのかと思った。サードの宮﨑敏郎も最初は打球を追いかけていたから、まさか直撃しているなんと思いもしなかった。だが六甲おろしを歌っている途中で、僕も周りのファンも様子がおかしいことに気づく。 最初にトレーナーと担架が出てきた。次に首を固定するストレッチャーが出てきた。それでも

試行錯誤の途中【4/27 対ホークス2軍戦●】

昨シーズンのあるときから、井上広大は打席で足をあまり上げなくなった。今シーズンも井上は打席内で足をほとんど上げない。いわゆるノーステップ打法だ。 「ノーステップ打法」で検索をかけてみると、直後に「飛ばない」と出てくる。たしかに足を上げて体重移動を行わない分、踏み込みの勢いを力に変えることは難しい。他のプロ野球選手が積極的に取り入れない事情から考えても、これはこれで難しい打ち方なのだろう。 5回を終えて、タイガースは無得点が続いていた。まあ無理もない。2軍戦とはいえ、ホーク

6球目を見送った佐藤輝明を、僕は責める気にならない【5/7 対カープ戦●】

勝負の分け目は8回裏にやってきた。 4番の大山悠輔が四球を選ぶ。2点ビハインドながら1アウト満塁のチャンス。これ以上ないチャンスで佐藤輝明に打席が回ってきた。満塁になったところで、カープのピッチャーは島内颯太郞に交代した。 佐藤輝は初球からスイングをかける。高めのストレートはファウルになって甲子園はどよめいた。2球目、インハイに外れてボール。3球目、4球目もボールになった。打つべき球を見極められているように見える。甲子園のざわめきは一際大きくなった。5球目はストレートが再び

ブルペンの柱・岩崎優に伝えたいこと【5/5 対ジャイアンツ戦○】

14試合登板。防御率0.64。ホールド6。セーブ4。 今日の試合が始まるまでの岩崎優の成績だ。これ以上ないくらいの働きをしてくれている。チームに欠かせない存在だ。 だがファンの印象に残るのはこれまで抑えてくれた試合じゃなくて、1点を失った昨日の試合。8回に登板して1点を追いつかれた。勝ち越しは許さなかったが、タイガースは延長戦で力尽きた。 序盤の1点と終盤の1点は重みが違うし、相手だってなりふり構わずに点を取りに来る。守り切る難易度は同じじゃない。それなのにリリーフは抑えて

浜地酒造に行ってきた【5/3 対ジャイアンツ戦●】

球場でときおり見かける「浜地酒造」と書かれたタオルを掲げるタイガースファン。 甲子園球場で売られているヨーグルト甘酒。 浜地真澄の実家が酒蔵なことも、前と比べてだいぶ知られるようになってきた。 浜地のご家族が経営している浜地酒造(杉能舎)は、福岡県の市街地からそこまで遠くない。博多駅から電車とバスを乗り継げば1時間程度で着くし、車なら下道でも40分くらいだ。福岡に引っ越してから浜地の実家は、僕にとって半日あれば行ける場所に変わった。 ゴールデンウィークの市街地はどこも混雑し

緊張の糸が張り詰める中で【5/1 対カープ戦▲】

9回は両チーム共に無得点に終わり、勝負は延長戦に突入した。延長10回のマウンドに上がったのは、今季現役ドラフトで加入した漆原大晟だった。 タイガースは6回から継投策に入っていて、漆原の前に4人の投手が登板している。ブルペン陣がよく粘ってくれているけれど、こういう展開の試合は回を追うごとにその緊張は大きく、重くなっていく。 漆原は先頭打者に四球を出した。続く打者に送りバントを決められ、サヨナラの機運が高まるカープファンから歓声が起こる。さっき投球練習を終えたばかりな気がしたの

バッテリーで勝つ【4/30 対カープ戦○】

昨年同様、タイガースの投手陣は盤石そうだ。投手によっては昨シーズンからの疲労があるかもしれないし、他球団からのマークも厳しくなっているはず。そんな中で高いパフォーマンスを発揮するのは容易ではないはずだ。 好調な投手陣の裏には、キャッチャー陣の頑張りもあるのだろう。 梅野隆太郎のコンディション回復が開幕までに間に合ったこともあって、今のタイガースは梅野と坂本誠志郎がだいたい半分ずつ出番を分け合っている。ゴールデングラブ賞を受賞した選手同士が共闘しているチームはタイガースだけだ