画像1

私のセルフチェックシート【音声と文章】

山田ゆり
00:00 | 00:00
都会に住む二女が帰省した。
新幹線で帰るから駅まで迎えに行く。

いつもだったらのり子がしっぽをバフバフ振りながら車で迎えに行くのだが、あいにくその日はズームが行われる日であり、迎えに行く時間が丁度、準備で忙しい頃に重なった。

娘たちにそのことを話しして、結局三女が車で迎えに行くことになった。


三女の運転する車に乗って二女が帰宅した。
ワインレッドのキャリーケースを床にドタッと置き色違いのネイルが施された指が解放されたことを喜んでいた。

おみやげはいいからと言ってあるが今回もいくつか買ってきてくれた。



「これ、絶対美味しいから。」
二女は美味しいものしか買ってこない。そして人に勧める時に「粗末なものですが」なんて絶対言わない。
「美味しいから食べてみて」と言う。


自分の部屋で着替えた二女がピンクのTシャツを着て下に降りてきた。

学生時代、ソフトボール部で鍛えた体は現在も健在だ。2日に1回は会社の帰りにスポーツクラブに行っていることもあり、広い肩幅、引き締まった体形は二女の性格そのものだ。
二女の身体の周りに光が溢れている。


「今日の晩御飯は何?」
「ごめん、今日はありものしかない」

本当は二女のためにご馳走を作りたかった。
しかし、毎日会社と家の往復で、のり子は準備ができなかった。もっと計画的に生きたいとのり子は自分に言い聞かせた。


「オッケー。」
二女は冷蔵庫の中のモノを電子レンジで温めながらご飯を食べた。




二女がさくら祭りに行きたいと言ってきたので、翌日、のり子と二女は桜の名所である公園に向かった。


年々、桜の開花は早まって来ている。
のり子が小学生の頃は、お花見と言えば4月29日~5日頃が一番の見ごろだった。ゴールデンウイークと桜の見ごろがぴったりなこともあり、「日本一の桜」と言われ全国各地から観光客が訪れ賑わっていた。

しかし、年々、地球の温暖化が進み、今では4月下旬頃で花は散ってしまうようになってきた。

のり子と二女が行ったその日もメインの桜はほぼ散ってしまい、緑の葉っぱの景色が多かった。
花筏を期待していたのり子だったが、水面には花びらは全く落ちていなかった。


花は散ってしまったがそれでも公園に行きたい二女の狙いはお店で売っている食べ物が目当て。

あれも食べたい、これも食べたいと、お店を通るたびに二女が言う。何事にも興味を持つ二女をのり子は尊敬するのだ。


のり子は自分よりも娘たちを最優先にしてしまう性格だから、つい、自分のやりたい事を押し殺してしまう。


そして、自分は何をしたいのか、何をしたら自分は喜ぶのか、それがいつの間にかわからなくなっているのだ。



自分はどうでもいいから娘たちが良ければそれでいい。
会社にいても自分はいいから、周りがよければいい。

そう思ってつい過ごしてしまっている。



だから、自分が中心だと信じて生きている二女といると、自分はこのままではいけないとのり子は感じる。




まずは自分なのだ。
自分を満たしたい。


自分が我慢して相手が良ければそれでいいという考え方は一見、美しいようで実は全くそうではない。


例えば、目の前に美味しそうなサンドウィッチが1個あり、お腹のすいている自分は食べたいと思うが傍にいた我が子にあげる。

お腹がいっぱいの我が子はそれほど食べたいとは思わないが与えられたから食べる。

自分は我が子が喜んでくれると思って期待するが、子どもはお腹がいっぱいの状態なのに食べたからそれほど喜んではくれない。


自分が食べたいのを我慢してまでサンドウィッチを上げたのに・・・とつい、自分は思ってしまう。



このカタチである。
自分が満たされていないのに他人を満たそうとするのには無理があるのだ。



まずは自分。
自分を満たしたらその次が他者。
この順番をのり子は分かってはいるが時々忘れる。




二女の帰省はのり子のセルフチェックシートのようなものである。





※note毎日連続投稿1900日をコミット中! 
1824日目。
※聴くだけ・読むだけ・聴きながら読む。
どちらでも数分で楽しめます。#ad 


私のセルフチェックシート

この記事が参加している募集

サポートありがとうございます💖サポートされたお金はプリンターのインク購入に使わせていただきます🤣60代ですが毎日noteを執筆中です😄素敵なnoterさんへ恩送りさせていただきます🎁kindle書籍も出版しています📚