'22.11.7.より、新マガジン「俳句幼稚園~弐~」へ移行いたしました。
つる・るるる
埼玉と別れ、彼氏(のちに夫)と住みはじめてからの日々の話です。まだまだ、みみっちく生きていきたい。 ヘッダー画像はKaoRu IshiDaさんが描いてくれたオマール婚です♪
2022年・夏ピリカグランプリ応募作品マガジンです。 (募集締め切りましたので、作品順序をマガジン収録順へと変更いたしました)
「お電話ありがとうございます。◯◯図書館です」 受話器を取って相手の名前やお問い合わせ内容をざっくり伺い、「では担当者に代わりますね」と保留を押して内線に繫ぐ。 4月に入職してから約一ヶ月、業務の三分の一くらいを電話番が占めている。 直接何かに対応するというのではなく、あくまで担当者に引き継ぐまでがいまの私の仕事だ。 先週のことである。 「はい、はい。それでは……」と言いながら担当の先輩の手が空いているかどうかを首を伸ばして確認しようとしたら、先輩がくるりと振り返り「わたし
「30を越えたあたりから、全然眠れなくなったよね」 初めてそう耳にしたのは、母親と親戚の会話だったように記憶している。 登校ギリギリまで眠っていたい子どもだった私は、その言葉にしびれるような羨ましさを覚えた。 当時の私は、横に猫のぬくもりを感じれば寝て、宿題に飽きては寝て、いい感じの日なたがあればそこに座布団を引きずっていって寝ていた。 そんな私でも、30歳になれば眠れなくなるのだろうか。 それならば早く、一刻も早く、30歳になりたい。 そうやって自分の30歳の誕生日を、心
なんか、私ばっかりトイレットペーパーを買ってる気がする。 そう気がついてしまったのは、noteのお題「#家事分担の気づき」がきっかけだった。 主催者もこんな「気づき」は求めてないだろうに。 一緒に住み始めてから約二年、私と夫はお互いのこだわりに合わせて家事を炊事と掃除に大別し、そこそこ円満に暮らしてきた。 「安上がりに健康に」がモットーの私が玄米とぬか漬けを軸に据えた食事を作り、花粉を憎悪し猫アレルギーに苦しみほこり撲滅を心に固く誓っている夫が、鍛え上げた筋肉を生かして掃除
もしかしたら、水色の服を持っていないかも。 そうハッとしたのは、ミッチーこと及川光博氏が「今年のツアーのテーマカラーは、スカイブルー(水色)です」と発表したときのこと。ミッチーのワンマンショーでは、観客のかなりの割合がテーマカラーを身に着けて踊り狂うのが恒例だ。 ところがクローゼットを開けると予感的中、スカイブルーどころかそもそもパステルカラーの服が一枚も存在しなかった。 動揺を静めるべく、いま持っている服を16色(参考:サクラクレパス)に分類してその割合を求めてみる。条件
「文フリ広島の日さ、あっちゃんの家に一緒に泊めてもらおうよ!」 「え、大丈夫ですか?あっちゃんさんがいいならありがたいですけど……」 「あっちゃんOKだってー!!!」 「マジですね?それならお言葉に甘えてしまうけど、本当の本当にいいんですね?」 そんなあまりにも軽やかなノリに流されて、私は文学フリマの前日にとき子さんのお友だちのあっちゃんのおうちに泊めてもらうこととなった。 あっちゃんにとっては「友人とき子とネットで繋がっているつる・るるるを名乗る人物が泊まりにくる状況」で
【お知らせ】 結婚エッセイ『「お邪魔します」が「ただいま」になった日』残18冊となりました。 完売後はKindle版を作成するかもしれませんが、書籍版をご希望の方はご注文or取り置きのご連絡をいただけると嬉しいです。 https://tsuru-rururu.stores.jp/
東京から夜行バスで12時間かけて降り立った広島で、まさか自分がこんな気持ちになるとはまったく想像していなかった。 一週間前の記事では「めっちゃいい位置!イエーイ!」とか書いていたのに、お客さんたちが、私たちを真ん中に綺麗に両サイドに流れていく。 なすすべもなく見ていると、モーゼに割られた海のような気持ちになった。 よりにもよってなぜここを干上がらせようと思ったのだろうか。 目の前でお客さんが左右に分かれていくモーゼ状態とはいえ、ちょろりちょろりと私たちの横を通ってくれる人は
文学フリマ広島まで、残り約一週間。 本日2月17日、土曜日。 あと8日後の2月25日(日)には、我々は広島にいる。 嘘でしょう? ついこないだまで「あけおめ、ことよろ」とか言ってたくせに。 光陰矢の如しとは言うけれど、せめて矢じゃなくて紙飛行機くらいに速度を落としてくれないものだろうか。 文学フリマ広島は、規模としてはこれまで私たちの出たことのある東京や大阪ほど大きくはない。それに加え駅から会場まで少し距離があるため、おそらく会場の近隣の人と出店している人たちが主なお客さん
6月から勉強していた図書館司書の資格をついに取得し、約5年ぶりに就活に勤しんでいたある日のこと。 第三志望の図書館から面接の案内が届いた。 zoomでグループ面接と小論文をおこなうらしい。履歴書や職務経歴書を再読したりしていたら、あっという間に当日になった。 途中までは、すこぶる順調だった。 「図書館司書を志望した理由は」 「前職ではどのような経験を」 私は予想通りの質問の数々に内心ほくそ笑みながら用意しておいた答えをサクサク答え、三人の面接官はふむふむと頷いたり、メモ
「よさくの本をもらう会」 そのお誘い記事はまるで、おいしい餌のついたでっかい釣り針のようだった。 釣り人は、読書家でありマラソンランナーでもあり5月の文フリ東京に出ると噂のよさくさん。 先日の文学フリマ東京で、「ああ!釣りのアイコンの人!」と大阪のハーマイオニーに叫ばれた、あのよさくさんである。 ハーマイオニーの呪い呪文が強すぎて、もはやアイコンを見るたびに「釣り……じゃ、ないんだよね」と認識するようになってしまって申し訳ない。 ともあれ、そんなよさくさんが自身の本棚から
2024年は、とにもかくにも文を蓄える一年にしたい。 蓄えたい文章は二つある。 一つは「自分の文章」、もう一つは「人の文章」だ。 まず蓄えたいのが、自分の文章。 一人暮らし、二人暮らし、本の話を本にして、さて四冊目は何をテーマに作ろうかとぼんやり考えていたところ、ほんのひとときさんのコンテスト「#わたしの旅行記」で賞をいただいた。 生まれて初めて「受賞コメント」なるものを書いて、正直めちゃくちゃ調子に乗った。 いまなら豚よりも早く木に登れる自信がある。 これはもはや、天が
先日コソッと予告してしまったのですが、文学フリマ広島にとき子さんと出ます! 文学フリマ広島6 開催日:2024年2月25日(日)11:00~16:00 開催場所:広島県立広島産業会館 東展示館 第2・第3展示場 ブース名:つるるとき子書店 入場料:無料 ポスターはこちら! とき子さんのファースト作品集『なけなしのたね』はもともと、一昨年の文学フリマ広島で披露されるはずでした。 ところがコロナウイルスによる延期ととき子ファミリーの転勤により、その舞台は一時お預けに。 そ
私たち夫婦には、共通の趣味がない。 二人ともどちらかといえばインドア派とはいえ、休日の過ごし方は全然違う。 私はたいていお酒を飲むか本を読むか文章を書くかあるいはそれらすべてを同時に楽しんでおり、夫はゲームに全身全霊を熱く熱く傾けている。 出会ってから9年、結婚して1年。 これまで通りでも別に困らないっちゃ困らないけど、何か一つくらい一緒にできることがあってもいいよね。 そんな話をした数日後、『It Takes Two』というゲームをやらないかと夫に誘われた。 商品説明
何か、自分にできることを。 そう焦燥感を覚えたときに真っ先に献血が浮かぶのは、紛れもなく父の影響だ。 「血はお金じゃ買えないんだぜ」 得意げな父の笑顔が蘇り、赤十字のアプリから空き時間に予約を入れた。 私の父は、献血に行くことを「イサド」と呼んでいた。 宮沢賢治の『やまなし』に出てくる、あの「イサド」である。 まごうことなき脱線なのでうんと雑にまとめると、『やまなし』はこんな話だ。 「クラムボン」とは何か、「イサド」とは何か。文中ではその正体は明かされない。 小学校で『
そういえば昔、私は肝油ドロップが好きだった。 そう思い出したのは、年末の30日に胃腸炎にかかって病院に押し込まれ、処方箋を薬と引き換えてもらいに薬局に入ったときのこと。 見るまでは記憶の奥底にしまい込まれていた、肝油ドロップ。 初めてその名前を聞いたときには、「肝油」のべたべたした響きと「ドロップ」の甘美な響きのギャップがすさまじくてお世辞にも魅力的とは思えなかった。 しかし年末に母方の祖父母の家に行くと祖母が子どもたちを一列に並べて「一人二粒ずつよ」と念押ししながらあまり
「こういうことがあったので、ネットショップをやっているみなさまお気をつけて」的な記事を書きたいのに、「怪注文」ってなんなんだよって感じですよね。ごめんなさい。 ただ注文主の意図が私にはわからないうえに、注文主が悪意のない超絶不器用さんの可能性もなきにしもあらずなので(むしろそうであってほしい)、こんなぼやっとした書き方になっています。ご了承ください。 【怪注文の概要】私のネットショップでクレカ決済をした注文主が不正利用をしているかもしれないと、ネットショップSTORESから