つる・るるる

エッセイ集『春夏秋冬、ビール日和』『「お邪魔します」が「ただいま」になった日』、202…

つる・るるる

エッセイ集『春夏秋冬、ビール日和』『「お邪魔します」が「ただいま」になった日』、2023年の新刊『羽ばたく本棚』などを文学フリマやSTORES「つるる書店」にて販売中。ぬか漬けが好きです。 ヘッダー画像はKaoRu IsjDhaさんの作品です。素敵〜!

マガジン

  • ぬか漬け部

    • 65本

    ぬか床に関するこんなことやあんなこと。 「こんな時、どうしてる?」とほかの人に聞いてみたいことや、「聞いて聞いて、大発見!」とぜひとも報告したい発見などなど、熱烈歓迎いたします! 入部希望の方はコメント欄等でお知らせください♪ ヘッダー画像のぬか床は、清世さんが描いてくれた作品です。

  • エッセイ集のご感想・ご紹介など

    つる・るるるのエッセイ集『春夏秋冬、ビール日和』『「お邪魔します」が「ただいま」になった日』『羽ばたく本棚』のご感想やご紹介をまとめたマガジンです。書いてくださったみなさま、本当にありがとうございます!

  • 俳句幼稚園 ~壱~('22.11.6.まで)

    • 7,101本

    '22.11.7.より、新マガジン「俳句幼稚園~弐~」へ移行いたしました。

ストア

  • 商品の画像

    羽ばたくセット

    福袋が売りたい!そんな衝動に任せて、数量限定でお得なセットをご用意しました。①羽ばたく本棚(1200円)②橘鶫さんの「イヌワシのつがい」ステッカー(100円)③KaoRu IsjDhaさんの「乙姫つるる」ポストカードセット(500円)④限定小冊子『別冊「羽ばたく本棚」』(200円)以上、合計2000円相当の商品を1500円で販売します!限定小冊子『別冊「羽ばたく本棚」』は、『羽ばたく本棚』の座談会で鶫さん、KaoRuさんが推していた本を読んで書いたエッセイを収録。・背徳のホームズ、忘却のワトスン(シャーロック=ホームズシリーズ)・「何かが起こり狂う」小説は好きですか?(巨匠とマルガリータ)
    ¥1,500
    つるる書店
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    つるる&とき子の本を作る理由

    【内容】文学フリマで一緒に本を売ったり、互いの本にエッセイを書き合ったりしているつる・るるるととき子が「文学フリマ」をテーマにした小冊子を作りました。つるは「文庫本が110円で手に入る時代に、本を買ってくれる人がいること」を大幅リライト版、とき子は書き下ろし「文学フリマでお会いしましょう」を執筆。表紙のイラストは、KaoRu IsjDha。A5判、16ページ。【著者紹介】つる・るるる: 1994年生まれ、湘南育ち。みみっちい日常を綴りがちなぬか好き。著書にエッセイ集『春夏秋冬、ビール日和』『「お邪魔します」が「ただいま」になった日』『羽ばたく本棚』がある。文フリの思い出は、「ヨモツシコメがお客を呼んできた」。https://note.com/tsururururuとき子:1977年生まれ、茨城育ちの転勤族。北海道、九州、四国を経て現在大阪在住。何弁でもすぐマスター出来る自信あり。著書にエッセイ集『なけなしのたね』『にじいろの「はなじ」』。文フリの思い出は、「文フリの片隅で悲喜交々を叫びがち」。https://note.com/toccodoccoKaoRu IsjDha:1980年生まれ、2002年9月よりチェコ共和国在住。元アニメーターの絵描き。文フリの思い出は、「ボソっと一言」。https://note.com/dinor1980
    ¥200
    つるる書店

記事一覧

文学フリマという名の同窓会場

お顔は知らないけれど文章は知っている人と、初めて会う日。 何度か会っている人の、張り切っている姿を応援する日。 誰かの熱い思いがこもった、未知の本と出会える日。 …

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祖父の伸びしろ

母方の祖父は私が物心ついたときにはとうにベテランの「おじいちゃん」で、それ以外の生きものだったことなんてないように見えた。 彼にまつわる記憶の大半は、祖母にこっ…

82

癖の盗人

「お電話ありがとうございます。◯◯図書館です」 受話器を取って相手の名前やお問い合わせ内容をざっくり伺い、「では担当者に代わりますね」と保留を押して内線に繫ぐ。 …

つる・るるる
3週間前
108

眠れる森の三十代

「30を越えたあたりから、全然眠れなくなったよね」 初めてそう耳にしたのは、母親と親戚の会話だったように記憶している。 登校ギリギリまで眠っていたい子どもだった私は…

つる・るるる
1か月前
97

分けなかった家事のゆくえ

なんか、私ばっかりトイレットペーパーを買ってる気がする。 そう気がついてしまったのは、noteのお題「#家事分担の気づき」がきっかけだった。 主催者もこんな「気づき」…

つる・るるる
2か月前
102

スカイブルーが似合いたい

もしかしたら、水色の服を持っていないかも。 そうハッとしたのは、ミッチーこと及川光博氏が「今年のツアーのテーマカラーは、スカイブルー(水色)です」と発表したとき…

つる・るるる
2か月前
80

包み紙をラミネートする時代【文フリ広島 前日編】

「文フリ広島の日さ、あっちゃんの家に一緒に泊めてもらおうよ!」 「え、大丈夫ですか?あっちゃんさんがいいならありがたいですけど……」 「あっちゃんOKだってー!!!…

つる・るるる
2か月前
62

【お知らせ】
結婚エッセイ『「お邪魔します」が「ただいま」になった日』残18冊となりました。
完売後はKindle版を作成するかもしれませんが、書籍版をご希望の方はご注文or取り置きのご連絡をいただけると嬉しいです。
https://tsuru-rururu.stores.jp/

つる・るるる
2か月前
39

モーゼに割られた海の気持ち【文フリ広島 当日編】

東京から夜行バスで12時間かけて降り立った広島で、まさか自分がこんな気持ちになるとはまったく想像していなかった。 一週間前の記事では「めっちゃいい位置!イエーイ!…

つる・るるる
2か月前
87

私たちはどうイキるか

文学フリマ広島まで、残り約一週間。 本日2月17日、土曜日。 あと8日後の2月25日(日)には、我々は広島にいる。 嘘でしょう? ついこないだまで「あけおめ、ことよろ」と…

つる・るるる
3か月前
95

短所が思いつかねんだ

6月から勉強していた図書館司書の資格をついに取得し、約5年ぶりに就活に勤しんでいたある日のこと。 第三志望の図書館から面接の案内が届いた。 zoomでグループ面接と小論…

つる・るるる
3か月前
145

もらった本を継いでいく

「よさくの本をもらう会」 そのお誘い記事はまるで、おいしい餌のついたでっかい釣り針のようだった。 釣り人は、読書家でありマラソンランナーでもあり5月の文フリ東京に…

つる・るるる
3か月前
103

文を蓄える #2024ねんのゆめ

2024年は、とにもかくにも文を蓄える一年にしたい。 蓄えたい文章は二つある。 一つは「自分の文章」、もう一つは「人の文章」だ。 まず蓄えたいのが、自分の文章。 一人…

つる・るるる
4か月前
103

つるるとき子書店・広島進出のお知らせ

先日コソッと予告してしまったのですが、文学フリマ広島にとき子さんと出ます! 文学フリマ広島6 開催日:2024年2月25日(日)11:00~16:00 開催場所:広島県立広島産業…

つる・るるる
4か月前
62

病めるときも健やかなるときも、人形になったときも

私たち夫婦には、共通の趣味がない。 二人ともどちらかといえばインドア派とはいえ、休日の過ごし方は全然違う。 私はたいていお酒を飲むか本を読むか文章を書くかあるいは…

つる・るるる
4か月前
79

分け合う健康

何か、自分にできることを。 そう焦燥感を覚えたときに真っ先に献血が浮かぶのは、紛れもなく父の影響だ。 「血はお金じゃ買えないんだぜ」 得意げな父の笑顔が蘇り、赤十…

つる・るるる
4か月前
89
文学フリマという名の同窓会場

文学フリマという名の同窓会場

お顔は知らないけれど文章は知っている人と、初めて会う日。
何度か会っている人の、張り切っている姿を応援する日。
誰かの熱い思いがこもった、未知の本と出会える日。
文学フリマ東京に遊びに行った5月19日は、そんな、心躍りっぱなしの一日だった。

東京は今回から入場料が1000円。
多少お客さんが少なくなっていたら回りやすくてありがたいなぁ……。
よこしまな期待を抱きながらモノレールに揺られて会場に着

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祖父の伸びしろ

祖父の伸びしろ

母方の祖父は私が物心ついたときにはとうにベテランの「おじいちゃん」で、それ以外の生きものだったことなんてないように見えた。
彼にまつわる記憶の大半は、祖母にこっぴどく叱られている姿だ。

一人でうまそうなものを開けては「こういうときは他の人にも一声かけるもんだよ」と叱られ、晩御飯ができたと呼ばれたときに煎餅を開けてはタイミングが悪いと叱られ、歩きながら放屁しては汚いと叱られ、立ち上がって自分の用だ

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癖の盗人

癖の盗人

「お電話ありがとうございます。◯◯図書館です」
受話器を取って相手の名前やお問い合わせ内容をざっくり伺い、「では担当者に代わりますね」と保留を押して内線に繫ぐ。
4月に入職してから約一ヶ月、業務の三分の一くらいを電話番が占めている。
直接何かに対応するというのではなく、あくまで担当者に引き継ぐまでがいまの私の仕事だ。

先週のことである。
「はい、はい。それでは……」と言いながら担当の先輩の手が空

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眠れる森の三十代

眠れる森の三十代

「30を越えたあたりから、全然眠れなくなったよね」
初めてそう耳にしたのは、母親と親戚の会話だったように記憶している。
登校ギリギリまで眠っていたい子どもだった私は、その言葉にしびれるような羨ましさを覚えた。
当時の私は、横に猫のぬくもりを感じれば寝て、宿題に飽きては寝て、いい感じの日なたがあればそこに座布団を引きずっていって寝ていた。

そんな私でも、30歳になれば眠れなくなるのだろうか。
それ

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分けなかった家事のゆくえ

分けなかった家事のゆくえ

なんか、私ばっかりトイレットペーパーを買ってる気がする。
そう気がついてしまったのは、noteのお題「#家事分担の気づき」がきっかけだった。
主催者もこんな「気づき」は求めてないだろうに。

一緒に住み始めてから約二年、私と夫はお互いのこだわりに合わせて家事を炊事と掃除に大別し、そこそこ円満に暮らしてきた。
「安上がりに健康に」がモットーの私が玄米とぬか漬けを軸に据えた食事を作り、花粉を憎悪し猫ア

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スカイブルーが似合いたい

スカイブルーが似合いたい

もしかしたら、水色の服を持っていないかも。
そうハッとしたのは、ミッチーこと及川光博氏が「今年のツアーのテーマカラーは、スカイブルー(水色)です」と発表したときのこと。ミッチーのワンマンショーでは、観客のかなりの割合がテーマカラーを身に着けて踊り狂うのが恒例だ。
ところがクローゼットを開けると予感的中、スカイブルーどころかそもそもパステルカラーの服が一枚も存在しなかった。

動揺を静めるべく、いま

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包み紙をラミネートする時代【文フリ広島 前日編】

包み紙をラミネートする時代【文フリ広島 前日編】

「文フリ広島の日さ、あっちゃんの家に一緒に泊めてもらおうよ!」
「え、大丈夫ですか?あっちゃんさんがいいならありがたいですけど……」
「あっちゃんOKだってー!!!」
「マジですね?それならお言葉に甘えてしまうけど、本当の本当にいいんですね?」

そんなあまりにも軽やかなノリに流されて、私は文学フリマの前日にとき子さんのお友だちのあっちゃんのおうちに泊めてもらうこととなった。
あっちゃんにとっては

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【お知らせ】
結婚エッセイ『「お邪魔します」が「ただいま」になった日』残18冊となりました。
完売後はKindle版を作成するかもしれませんが、書籍版をご希望の方はご注文or取り置きのご連絡をいただけると嬉しいです。
https://tsuru-rururu.stores.jp/

モーゼに割られた海の気持ち【文フリ広島 当日編】

モーゼに割られた海の気持ち【文フリ広島 当日編】

東京から夜行バスで12時間かけて降り立った広島で、まさか自分がこんな気持ちになるとはまったく想像していなかった。
一週間前の記事では「めっちゃいい位置!イエーイ!」とか書いていたのに、お客さんたちが、私たちを真ん中に綺麗に両サイドに流れていく。
なすすべもなく見ていると、モーゼに割られた海のような気持ちになった。
よりにもよってなぜここを干上がらせようと思ったのだろうか。

目の前でお客さんが左右

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私たちはどうイキるか

私たちはどうイキるか

文学フリマ広島まで、残り約一週間。
本日2月17日、土曜日。
あと8日後の2月25日(日)には、我々は広島にいる。
嘘でしょう?
ついこないだまで「あけおめ、ことよろ」とか言ってたくせに。
光陰矢の如しとは言うけれど、せめて矢じゃなくて紙飛行機くらいに速度を落としてくれないものだろうか。

文学フリマ広島は、規模としてはこれまで私たちの出たことのある東京や大阪ほど大きくはない。それに加え駅から会場

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短所が思いつかねんだ

短所が思いつかねんだ

6月から勉強していた図書館司書の資格をついに取得し、約5年ぶりに就活に勤しんでいたある日のこと。
第三志望の図書館から面接の案内が届いた。
zoomでグループ面接と小論文をおこなうらしい。履歴書や職務経歴書を再読したりしていたら、あっという間に当日になった。

途中までは、すこぶる順調だった。

「図書館司書を志望した理由は」
「前職ではどのような経験を」

私は予想通りの質問の数々に内心ほくそ笑

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もらった本を継いでいく

もらった本を継いでいく

「よさくの本をもらう会」
そのお誘い記事はまるで、おいしい餌のついたでっかい釣り針のようだった。

釣り人は、読書家でありマラソンランナーでもあり5月の文フリ東京に出ると噂のよさくさん。
先日の文学フリマ東京で、「ああ!釣りのアイコンの人!」と大阪のハーマイオニーに叫ばれた、あのよさくさんである。
ハーマイオニーの呪い呪文が強すぎて、もはやアイコンを見るたびに「釣り……じゃ、ないんだよね」と認識す

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文を蓄える #2024ねんのゆめ

文を蓄える #2024ねんのゆめ

2024年は、とにもかくにも文を蓄える一年にしたい。
蓄えたい文章は二つある。
一つは「自分の文章」、もう一つは「人の文章」だ。

まず蓄えたいのが、自分の文章。
一人暮らし、二人暮らし、本の話を本にして、さて四冊目は何をテーマに作ろうかとぼんやり考えていたところ、ほんのひとときさんのコンテスト「#わたしの旅行記」で賞をいただいた。

生まれて初めて「受賞コメント」なるものを書いて、正直めちゃくち

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つるるとき子書店・広島進出のお知らせ

つるるとき子書店・広島進出のお知らせ

先日コソッと予告してしまったのですが、文学フリマ広島にとき子さんと出ます!

文学フリマ広島6
開催日:2024年2月25日(日)11:00~16:00
開催場所:広島県立広島産業会館 東展示館 第2・第3展示場
ブース名:つるるとき子書店
入場料:無料

ポスターはこちら!

とき子さんのファースト作品集『なけなしのたね』はもともと、一昨年の文学フリマ広島で披露されるはずでした。
ところがコロナ

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病めるときも健やかなるときも、人形になったときも

病めるときも健やかなるときも、人形になったときも

私たち夫婦には、共通の趣味がない。
二人ともどちらかといえばインドア派とはいえ、休日の過ごし方は全然違う。
私はたいていお酒を飲むか本を読むか文章を書くかあるいはそれらすべてを同時に楽しんでおり、夫はゲームに全身全霊を熱く熱く傾けている。

出会ってから9年、結婚して1年。

これまで通りでも別に困らないっちゃ困らないけど、何か一つくらい一緒にできることがあってもいいよね。
そんな話をした数日後、

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分け合う健康

分け合う健康

何か、自分にできることを。
そう焦燥感を覚えたときに真っ先に献血が浮かぶのは、紛れもなく父の影響だ。
「血はお金じゃ買えないんだぜ」
得意げな父の笑顔が蘇り、赤十字のアプリから空き時間に予約を入れた。

私の父は、献血に行くことを「イサド」と呼んでいた。
宮沢賢治の『やまなし』に出てくる、あの「イサド」である。

まごうことなき脱線なのでうんと雑にまとめると、『やまなし』はこんな話だ。

「クラム

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