とき子

転勤族の妻、そして小学生の母。 40後半、まだまだ私は私を知らない。 『にじいろの「…

とき子

転勤族の妻、そして小学生の母。 40後半、まだまだ私は私を知らない。 『にじいろの「はなじ」』 『なけなしのたね』 STORES にて販売中   毎週月曜14時30分FM千里で自分のエッセイ朗読してます  https://www.jcbasimul.com/fmsenri

マガジン

  • たねから咲いた花🌸

    noteを続けてきたことで頂いた感想。 紹介してくださった方からいただくお花🌼を集めます。

  • 物語

    少しずつ書けた物語

  • ぬか漬け部

    • 65本

    ぬか床に関するこんなことやあんなこと。 「こんな時、どうしてる?」とほかの人に聞いてみたいことや、「聞いて聞いて、大発見!」とぜひとも報告したい発見などなど、熱烈歓迎いたします! 入部希望の方はコメント欄等でお知らせください♪ ヘッダー画像のぬか床は、清世さんが描いてくれた作品です。

ストア

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    つるるとき子の本を作る理由

    【内容】文学フリマで一緒に本を売ったり、互いの本にエッセイを書き合ったりしているつる・るるるととき子が「文学フリマ」をテーマにした小冊子を作りました。つるは「文庫本が110円で手に入る時代に、本を買ってくれる人がいること」を大幅リライト版、とき子は書き下ろし「文学フリマでお会いしましょう」を執筆。表紙のイラストは、KaoRu IsjDha。A5判、16ページ。【著者紹介】つる・るるる: 1994年生まれ、湘南育ち。みみっちい日常を綴りがちなぬか好き。著書にエッセイ集『春夏秋冬、ビール日和』『「お邪魔します」が「ただいま」になった日』『羽ばたく本棚』がある。文フリの思い出は、「KaoRuさん作のお揃いTシャツで本を売ったこと」。https://note.com/tsururururuとき子:1977年生まれ、茨城育ちの転勤族。北海道、九州、四国を経て現在大阪在住。何弁でもすぐマスター出来る自信あり。著書にエッセイ集『なけなしのたね』『にじいろの「はなじ」』。文フリの思い出は、「文フリの片隅で悲喜交々を叫びがち」https://note.com/toccodoccoKaoRu IsjDha:1980年生まれ、2002年9月よりチェコ共和国在住。元アニメーターの絵描き。文フリの思い出は、「ボソっと一言」。https://note.com/dinor1980
    ¥200
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    にじいろの『はなじ』

    エッセイ集第二弾は『はなじ』です。それは鼻血であり、話であり、花字。日々の妄想、過去の失敗、家族の笑い話などなど、日常をさまざまな色に分けて出力してみました。つる・るるるさんによる書き下ろしエッセイ、橘鶫さん、玉三郎さんの絵から生まれた物語を含む19篇。【目次】赤の糸  あの日一度散った私たちは最強になった、かもしれない リボ払いに負けた女橙の家  アリエッティ、それは借りない方がいい この出会いこそサプライズ 涙のワケには色々あって黄色い熱風 モハメド・オリ・ベーグル ハワイを思って日本の名店を思い出す アツいのは夜だけでなくグリーンメモリーズ パンジーヤンキー① ただいま パンジーヤンキー② ぶん投げる過去 パンジーヤンキー③ またね青色の日々 梅ソーダカントリーロード 言の葉の庭白い友達の桃色 エクセレントなネクター(つる・るるる)インディゴの箱 いつかの花束をあなたへ 散らし先生とご隠居ルンバ そこに悪意はあったのか紫の空想【物語】 世界の終わりにあるものは ふたりはともだちあとがき (つる・るるる)【著者紹介】転勤族の妻、そして小学生の母。40半ば、まだまだ私は私を知らない。妄想しながら笑って過ごす鼻息荒めの主婦。なぜかとても象が好き。note:https://note.com/toccodocco
    ¥800
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メリー・モナークin大原田 第一話

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本日6月3日
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こちらから聴くことができます↓
https://www.jcbasimul.com/fmsenri

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本日5月27日
14時30分より15分間
FM千里でエッセイ読みます♪

本日のエッセイは娘の運動会!
https://note.com/toccodocco/n/nc94b71f3c3b7

こちらから聴くことができます↓
https://www.jcbasimul.com/fmsenri

運動会、晴れるといいですね!

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本日5月20日
14時30分より15分間
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本日のエッセイはパンジーヤンキー②
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「お母さん……ワヒネ、出たかったんだ……」  姉ちゃんが、呆然としたように呟いた。  その言葉を聞いて、母さんが長い髪をくるくると頭上に巻く仕草を唐突に思い出す。…

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メリー・モナークin大原田 第一話

 ずっしり空気の重くなったリビングのコタツで、その引力に負けたように父さんが急に頭を下げたので、俺はギョッとした。
 思えば、父さんが家族に頭を下げるところなんて見たことがない。てっぺんがだいぶ薄くなったなと、少し自分の頭を心配したところに、姉ちゃんがふぅーと小さく息を吐いて
「私たちじゃなくてお母さんに頭を下げてよ。まぁ、それも今更だけど」
 と冷たい口調で言った。父さんは、頭を下げたまま、小さ

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本日6月3日
14時30分より15分間
FM千里でエッセイ読みます♪

本日のエッセイはヒュルリラ結婚式!
https://note.com/toccodocco/n/na4e11c092e19

こちらから聴くことができます↓
https://www.jcbasimul.com/fmsenri

ワンフレーズ歌いました😂

あとがきにて曲をお届けです!

あとがきにて曲をお届けです!

終わった…書き終わりましたよう!
ここまで読んでくれた方、本当にありがとうございます!
まさか、毎日更新になるとは思いもかけず。
いやだって、早くラストを書かないと、不安でたまらなかったんですもの。
何が不安て?
「恋愛始まらねーぞこんちくしょう!」
という、私の気持ちや、その他あれやこれや、とにかく不安。

創作大賞、始まったら絶対参加するんだーい!と思ってました。
それで、前回の見切り発射を反

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本日5月27日
14時30分より15分間
FM千里でエッセイ読みます♪

本日のエッセイは娘の運動会!
https://note.com/toccodocco/n/nc94b71f3c3b7

こちらから聴くことができます↓
https://www.jcbasimul.com/fmsenri

運動会、晴れるといいですね!

メリー・モナークin大原田 最終話

メリー・モナークin大原田 最終話

「……という、フラッシュモブの主役をかっさらう、全く空気が読めない男です!」
 真咲の話に、会場がどっと笑いに包まれる。
「しかも、一度はフってしまう姉ちゃんも、空気が読めない女です!」

 あの日、ピンクのレイを持って走ってきた友也くんに、私は心の底からギョッとした。落ち着け友也、よく考えろ、私たちは、まだ2回しか会った事がない!
 男女それぞれが遠方に住むため、合同練習の時間が取れず、リモート

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メリー・モナークin大原田 第十二話

メリー・モナークin大原田 第十二話

 その日は朝から晴れていた。5月にしては少し暑すぎるんじゃないかという日差しに反して、潮風は冷たさを含んだ心地のいいものだった。
 医療用ウィッグコレクションは2つに増えていた。ひとつはニット帽用、ひとつは、昼寝から起きた時に、慌てて着ける用だと言う。今日は、薄いブルーのコットンニットの帽子に、クルンとカールされたウィッグが覗いていた。
 念の為にと姉ちゃんが先生に確認を取ったら、「風邪だけは絶対

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メリー・モナークin大原田 第十一話

メリー・モナークin大原田 第十一話

「これを完璧にできたら」
円花さんの出している紙は、いわゆる振り表というもので、フラダンスの振り付けが、歌詞と共に描かれているものだった。パッと見ただけでも、それがペアの動きのものであるのがわかる。
「……花花の!」
 先に反応したのは友也だった。姉ちゃんは動かない。
「……そこまでの勘は戻らないよ」
 円花さんから目を逸らす姉ちゃんは、いつもの姉ちゃんではない。あの日の姉ちゃんだ。

「どうして

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メリー・モナークin大原田 第十話

メリー・モナークin大原田 第十話

「花乃さんの家は、夜に洗濯するんですね」
 和室の隣の縁側にあたる廊下で洗濯物を干していると、友也くんが和室の入り口から申し訳なさそうに首を出して話しかけてきた。
「うん、お母さんがフルタイムしてた頃からの名残で。ここに干しとけば、日中も日があたるしね。てゆうか、どした? 入っていいよ?」
 そういうと、
「いや、洗濯物はお手伝いしない方がいいかなって」
 照れくさそうに、細い目の際を掻いている。

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メリー・モナークin大原田 第九話

メリー・モナークin大原田 第九話

 寒さが緩む日がふっと訪れて、春が来たかと気持ちも緩む。その頃合いを見計らってか、「まだ油断するなよ?」と言わんばかりに寒風吹きすさび、勝手に裏切られた気持ちになってくしゃみをひとつ。梅の木に雪がちらついています、というニュースが流れた頃、いよいよ母さんの脱毛が始まった。それに備えて、ベリーショートになっている。
 こないだ不意に思い出した、腰までロングヘアーだった母さんの後ろ姿を思い出す。くるく

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メリー・モナークin大原田 第八話

メリー・モナークin大原田 第八話

「『あの花花』って、アイドルグループじゃあるまいし……」
 私は、画面に映る3人の青年たちの顔を眺めながら顔を顰める。
 ちょうど、リモート業務が終わった時にビデオ通話が来たので、つい出てしまった。真咲がドアップで
「姉ちゃん、姉ちゃん!」
 と叫んでいる。いい歳して5歳も離れた姉に、そんな嬉しそうにビデオ通話をするかねぇと呆れていると、後ろから、ポワポワとした素朴な顔をした青年が
「ああああ! 

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メリー・モナークin大原田 第七話

メリー・モナークin大原田 第七話

 4月に披露する舞空の練習を終えたあと、恩田先輩に我が家の事情を話すと、思った以上に真剣な顔で聞いてくれた。我が家の一大事というところまでは説明していた友也も、隣で一緒に頷いている。フラダンスの説明のくだりで口をポカンと開けていたが、当然の反応だとスルーした。最後まで全部頷いていてくれた恩田先輩も
「で、どうしてもフラダンス? 俺たちの舞空だとダメなのか?」
 と、腕を一本は真横に、一本は胸の前に

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本日5月20日
14時30分より15分間
FM千里でエッセイ読みます♪

本日のエッセイはパンジーヤンキー②
https://note.com/toccodocco/n/nb6d7d8ff778e

こちらから聴くことができます↓
https://www.jcbasimul.com/fmsenri

ヤンキーの理由は③まで明かされないけども🤣

メリー・モナークin大原田 第六話

メリー・モナークin大原田 第六話

 工藤円花の家は、木々の向こうに遠く、海が見える。あの、ほんの少しだけしか見えない水平線に、それでも心が奪われるのは、ここが円花の家だからなのだろうか。
 玄関横には広々としたウッドデッキがあって、十数名ほどならそこで踊れるだけの広さがあった。青空の下で踊れる贅沢な作りだ。そこから続く室内は大きな掃き出し窓になっていて、白い壁に囲まれた空間が広がっている。まさに理想のレッスン室だった。
「ちょっと

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メリー・モナークin大原田 第五話

メリー・モナークin大原田 第五話

 姉ちゃんが、しばらく実家にいると聞いて少し安心した。
 本当なら大学生の俺の方がよっぽど暇だと思うのだが、正直、俺と父さんでタッグを組んだところで、母さんを悩ませるだけな気がする。さらに俺の部屋の混沌具合を知ったら母さんの病状は悪化するに違いない。病気の人にそこを連想させるのはリスキーすぎる。
 姉ちゃんに感謝しつつ、今後の母さんの入院や、手術の日程、薬物療法の予定を、帰る前におおまかに家族で共

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メリー・モナークin大原田 第四話

メリー・モナークin大原田 第四話

「メリー・モナーク!?」
 素っ頓狂な声を出す真咲は、どうやらそれが何かわかっているらしい。私は、お父さんに向かって説明をすることにした。
「メリー・モナーク。ハワイでやるフラダンス最高峰の大会ね。お母さんが、毎年DVDを買って観てるやつ。コロナで中止になった時、どれほど嘆いていたか覚えてるでしょ? お母さん、死ぬまでに一度は生で観たいってずっと言ってる」
 死ぬまでに、と自分で言ってしまってから

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メリー・モナークin大原田 第三話

メリー・モナークin大原田 第三話

「お母さん……ワヒネ、出たかったんだ……」
 姉ちゃんが、呆然としたように呟いた。
 その言葉を聞いて、母さんが長い髪をくるくると頭上に巻く仕草を唐突に思い出す。腰まである髪の毛が、母さんの手によってどんどん球状に丸まっていくのが不思議でたまらなくて、それを抑えている髪ゴムを引っ張って、子供の頃よく怒られた。
 あの長い髪の毛、そういえばいつ切ったんだろう。今の母さんは、肩にもかからないショートカ

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