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日本一周 九州編

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日本一細かい九州旅行の記録。
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【日本一周 九州編1】 そうだ、九州に行こう

【日本一周 九州編1】 そうだ、九州に行こう

・出発準備

 九州旅行の最初の鬼門は、旅程を立てることだった。今回の旅行は、経済的制約と、時間的制約と、効率面を加味した結果、8泊9日かけて、九州地方を反時計回りに移動するスケジュールに決定した。今回で、沖縄を除く九州全県を、一気見してやろうという算段だ。

 今回は2人旅ということで、レンタカーも宿も2人で割り勘しないといけない。レンタカーに関しては、お得意の優待券を底値で大量に仕入れておいた

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【日本一周 九州編2】 飛行機とかいう亜空間転送装置

【日本一周 九州編2】 飛行機とかいう亜空間転送装置

・貧弱な扇

 福岡空港に到着して、飛行機では座席の離れていた尾道と再会した。すると、「あの大学生のグループほんとうるさかったね」と不満を吐露していた。よもやこれは、あの機内の乗客の共通認識になっていた。

 朝から何も食べずに飛行機に揺られ、気づけばもう13時過ぎになっていた。これはいい加減何かお腹に入れなければ。空港内を奔走し、九州上陸一食目という大役をになったのは吉野家の豚丼であった。

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【日本一周 九州編3】 旅立ちはニッポンレンタカーから

【日本一周 九州編3】 旅立ちはニッポンレンタカーから

・イニシアチブの不在

 空港前のニッポンレンタカーで受付をしていると、じゃらんの割引と株主優待券(メルカリで仕入れた)の併用ができないことがわかった。

 店員さんと話し合った末、優待券を使うために予約を取りなおしてもらうことになったのだが、応対してくれたおじさんは苦戦しているようである。となりの窓口で客の対応をする上司(おじさんよりも若い)に何度も聞きに行きながらやってくれて、それでも上手くい

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【日本一周 九州編4】 九州国立博物館〜九州が主人公の日本史〜

【日本一周 九州編4】 九州国立博物館〜九州が主人公の日本史〜

 大学の講義において、九州随一の博物館としていくどとなく耳にした九州国立博物館へやってきた。1年ほど前、青春18切符をつかって尾道と入り口まで来たことはあったのだが、旅程の関係で入館は果たせていなかった。一年越しの夢がいま叶う!と勇み、そぼふる雨は意に介すことなく入り口へまわり込んだ。入館すると、受付の気さくなおばさんが「荷物はあそこに預けるといい」とか、「入館カードを書くんだよ」とか親切にアドバ

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【日本一周 九州編5】 素敵な税金の使い方

【日本一周 九州編5】 素敵な税金の使い方

 九州国立博物館に向かう途中で、偶然にも「牧のうどん」の横を通過した。ここはちょうど1年前の青春18きっぷ旅行で、ハガキ職人仲間の方々に、うどんをご馳走して頂いた思い出深いお店である。(詳細はまたいつか)

 そんな「牧のうどん」を眺めていると、自然と当時の思い出がよみがえってくる。「初対面だったけどすごく親切にしてくれたな」とか、「別れ際にイチゴ大福となんばん往来を持たせてくれたな」とか、車窓越

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【日本一周 九州編6】 飛梅伝説と謎の石像

【日本一周 九州編6】 飛梅伝説と謎の石像

・太宰府天満宮動物彫刻談義

 九州国立博物館から太宰府天満宮へは、トンネル内を進む長いエスカレーターを降りていけばよい。内部はカラフルな照明によって彩られ、ワープゾーンさながらの光景である。左手の壁には、九博で行われた歴代企画展のポスターがずらーり並んでいる。「これ行きたい!」と思っても、どれも遠い昔の出来事であるから生殺しの所業に身をやつすことになる。

 ところで、こういったポスターは昔のも

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【日本一周 九州編7】 「唐破風」病

【日本一周 九州編7】 「唐破風」病

 九博から伸びるなが~いエスカレーターを下ると太宰府に到着する。雨上がりで濡れた石畳を本殿目指してテクテク歩き楼門をくぐる。

 奥に構える本殿の向拝には唐破風(からはふ)が施されていて、おでこには太宰府の象徴、梅の花のレリーフが輝く。ちなみに「唐破風」とは城郭建築の屋根に見られる、"緩い山形をした部分"のことを指す。字面だけで理解するのは難しいが、実物を見れば誰もが一発で「アレね!」となるアレの

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【日本一周 九州編8】 もつ鍋の本場でもつ鍋を食べる

【日本一周 九州編8】 もつ鍋の本場でもつ鍋を食べる

 太宰府天満宮から博多駅までは、4ヶ月前に免許を取ったばかりの尾道が運転した。案の定、左折のカーブが大きすぎて曲がった先の右折レーンの車と向かい合ったり、博多駅のコインパーキングでの駐車にてこずったりと、ひやっとする場面に多々遭遇した。

 しかし、運転に関するあれこれを横から口出しするのは賢明ではない。運転してもらっている手前、どれだけオブラートに包んでもどこかしら角が立ってしまう。しかも、これ

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【日本一周 九州編9】 同じ釜の飯を食べる~博多・もつ鍋~

【日本一周 九州編9】 同じ釜の飯を食べる~博多・もつ鍋~

 辺りもすっかり暗くなった18時30分過ぎ、博多駅に到着。目的のもつ鍋店「笑楽」は、駅ビル「アミュプラザ博多」の10階に入っている。

 エレベーターの中は私と明石の2人きり。せっかくなので、九博のガチャガチャで引いた馬埴輪のミニチュアを床に置いてプチ撮影会をやってみる。

※馬埴輪についてはこちらの記事↓!!

 時節柄、床にはソーシャルディスタンスを促すステッカーが等間隔で貼られている。そこに

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【日本一周 九州編10】 まだまだ序の口宵の口

【日本一周 九州編10】 まだまだ序の口宵の口

 今日の宿は、博多駅から車で小1時間ほどの久留米市にある。そこまでは国道をひたすら南下すればいいのだが、太宰府天満宮のときにふりはじめた雨は夜には本降りに変わり、タイヤの跳ねあげる水飛沫は道をうすく煙らせていた。テールランプの行列が紅く染めあげた地雨のエンドレスは眠気を誘う。同じ塾でバイトする尾道と生徒の話をすることで睡魔を退散させ、なんとか久留米まで踏んばった。

 宿・イルファーロ久留米は駅前

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【日本一周 九州編11】 値段を超えたホスピタリティ

【日本一周 九州編11】 値段を超えたホスピタリティ

 宿選びに余念のない私たちである。大学在学中に日本一周を遂げるには、一度の旅行でなるべく多くの県を効率的に周る必要があるし、懐の事情からなるべく安価なところを選ばなければいけない。そういうわけで毎度の宿選びは、立地と金額にこだわっている。

 さらに欲を言えば、個室で、清潔感があって、備え付けのマンガなんかもあるとベリーベリーグッド。

 だいぶ誇張した表現になるが、私たちの宿探しはいわば500円

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【日本一周 九州編12】弥生時代の土地勘

【日本一周 九州編12】弥生時代の土地勘

 翌朝、七時半にフロントへ降りていくと、昨日はがらんどうだったフロントのところどころに朝ごはんを食べる人々のすがたが見えた。

 少し高めの旅館だと、こういう食事の空間には旅行者しかいないから世界が浮ついて見える。けれど、安いビジネスホテルだと出張で訪れたサラリーマンといった日常を過ごす人がいることで、「旅の風景」の視点が落ちついたものになる。その眼の方が土地の雰囲気を掴みやすくなる気がするから好

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