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空色の花 街をさまよい 小さな花屋をみつけた 店先には小さな花が並んでいた 悲しみの花をひ…
白い夢 朝方の窓辺は 白い夢となり 僕は故郷の庭を思い出していた 灰色の土に 赤いダリア…
こんにちは。森雪拾の詩集「ゆめのゆれ木」のご紹介です。 詩集の一部を…
夜の列車 雨の夜の列車は 静けさのうちに 駅に停っている 人はまばらで 僕もまたとりとめのな…
ピアノの家 柔らかな夕暮の気配に包まれて 街は今 褐色の世界へと沈んでいく かつて 君…
夏の木 硝子の珠をゆらし 夕日に輝いた緑葉が 火のように燃えている 川上から風が吹くたび …
あの日のユリ 夏闇に浮かんでいる 白く灯った百合の花 彼女の涼し気なリンネルの袖口 山から吹く風にゆれて 百合の花は語りかける 彼女は白い服がよく似合っていた 息せき切って登ってきた僕をみて あの日のように微笑んでいた気がして (森雪拾)
霧の高原で 去りゆく日々を 追うことはもう無いだろう 愛はけして裏切らなかった 明け方の空…
空いちめんに 空いちめんに鐘の音 語りつづける鳥たち 君が信じた永遠は夢のなかに 眠りのう…
夕暮の湖で 樹木に宿る 火の命が燃えている たがいに競い合い 傷つけさえもいる 湖水は涼し…
ひかり 光 白いかがやきの真空 脳内物質の変化 目がいたい 夏空に反射して 音のない轟音で …
初夏の庭で 初夏の庭は花盛りです 朝は爽やかな香りに満ちています あなたの緑色の服はよく…
岬の風 古の人びとが夢見た 沖にあるという幻の国 誰も見たことのなかった 理想の世界から 今…
砂の記憶 古びた机のうえに 置かれたままの 夏が残っていた だれかの語りつづける 言葉が漂う夜ふけ あの日 訪れた岬の岩は 少しずつ崩れていくだろう 静けさの海の闇には 小さな灯りが燈されていて 緑青色に指先を染めている すべてが眠りについたというのに 乾いた砂の記憶が 部屋の窓辺に現われては消えて 繰り返す日々の中に 変らぬもののあることを 祈りにもならない言葉で わずかでも記していくだろう (森雪拾)